![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/142253756/rectangle_large_type_2_612a3b148ad091c69bb2e1a80c4ea8fd.png?width=1200)
給油所カフェ革命の全貌
はじめに
タイの給油所大手PTGエナジーが、電気自動車(EV)の普及に伴い、給油所のカフェ化で急速に成長しているという話は、単に事業の多角化を図る一例に過ぎません。ここから学べるのは、変化に柔軟に対応し、新たな顧客層を開拓することの重要性です。この記事では、PTGエナジーの成功事例を通じて、他社がどのようにこの戦略を応用できるかを探ります。
PTGエナジーとは
タイにおける主要なエネルギー企業で、石油事業を中心に、飲食業、コンビニエンスストア、修理サービスセンター、再生可能エネルギー事業など様々なサービスを提供しています。タイ全国に2000か所以上のガソリンスタンドを展開し、電気自動車(EV)充電ステーションも35か所以上設置しているなど、石油以外の事業にも力を入れています。
ガソリンスタンド内で提供される非石油事業を拡張しようとしており、飲食店や小売業、カーシェア、健康・ウェルネスサービス、旅行サービスなどの分野で新しいパートナーを探しています。また、EV事業の拡大に向けて、高速充電技術やワイヤレス充電技術、太陽光パネルを使用したバッテリー充電システム、バッテリースワッピングサービスなど、新しい技術を持つ企業とのパートナーシップを模索しています。
また、国内で2番目に大きな市場シェアを持つ小売燃料販売業者であり、EV充電スタンドの設置など、エネルギー分野での持続可能な発展に貢献しています。パートナーとしての必須条件として、安全基準の遵守、成果物や実用例の提供、共同での技術開発、共同マーケティングへの積極的な参加、英語でのコミュニケーション能力が挙げられています。
1988年に設立されたPTGエナジーは、資本金1,670百万バーツ、売上179,422百万バーツを誇り、エネルギーおよびユーティリティ業界において重要な役割を果たしています。
変化に対応する勇気
PTGエナジーは、EVの普及による石油需要の減少を予測し、カフェ事業への業態転換を決断しました。この勇気ある一歩は、他社にとっても大きな示唆を与えます。
地域産にこだわる
パンタイカフェはタイ北部産のコーヒー豆を使用。地域産にこだわることで、品質と地域貢献の両立を実現しました。これは、地域の特色を生かした事業展開の良い例です。
![](https://assets.st-note.com/img/1716974894724-mARC96KbmN.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1716974994212-nB97NfJyjU.png)
利便性の追求
PTGの給油所に併設されたカフェは、地方間を移動する運転手や都市部の通勤客といった、異なる顧客層を取り込んでいます。利便性が顧客獲得の鍵となることを示しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1716975373697-9jlvw53M9B.png?width=1200)
価格戦略の妙
パンタイはスターバックスの半額以下の価格設定。手頃な価格で高品質なサービスを提供することで、幅広い顧客層を獲得しています。価格戦略は、顧客満足と事業成長のバランスを取る上で重要です。
独自性の追求
PTGは給油所とパンタイで使える会員制カードを導入。このような独自の取り組みが、他社との差別化と顧客ロイヤルティの向上に寄与しています。独自性は、競争の激しい市場で生き残るための鍵です。
結論
PTGエナジーの成功は、変化に対する迅速な対応、地域産へのこだわり、利便性の追求、独自性の発揮、そして賢い価格戦略によるものです。これらの要素は、他の業界や企業にも適用可能であり、持続可能な成長を目指す企業にとって貴重な教訓となります。
ガソリンスタンドの事業転換で成功した事例
以下の例は、変化する市場や消費者のニーズに対応するため、または環境保護の観点から事業モデルを変えた企業の成功事例です。
電気自動車(EV)充電ステーションへの転換
自動車業界が電気自動車へとシフトする中、世界中の多くのガソリンスタンドは、EV充電ステーションへの転換を進めています。例えば、欧州や北米の一部地域では、既存のガソリンスタンドが充電インフラを設置し、EVドライバーへのサービスを提供し始めています。この転換により、将来的にガソリンやディーゼル車の需要が減少しても、事業を持続可能に維持できます。
コンビニエンスストアやカフェへの多様化
ガソリンスタンドがコンビニエンスストアやカフェと組み合わさるケースも増えています。これにより、給油だけでなく、食料品の購入や飲食を楽しむ場としての役割も担うようになりました。日本では、大手石油会社が運営するガソリンスタンドに併設されたコンビニエンスストアが、地域社会の生活インフラとして重要な役割を果たしています。
再生可能エネルギー源への投資
一部のガソリンスタンドは、再生可能エネルギーに投資し、太陽光発電パネルを設置することで、エネルギー自給自足を目指しています。また、これらの施設から得られる電力を地域社会に供給することで、新たな収入源を確保しています。
サービスステーションとしての機能強化
車両のメンテナンスや修理、洗車サービスを提供することで、ガソリンスタンドを総合的なサービスステーションへと変貌させる事例もあります。これにより、単に給油する場所以上の価値を顧客に提供し、リピート顧客を増やしています。
引用:2024/05/29 日本経済新聞 朝刊 10ページ