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  • 読書ノート

    読んだ本の感想をダラダラと綴ってます。

最近の記事

シャーロック・ホームズの冒険 上

何となくシャーロック・ホームズシリーズを読み直してみたくなって図書館で借りてみた。上巻には次の六作品が収録されている。 ・ボヘミア国王の醜聞 ・赤毛連盟 ・消えた花婿 ・ボスコム渓谷の謎 ・五つのオレンジの種 ・唇のねじれた男 正直な所、この中で読んだ記憶があるのは赤毛連盟だけ。 その赤毛連盟でさえこんな話だったっけ?と思う始末。 そりゃそうか。読んだのは小学生の時だから50年近く前だもんな。 でも現代でもミステリーとして十分に通用する話で面白かった。 ただ、犯人(と言うか悪

    • 鴨川ホルモー 万城目学

      万城目学さんの作品は変わったタイトルの物が多いが、デビュー作のこれなどその最たるものだろう。 「ホルモー」って何やねん?と思いながら読んでみた。 京都大学出身の著者らしく舞台は京都。馴染みのある場所や地名が出てきて その光景を思い浮かべることができた。 物語は京都大学に入学したての主人公、俺こと安倍がひょんなことから後に親友となる高村と葵祭のエキストラのアルバイトで知り合い、更に奇妙なサークル?に誘われる所から始まる。サークルの名前は京都大学青龍会。 う~ん主人公の名前が「安

      • 実朝の首

        著者:葉室 麟 鎌倉三代将軍源実朝が甥の公暁に鶴岡八幡宮で暗殺され、公暁から実朝の首を預かった弥源太が更にその首を武常晴に奪われ、行動を共にする所から物語が始まる。 常晴が実朝の首と共に弥源太を連れて行ったのはかつて鎌倉で起きた和田合戦で敗れた和田義盛の嫡孫、であり実朝の寵臣であった朝盛を首領とする合戦の生き残りの所であった。 一方、公暁を唆していた三浦義村は公暁が執権北条義時も一緒に暗殺しようとしていたことを知り、何者かが自分に罪を全て押し付けようとしていることに気付き首

        • 茜唄(下)

          木曾義仲と手を組もうとした平知盛。義仲を説こうとするが遅かったと義仲。結局、手を組めず義仲は源義経に討たれてしまう。 屋島の戦いで紙一重の所で義経に敗れた知盛。ただ、源氏の棟梁、源頼朝が義経に疑いの目を向け、葬らんとしていることを知り義経と組もうと驚くべき手段に出る。こと戦に関しては知盛と義経は同等。結果は運に左右されるが、政に関しては義経は子供過ぎた。(純真過ぎたと言うべきか。)お互い理解はしあえるものの手を組むには至らず、壇ノ浦を迎える。 当初は押していた平家軍であったが

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          19本

        記事

          茜唄(上)

          平家物語の作者らしき人物が西仏という琵琶法師に平家物語の稽古をつける所で各章が始まるこの小説。 今村作品に外れ無し。この小説も面白かった。 主人公は平知盛。平家の棟梁、平清盛の四男である。 清盛の一番のお気に入りだったという。学問も武芸も優れていて文武両道だったが身体が強くない。平家の人物でありながら人望も厚い。 大体の源平物で描かれる平家はどちらかと言うと悪役で描かれることが多い。歴史と言うのは勝者の歴史でもあるわけでそれは仕方がないのだが、 この小説では必ずしも平家は悪役

          茜唄(上)

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          空き家

          昨日のビブリオバトルで紹介してチャンプ本に選んでいただいた本。 テレビを見ていたら「空き家」が社会問題化しているという。 核家族化が進んで親と同居する世帯が減り、両親が他界すると、子供たちも既に自分の家を持っており、今更、戻る気もない。一方で幼少期を過ごして思い出もあるので売るには忍びない。では誰かに貸そうとするも借り手もいない。このままでは費用がかかる一方なので売ろうとするが、なかなか売れない。土地だけなら売れるかも?と建物を取り壊そうとすると安くはない費用がかかる上に、税

          光秀夢幻

          こちらも明智光秀が主人公の小説。 やはり図書館の『隅っこ小説特集』コーナーで見つけた一冊。 繰り返しになるが「隅っこ」小説とは書庫ではなく通常の書棚に置かれているのに一年間貸し出されていない小説のことである。(図書館による定義) この本も図書館で過去一年間貸し出されたことが無いとは信じられないほど面白かった。 こちらでは本能寺の変を起こした明智光秀の動機説の中から「秀吉陰謀説」が採られている。陰謀と言っても全ては織田信長の一言から始まるのだが。 安土城の天守閣最上階で琵琶湖

          光秀夢幻

          ダブルエージェント 明智光秀

          図書館の『隅っこ小説特集』コーナーで見つけた。 「隅っこ」小説とは書庫ではなく通常の書棚に置かれているのに一年間貸し出されていない小説のこと。 (図書館による定義) この本が図書館で過去一年間貸し出されたことが無いとは信じられないほど面白かった。 数ある本能寺の変を起こした明智光秀の動機説の中からこの本では「天皇(朝廷)を廃して自分(織田信長)が天子となり、未来永劫天皇家に替り織田家が日本を治める野望を持ったため、これを止めるため。」という説が 採られている。 タイトルのダブ

          ダブルエージェント 明智光秀

          仏像の声

          まさにタイトル通りの内容。 仏像についての解説本はたくさんあり、私もよく読んでいるが多くは芸術的な解説(何時代の何という様式で、どこの国の影響が見られる)とか印相(手の形)の意味、仏師、歴史的背景の解説である。 この本は天台宗の僧侶であり、仏師であった故西村公朝さんが仏師の立場から一歩踏み込んで解説してくれている。 例えば立像、半跏坐像、坐像のそれぞれは私たち衆生に何を伝えているのか。或いは如来像でも両肩を衣で覆っている(両肩)ものと左肩は衣で覆っているが右肩(右腕も含めて)

          警部補 矢部謙三

          仲間由紀恵さん主演のテレビドラマTRICKのスピンオフドラマの第一シリーズの原作。偶然、図書館で見つけたのだが(なぜか推理小説特集のコーナーに置かれていた。)嘗て(今も)TRICKファンだった私は久しぶりに手にした。 読み進めていくうちにドラマが思い出され、こんなシーンがあったとか、こんなキャラがいたということを思い出した。(プロレスラーの中西学が出演していたこともこの本を読んで思い出した。)それだけドラマに忠実に書かれているのだろう。(ドラマが原作に忠実に作られていると言う

          警部補 矢部謙三

          社会人のためのやりなおし経済学

          子育てをほぼ完了し、定年を5年後に控え、そろそろ貯蓄や投資を勉強しようと思ったが、新NISAをやたらと勧められるが、新NISAで何を買えばいいのか銀行のセミナーなどを聴いてもなんのこっちゃ?という感じ。 株価が上がると円高に振れるとか、金利が上がると株価が下がるとか…なぜそうなるのかという解説が無い。(知っていることが前提なのか?)それで勧められても困る。 なかなか踏み切れずにいると、たまたまこの本を見つけた。 この本では難しい数式やグラフは一切出てこない。平易な文章とラフな

          社会人のためのやりなおし経済学

          サロメ

          オスカー・ワイルドの「サロメ」を初めて読んだのは大学2回生の時の英語の教科書だった。先生もちょっとGっぽい(今と違って当時はLGBTという言葉は無かったのでお許しいただきたい。)雰囲気の方で、当時は「気持ち悪い話だなあ。授業で使っていいの?」という印象しかなかった。ただ、挿絵は何かで見たような気が漠然とではあるがしていた。単位を取るためだけに訳本として岩波文庫版の「サロメ(邦訳)」を買って読んだが、進級してからは完全に忘れていた。 数年前に図書館で偶然学生時代に訳本として使っ

          友情2

          私はたまにテレビ観戦するくらいでラグビーをほとんど知らないが、それでも平尾誠二と言う名前は知っていたくらいなので、ラグビーをしている友人に言わせると「(ラグビーの)神様みたいな人」らしい。 この本は昨年ドラマ化された山中伸弥京都大学教授による『友情 平尾誠二と山中伸弥「最後の約束」』の続編。前作が山中先生と平尾さんの奥様による平尾さんの罹患から亡くなるまでの戦いの記録であったのに対して、こちらは縁のある人達による回顧録となっている。 それぞれの人達がそれぞれの思い出を語ってい

          しりとりえっせい

          故中島らもさんのエッセイ集。 しりとり形式にしているのが今までありそうで無かった?そしてらもさんの死後もない?イラストをひさうちみちおさんが描いており、関西の二大奇才のコラボ。 らもさんのエッセイ集はたくさん出されているが、こちらも「らもさんワールド」全開。 単純に腹を抱えて笑えるバカバカしいものから、皮肉たっぷりの風刺まで。それぞれにちょっとした蘊蓄や豆知識を混ぜてより面白いものにしている。 またこの人の博学ぶりには驚かされる。 なるほどなぁとうなったエッセイの一つのが「随

          しりとりえっせい

          死にたくない

          一億総終活時代の人生観 漫画家でありタレントである蛭子能収氏の死生観。 面白かった。この人らしい(テレビでのイメージだが。)なと思う反面、考えさせられることも。 著者は死んでしまったら「何もない」状態、自分が「無」になることが想像できないし怖い。だから「死にたくない」のだそうだ。 生きていても辛いことしかなく面倒なことばかりなので、そういう状態から離れたいと思っても「死にたい」と思ったことはないらしい。(私などは逆のタイプで長生きはしたくないタイプ。)また真面目にに生きてい

          死にたくない