健康ビジネスの新展開
はじめに
近年、健康とウェルビーイング(幸福感)に対する関心が高まっています。そんな中、大手保険会社のSOMPOホールディングスがライザップグループに300億円の出資を行い、健康促進ビジネスの拡大を目指すと発表しました。この提携は、健康志向の高まりとテクノロジーの進化を背景に、新たなサービスの創出を目指すものです。本記事では、この提携の意義と成功のポイント、他社にも応用可能な戦略について考察します。
各社の会社概要
SOMPOホールディングス株式会社
所在地: 東京都新宿区西新宿1-26-1
代表者: グループCEO奥村幹夫
事業内容: 約130年の歴史を持つ国内損害保険を中心に、海外保険、国内生命保険、介護事業などを展開しています。社会課題の解決と、健康で豊かな生活を送ることができる社会の実現を目指しています。
ウェブサイト: https://www.sompo-hd.com
証券コード: 8630
RIZAPグループ株式会社
設立日: 2003年4月10日(2016年7月1日に健康コーポレーション株式会社から社名変更)
所在地: 東京都新宿区西新宿8-17-1 住友不動産新宿グランドタワー36F
代表者: 代表取締役社長 瀬戸健
事業内容: パーソナルトレーニングジム「RIZAP」やコンビニジム「chocoZAP」を運営。2022年7月には「chocoZAP」を開始し、美容、ライフスタイル、エンターテイメントなど様々なサービスを展開。1,500店舗以上、会員数120万人を超え、国内フィットネスジム会員数日本一を達成。医療費の適正化や地方創生などの社会課題に取り組み、健康で輝く人生を送ることができる社会の実現を目指しています。
ウェブサイト: https://www.rizapgroup.com
証券コード: 2928
資本業務提携の内容
資本提携
RIZAPグループは、SOMPOホールディングスに対して、普通株式29,069,767株(発行済株式の4.87%)を第三者割当の方法で提供します。
また、RIZAPの子会社もSOMPOホールディングスに対して普通株式を割り当て、200億円の資金を受け取ります。
これにより、SOMPOホールディングスのRIZAPに対する出資比率は23%になります。
業務提携
SOMPOホールディングスとRIZAPグループは、以下のような協力を行います:
SOMPOグループの顧客に向けたRIZAPのサービスの普及
国内の約2,500万人の顧客に向けて、RIZAPグループの商品やサービス(例:chocoZAP)の利用を促進する施策を実施します。
RIZAPの顧客に向けたSOMPOのサービスの普及
約120万人のchocoZAP会員に対して、SOMPOグループのサービスを紹介し、その浸透を図ります。
新サービス・新商品の開発
法令やガイドラインを遵守しつつ、SOMPOグループの保険や介護事業の顧客データと、RIZAPの健康データや指導ノウハウを組み合わせて、顧客ニーズに応じた新サービスや新商品の研究開発・提供を行います。
介護事業やヘルスケア分野での協業
SOMPOの介護事業やヘルスケア分野で、RIZAPの事業を活用して協力を促進します。
提携の背景
両社は、顧客データの活用を通じた健康促進サービスの開発を検討しています。ライザップグループはパーソナルジムの運営だけでなく、低価格ジム「チョコザップ」の展開で急成長を遂げています。一方、SOMPOは、健康寿命の延伸に向けた「ウェルビーイング事業」を展開しており、この提携によって、それぞれの顧客基盤とノウハウを活用した新たなサービスが期待されます。
成功のポイント
一つ目の成功ポイントは、顧客データの共有と活用です。ライザップグループは、来店状況や食事、睡眠のデータを蓄積しており、SOMPOとのデータ連携により、よりパーソナライズされた健康促進サービスが可能になります。
二つ目は、顧客のライフステージに合わせた商品開発です。SOMPOの顧客基盤とライザップのサービスを組み合わせることで、さまざまな年代やニーズに応じた健康促進プログラムを提供できるようになります。
他社への応用
このような提携は、顧客データを有効活用し、異業種間での新サービス開発を目指す企業にとって参考になります。重要なのは、互いの強みを活かし合い、共通の目標に向かって協力することです。また、明確な目標設定と、提携によってどのような価値を顧客に提供できるのかを事前に検討することが成功の鍵となります。
結論
SOMPOとライザップの提携は、健康促進という社会的なニーズに応えるための画期的な一歩です。この提携から学べることは多く、他の企業も顧客の幸福と健康を追求する上で、異業種間提携の可能性を探るべきでしょう。最終的には、顧客に寄り添ったサービス開発が企業の成長を支える鍵になります。
引用: 2024/06/08 日本経済新聞 朝刊 7ページ
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