羽咋のおじーが死んだ
羽咋のおじーが死んだ。
直接的な関係は無いし、血縁関係もない。
言えば他人。
でも行けば いつも家の前でウロウロ待っていてくれた。
楽しみにしてたんやろ?とかいうと
んなことあるか!少し外出て運動してただけや
とそっぽ向いて家の中にはよ入れと言ってくれる。
別の時は 鎌持って待ってて、別に待ってなんかない草むしってたんやと手が綺麗で元々お庭も綺麗なのにそんなことを言ってくれる。
家は少し傾いていて廊下は坂になっている。
前の地震で沈んだ。
それでも住んでいる。
特に不自由はないとギシギシ床を鳴らして歩く。
まぁわたしもべつにいいかと応接間に行く。
私が遊びに行くとなってから
なぜか応接間にどっから貰ってきたか分からないバブル期香る豪華なベロアソファーが置いてありそこに座るのがいつもの流れ。
常温のカルピスと霜降りのミッキーグラスも味である。
そして、台所にきえたおじーがニコニコとカレーを出してくれる。
じーさま手作りの牛すじカレー。
ツヤがあるルーはとろとろでコクがあって美味い。
お店で出せばかなりの金額が取れる美味さ。
美味しいー!というと
ほか?こんなんおいしないやろ。と言いながら顔はニコニコしてる
で、つづくのは
たくさんあるし全部食ってけや。
フライパンいっぱいのすじカレー 少し固めに炊いてくれるご飯。私が好きといったものばかり。必ず用意して待っててくれる。
そして、じーは今日は特別だと言って
日本酒をこれまた霜降りのグラスでのむ。
最初の1杯は流れるように消えていく。
私が2杯目を注ぐ。
そうすると オットト…なんて言いながら受けてくれる。
2杯目を飲み出すと少しだけ気持ちがでる。
カレーのコツはバーモンドのルーや
ほんで、筋はずーーっと弱火で炊くんやぞ。
それを聞いてないのに教えてくれる。
それだけ待っててくれたことが伝わるし嬉しい。
そうなんやね!うまいわ!
なんて笑顔で返すとじーさん 嬉しそうにグラスにくちをつける。そして決まって言う
「わしは、約束は破らん男で有名やからな」
この羽咋のおじーは うちの親父にも負けず劣らずクレイジーだった
家の中でBBQもするような人。
外は暑いからクーラーある部屋でU字溝おいてBBQをし始める。
毎年少しつづ改造されて 最終的に 近くの焼肉屋に行くことが一番となった笑
そんなおじー。
コロナ禍で中々会えずになってはいたが電話をすると
テレビで見とるといってくれた。
そして、今年もツバメが家の中に住んだと喜んで教えてくれた。
1月1日に、大きな地震があった。
なかなか連絡が取れなくて心配していたけど無事だと分かった。
でも家がさらに傾いたといっていたが
これ以上傾くことは無い心配するなといっていた。
かなり頑固者なのでそういうならそうとしてやらないと進まない。
震災後マメに連絡をとっていたが1度入院した。
肺炎だった。
しかししぶとく強く退院した。
会いに行くね!といったけど
カレーが出来ないから来るな。と言われた。
なら春になったらタケノコ堀りもあるしその時ね!と言ったら楽しみにしてる。と言ってくれてた。
そして3月 今月もまた肺炎で入院した
こういった連絡はじーさんの孫から連絡を貰える。
退院できそうかね?と聞くと
前と変わらないので大丈夫だと思いますよ!ときていた。
なのになー
おじー。
亡くなってしまったんや。
約束を破ったことないで有名なんやろ?
たけのこ掘りとまた、カレー作ってくれると言っていたんにな。
おじー あんまり飲みすぎんようにな。
それは1回も守ってくれんかったし空に行ったんならそれ守ってみてやよ。
また一緒になんかしような。
じゃね!おじー
今日の雨は私の気持ちかな。
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