マガジン

  • 読書ノート

    読んだ本の感想をダラダラと綴ってます。

最近の記事

サロメ

オスカー・ワイルドの「サロメ」を初めて読んだのは大学2回生の時の英語の教科書だった。先生もちょっとGっぽい(今と違って当時はLGBTという言葉は無かったのでお許しいただきたい。)雰囲気の方で、当時は「気持ち悪い話だなあ。授業で使っていいの?」という印象しかなかった。ただ、挿絵は何かで見たような気が漠然とではあるがしていた。単位を取るためだけに訳本として岩波文庫版の「サロメ(邦訳)」を買って読んだが、進級してからは完全に忘れていた。 数年前に図書館で偶然学生時代に訳本として使っ

    • 友情2

      私はたまにテレビ観戦するくらいでラグビーをほとんど知らないが、それでも平尾誠二と言う名前は知っていたくらいなので、ラグビーをしている友人に言わせると「(ラグビーの)神様みたいな人」らしい。 この本は昨年ドラマ化された山中伸弥京都大学教授による『友情 平尾誠二と山中伸弥「最後の約束」』の続編。前作が山中先生と平尾さんの奥様による平尾さんの罹患から亡くなるまでの戦いの記録であったのに対して、こちらは縁のある人達による回顧録となっている。 それぞれの人達がそれぞれの思い出を語ってい

      • しりとりえっせい

        故中島らもさんのエッセイ集。 しりとり形式にしているのが今までありそうで無かった?そしてらもさんの死後もない?イラストをひさうちみちおさんが描いており、関西の二大奇才のコラボ。 らもさんのエッセイ集はたくさん出されているが、こちらも「らもさんワールド」全開。 単純に腹を抱えて笑えるバカバカしいものから、皮肉たっぷりの風刺まで。それぞれにちょっとした蘊蓄や豆知識を混ぜてより面白いものにしている。 またこの人の博学ぶりには驚かされる。 なるほどなぁとうなったエッセイの一つのが「随

        • 死にたくない

          一億総終活時代の人生観 漫画家でありタレントである蛭子能収氏の死生観。 面白かった。この人らしい(テレビでのイメージだが。)なと思う反面、考えさせられることも。 著者は死んでしまったら「何もない」状態、自分が「無」になることが想像できないし怖い。だから「死にたくない」のだそうだ。 生きていても辛いことしかなく面倒なことばかりなので、そういう状態から離れたいと思っても「死にたい」と思ったことはないらしい。(私などは逆のタイプで長生きはしたくないタイプ。)また真面目にに生きてい

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          8本

        記事

          民間軍事会社

          「戦争サービス業」の変遷と現在地」 とても面白かった。 ロシアによるウクライナ侵攻でプリゴジン氏率いるワグネルが主導的役割を果たした上、反乱まで起こしたことで広く知られることになった「民間軍事会社」。私は傭兵組織だと思っていたがどうもそうとも言えないようだ。 実は民間軍事会社というものに明確な定義はないという。一応スイスのモントルーで2008年9月17日に採択された「モントルー文書」なるもので規定された定義がもっとも公的な性格を持つものとされ(但し法的拘束力無し。)そこでは

          民間軍事会社

          八本目の槍

          「賤ケ岳の七本槍」と言われる武将の八人目を巡る物語。彼らの小姓時代から関ケ原の戦い、そして豊臣家滅亡に至るまでの様々な葛藤が描かれていて面白かった。(これが史実であればいいなと思った。) 「賤ヶ岳の戦い」は織田信長亡き後の1583年(天正11年)に賤ヶ岳(滋賀県長浜市)付近で起きた、「羽柴秀吉」と「柴田勝家」の戦い。これに勝った羽柴秀吉(豊臣秀吉)が天下を駆け上がる契機となった一戦。この戦いで特に目覚ましい活躍をした秀吉の小姓組のうち加藤清正(虎之助)、福島正則(市松)、加藤

          八本目の槍

          戦国武将伝 西日本編

          先日読了した #今村翔吾 先生の「#戦国武将伝」の西日本編。 東日本編に比べると馴染みの薄い武将が多いがフィクションとは言え本当にあったかもと思わせるどれも面白い話ばかりだった。 (やっぱり今村作品に外れ無し。) 東日本編の竹中半兵衛の続きかとも思える黒田官兵衛の話は完璧でなくとも前に進むことの必要性を晩年になって官兵衛が知る話で深い。 加藤清正も面白く太平の世になって忘れていた若かりし頃の気持ちを思い出す話。(若い頃は秀吉チルドレンの一人として福島正則だけでなく石田三成とも

          戦国武将伝 西日本編

          向田邦子 ベスト・エッセイ

          この人が亡くなった時、私は中学生だった。 当時、大騒ぎになったのでその時初めて名前を知った。その後も名前は時々聞いていたし、爆笑問題の太田光さんが 向田作品の愛読者だということは聞いていたが、不思議と これまで縁が無かった。 今回、初めて読んでみた。 きっかけは音訳ボランティアの講習会でこの人の「父の詫び状」という エッセイの一部が課題となっているのだが、抜粋なので話の前後の 脈絡が分からず、ポイントがよく分からない。 ならば、一度全文を読んでやろうと思ったこと。 (丁度講

          向田邦子 ベスト・エッセイ

          小説吉田学校(第2部)党人山脈

          保守合同により自由党と民主党が合流。今の自由民主党が誕生する。 また日ソ国交回復交渉にかける鳩山一郎の執念を感じた。やはり総理大臣になると何か大きな実績を残したいと思うようだが、この人も例外ではなかったのかそれとも吉田茂に対する対抗心か?ただ日ソ共同宣言後あっさり引退しておりこれ以上権力に執着する気も無かったのかとも思う。(三木武吉という後ろ盾を失ったこともあると思うが。) 後継を石橋湛山と岸信介が争い石橋が僅差で制するも、病に倒れ引退。結局、岸内閣が誕生。新安保闘争から池田

          小説吉田学校(第2部)党人山脈

          小説吉田学校(第1部) 保守本流

          最近の政治家は与党にせよ野党にせよ小粒になったなあと感じているが、昔の政治家はどうだったのかと思い、久しぶりに手に取ってみた。 賛否両論あるとは思うが現在の日本が独立国たり得るのは、「ワンマン宰相」と揶揄されることもあるが、この人(吉田茂)のリーダーシップも寄与していることは認めざるを得ないかなと思う。 その後の吉田学校と言われる保守政事、人脈の系譜をこのシリーズでたどってみようと思った。

          小説吉田学校(第1部) 保守本流