身体の記憶
例えばギタリストならピック、ドラマーはスティック、自分にあった大きさ、厚さ、ブランドなどをみつけて弾いている。
琵琶は和楽器の中でも絶滅危惧種と言われ、楽器も撥も世の中に出回っているものはすごく少ないと思う。なので、どうしても身体を楽器に合わせていかないとならない。
というか今までそんなことを考えずとも、自然に受け入れていた。
フォーカルジストニアになって、なかなか治らないので(現時点で4年経過)
色々考えるようになり、レフティ琵琶があれば試してみるのになんて考えたりもした。
現実にはレフティ琵琶の存在を聞いたことはないし、
もし制作をお願いできたとしても、すごくお金がかかるだろし、
そもそもレフティを弾きこなす自信もないので(そりゃそうだ)、これは夢の話。
で撥なら(撥も決して安くはないが)大きさや厚みを選択するぐらいは手が届くことなので、考えてみてもいいかもしれないと思った。
試しに以前使っていた、すり減っていて演奏には使えなくなった撥を引っ張りだし、弾いてみた。
今の撥よりとても軽い素材(木の素材は忘れてしまいました…)で、なんとなくだけど、軽いほうが弾きやすいような気がするし、少し小さいのも扱いしやすいかもしれないと感じた。
それで小さめの撥が欲しくなり、試してみたいと考えだしたら、いてもたってもいられなくなり
メルカリで撥を作って出品されている方を発見した。
高評価でたくさんの方が購入されていた。
いくつかの出品のなかで、通常あまりみかけない小さめの撥が1つだけあった。これは運命かもしれないと勝手に思い込み(笑)、思い切って注文した。
届いてから弾いてみると、期待するほどの違いがあるわけではなかった。
小さい分軽く扱いやすいところもあり、しばらくの間は手の負担軽減のため、使っていこうかなという感じだった。
その後琵琶のお稽古に行き、
いつものことながら、フォーカルジストニアで変な動きになってしまっている右手に
先生からいろいろとアドバイスをいただいた。
その中で、「他の楽器も弾いてみると、気づけることがあるよ」という一言があった。
他の楽器といっても、琵琶なのだけど
先生は筑前琵琶や盲僧琵琶(笹琵琶?違ってたらすみません)もお持ちで、薩摩琵琶に比べて小さい撥や、黒檀でできた重い撥を持っていて
いつもと違うものを弾いてみることによって
自分の身体のクセがわかったりするということを
おっしゃっていたのだと思う。
後日以前習っていた地唄三味線を出して弾いてみた。
琵琶の撥でもそうだけど、
お化けだぞ〜とお化けの真似をするとき、
手首を曲げて手をぶらぶらすると思うが(古い例えですみません)
三味線も手首から手の先がだらんと下に向いた状態で撥を持つ。
そもそも三味線の撥は重いので、そのようにしか持てない。
しばらく三味線を弾いたり、琵琶を弾いたり、三味線の撥で琵琶を弾いてみたり(撥が折れる可能性があるので、注意)していた。
あー、もしかして自分は重力に逆らって
手首をだらんと出来ていなかったのかもとある時気付いた。
いつも先生には手首の力を抜くように言われていたけど、早い動きになるとそれが出来なかった、どうしても。前腕が勝手に動くので、制御するために手首を硬くしてブレをなくそうとしていたのもある。
でも三味線の撥を握っているうちに、
忘れていた重力に従って、手首から先をだらんとすることを身体が思い出してきたようだ。
なんだそんな簡単なことさえ気づかなかったのか、と笑ってしまいそうなことだけど
本当に身体が忘れていたのだと思う。
身体の記憶喪失という表現がしっくりくる感じ。
三味線の撥は逆らうにも、重くて重力には逆らえない、小さいので動かしやすく、思い出すことが出来たのだと思う。体得?したおかげで、前腕が勝手に動く感じがだいぶなくなってきた。
薩摩琵琶の撥は軽く大きいので、うまく風に乗れずにフラフラとバランスが取れない、舵をとりにくい、重心がどこだかわからなくなる状態になりやすかった(自分にとって)のかもしれない。
他にも要因はあるのだけど、過去のブログにも同じことを何回も書いてきたので、ここは割愛…
ここにきてメルカリで購入した撥が、キラーンと輝やいてきた。
小さめで三味線の撥に形状が近いせいか、同じように重力を感じることができたようで
フォーカルジストニアの症状が出まくっていた4,5弦のトレモロが
本来の身体の構造に基づいた自然な動きで、少しできるようになってきた、と思う。
小さい撥だと、弾きにくいところもありデメリットもあるが
(大きな撥が主流なのは、やはりメリットも多いからだとは思います)
自分にとっては、できなかったことができるように
なりそう?な感じなので、
新しい撥に慣れていければいいなと思った。
おおざっぱには感覚は掴めて来た気がするけど、
手の角度、撥への指の添え方、親指問題(結構厄介)、
細かい調整はたくさん必要。最適をみつけて、いつも出来るようにしなくては。
フォームだけ
感覚だけに頼るといつのまにか見失う
どちらも気にしながら
琵琶の先生のアドバイスを良く聞いて受け入れて
これが今の自分にとってとても大切と思う。
追記備忘録
親指、人差し指、小指の3点でしっかり支える
当たり前のことができてなくて、これを意識すると
良くなっていく感じがします