警部補 矢部謙三
仲間由紀恵さん主演のテレビドラマTRICKのスピンオフドラマの第一シリーズの原作。偶然、図書館で見つけたのだが(なぜか推理小説特集のコーナーに置かれていた。)嘗て(今も)TRICKファンだった私は久しぶりに手にした。
読み進めていくうちにドラマが思い出され、こんなシーンがあったとか、こんなキャラがいたということを思い出した。(プロレスラーの中西学が出演していたこともこの本を読んで思い出した。)それだけドラマに忠実に書かれているのだろう。(ドラマが原作に忠実に作られていると言うべきか。)
矢部謙三は生瀬勝久さん。嘗ては関西の劇団そとばこまちの座長を務め、(当時は違う名前で活動されていた。)探偵ナイトスクープの探偵もされており、関西ではお馴染みだったが、東京に進出して当たり役を得たという所。成功した時は自分の手柄、失敗したときは周囲のミス。強がっているが実は臆病ですぐに足が竦んでしまう悪い上司の典型だがなぜか部下の秋葉からは慕われている。この本の中でも頭髪を気にする所など本編とまったく同じキャラ設定で変わっていない。
矢部謙三を本意ではないが結果的に助けて事件を解決に導くのが庶務係の桂美晴と桜木健一郎(ドラマでは貫地谷しほりさんと鈴木浩介さん)。スピンオフのオリジナルキャラだが、矢部謙三にいいように振り回される。
またTRICK本編のセリフやアイテムも見られ。本編へのオマージュが随所に見て取れる。一つ一つの話(Episode1~5)は実にくだらない、ミステリーとは程遠い話ばかり。しかし何も考えずにバカバカしさを楽しめるのがいい。多分、誰も本格ミステリーをこの本には求めていないだろう。(そもそも本格ミステリーを求めるのが間違っており、そういう人は他の本を読む。)
久しぶりにドラマが見たくなった。