
パンダ百科全書 世界一かわいいクマ科動物のすべて

ジャイアントパンダ(以下パンダ)の写真集であり解説書の日本語版。
モデルは中国の成都ジャイアントパンダ繁殖基地のパンダ達。
編著者は同基地の所長。
それにしてもパンダってつくづく不思議な動物である。
竹を食べるのであごの力は強く、歯も鋭い。また鋭い爪も持っていて
肉食動物の条件は揃っている。しかも本書によると腸も肉食動物由来の
短い腸で竹の消化には適していないという。
実際、パンダの祖先は肉食だったそうで、進化の過程で自らの肉食動物と
しての立場を変えて竹を主食とするようなったというのである。
体重も100kgあり恐らく本気で戦ったら人間なんか相手にならないだろうと思う。(何と言っても熊の仲間なのだから。)
また太っている姿がかわいいと言われるが、本書によれば実は太って見えるだけで皮下脂肪は少なく、骨格が大きく筋肉に覆われているそうである。
しかもよく見ると顔も怖い。顔だけならシロクマのほうが優しく見える。
しかも垂れ下がった目の周りの黒色の模様のおかげで愛嬌があるように見え、人気ナンバーワンの動物である。多分、この模様が無ければこれほどの人気は出ないだろうと思うのは私だけだろうか。
ちなみにパンダがなぜ白黒模様なのかはまだハッキリしておらず諸説あるようで研究中という所である。また数は少ないが黒白模様ではなく茶白模様の個体もいるようだ。この本を見て初めて知った。写真もあるが私は黒白に比べると失礼だが愛嬌は劣るし、少し怖いと思う。あくまでも私の感想なので本を見てそれぞれ判断して欲しい。
これはもともと黒色だった体毛が茶色に変化したものという所までは分かっているがなぜ茶色になるのかは諸説あり、環境説、遺伝子説、先祖返り説が有力な説のようだがどの説も決め手に欠きやはり研究中と言うことである。
現在、パンダは中国では国宝とされており、パンダを外国へ供与することは
停止されているそうである。つまり中国国外のパンダは全て貸与されているものでありいずれは中国に返却しなければならない。
(昨年だったか一昨年だったか和歌山のアドベンチャーワールドから
何頭かのパンダが中国に返却されてニュースになっていた。その結果、現在はアドベンチャーワールドにオスのパンダはいない。)
日本で繁殖して生まれたパンダも中国のものというのは何となく納得が行かないし、パンダにとっても良くないのではと思うが、現状はそういうルールなのだから仕方がない。飼育されているうちに和歌山か東京に見に行きたいと思う。(子供達が小さい頃にアドベンチャーワールドに連れて行ってからは行っていないなあ。)
パンダに関する本は多く出ているが本家中国のパンダの写真集と言うのもそうだがここまで詳しく解説しているのもなかなか珍しい。パンダ好きにはお勧めの一冊。