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能を習い始めた、と言ったときのこと

「ああ、野村萬斎のやつね」

「え、女性でもいいの?」

「どこに行くの?」

「一体どうして?」

「またまた、ははは!」

「歌舞伎じゃなくて?」


確かにそうだよな、自分でも同じようなことを聞くかもしれないと思いながら、いや本当で、とか、野村萬斎じゃなくて、とかぼそぼそと答えている。
外国人の友人には「え、それって”NO”って書くの?」と聞かれた。

友人の誰もが続くと思っていないのだが、私自身はぜひとも続けてみたいのだ。

3回目のお稽古を終えた今、密かにそう思っている。

そして、あと20年ぐらいしたら

「あ、能? いいよね、私もやってる」

「私は見に行くのが好きで」

「私は鼓を習っているの」

なんて答えが返ってくるようになるかもしれないとも思ってもいる。


ひょっとしたら。


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