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高崎卓馬(共同脚本/プロデュース)×柳井康治(企画/プロデュース)×伊藤さとり(映画パーソナリティー)登壇!映画『PERFECT DAYS』トークイベント

公開中の映画『PERFECT DAYS』UHD/Blu-ray/DVD、そして書籍の発売を記念して『PERFECT DAYS』の特別トークイベントを開催!
高崎卓馬さん(共同脚本・プロデュース)と伊藤さとりさん(映画パーソナリティ・映画評論家)が登壇し、特別ゲストとして企画・プロデュースの柳井康治さんもサプライズで登壇しました。

「最後まで逃げませんよ」の証!?
ヴェンダースを口説き落とした手紙とは…?

本作の企画段階では、柳井と高崎がヴィム・ヴェンダース監督に手紙を書いてアプローチをしたそう。高崎は「通常通り企画書を送って正式なルートで送ってしまうとどうしても“仕事”になってしまうので、手紙を送りました。手段として使うというよりは、“僕たち二人は最後まで逃げませんよ”という印だと思っています。幸いにも、僕も柳井さんも映画業界の人間ではなく、作り方や映画作りの常識を持っていなくて、“あなたと一緒に作りたい”ということだけだったので、ヴェンダース監督のやり方に合わせることができ、その点はとても良かったのかなと思っています。結果的に最後まで逃げなかったですしね」と笑いながら振り返った。
また、当時を振り返って高崎は「柳井さんはちょっとおかしいんです(笑)今まで出会った人の中でも抜群にフットワークが軽いというか、行動範囲が広い」と言い、手紙を送ったあと知らぬ間に柳井がヴェンダース監督に会いに行っていたという驚きのエピソードを話した。柳井は「監督と手紙でコンタクトが取れ、リモート上でもお話はできたけれど、本当にやってくれるかどうかは不安でした。直接会って話せば、“とりあえず日本に行くだけ行くか”って思ってくれるかなと。そういう思いもあって会いに行きましたね」と振り返った。

”素人”だからこそたどり着いた、日本映画の新たなカタチ

「カンヌ国際映画祭にも行き、日本映画の現状を知っていかがでしたか?」という伊藤の問いに対して、柳井は「”素人”なので日本映画の何がいい悪いは本当の意味で分かってはいないけれど、やり方は一つだけではないことは確かだと感じました。普段自分が働いているときもそうで、一日として同じ成績になることはないし、このやり方じゃないとダメだというこだわりはない。特に人と仕事するときは自分の感情だけではどうしようもないですし、映画はこういうものというのがあっても、必ずしもそうしなければいけないというわけではないと思いました」と答えた。
高崎は「功を奏したのは、ヴェンダース監督も同じだったこと。“いつもこうやって映画を作るんですか?”と聞くと、“毎回違う”と答えるんです。ヴェンダース監督は自分の作りたいことを企画書にはしないし、企画書にしたとしてもその内容には縛られない。本作も映画作りのメゾットや海外での映画の作り方とも逸脱している。そういう人だったから、僕たちの何も知らないゼロから考えるスタンスと合っていたと思います」とヴェンダース監督とのタッグの秘訣を明かした。

日本映画界がやってみたかったことを先にやっている作品

伊藤から、これまでにないかたちで出来上がった本作について「本作のポスタービジュアルは今の邦画ではあまり見ないビジュアルで、海外の映画祭で並んでいるようで最高に素晴らしいと思いました。さらにそこにヴィム・ヴェンダース監督の名前が載っている。“今きっと日本の映画の製作の人たちがやってみたかったこと”を真っ先にやっているなと思ったんですよ。お二人は今後どんなものを作るんですか?」と真っすぐな質問が。
柳井は「”映画”が作りたい、という気持ちが先だってあるわけではなくて。この映画との出会いもThe Tokyo Toiletというトイレのプロジェクトがあったからこそでした。『PERFECT DAYS』が各国の映画祭など色んなところに連れて行ってくれていたこともあり、そもそもの目的を忘れがちになりますが、次なにかこのように映像作品に関わることがあるとすれば、まずしっかりとした理由がないといけないなと思いました」
高崎は「いろんなアウトプットがあって、今回様々な条件が重なって最適なものが映画という形でした。もしかしたらそれが写真集だったかもしれないし、小説だったかもしれない。一生懸命考えた結果が映画だったら、また映画をやるかなと思います」
 

広告と映画、どちらも経験して学んだことは…

高崎はカンヌ映画祭から始まりこれまで、監督や役所広司が受ける取材の数々を見てきたが、「監督も主演の役所広司さんも映画の主題については絶対に触れない」のだそう。続けて「監督も主演の役所広司さんも映画の主題については絶対に触れない」のだそう。
続けて「やっぱり映画は観た人が感じるものだから、そこを作り手が言っちゃうのは良くないんですよね。広告の仕事をしていると、千人見たらできるだけ誤差なく同じ気持ちになってもらう為の表現を作るのが大切だけれど、映画はそうじゃなくて、千人見たら千人違う受け止め方があって良い、というのが一番大きな学びでした。
映画をつくりつづけるためには、ビジネスとして成功することを目指す必要はやっぱりあります。それを否定することだけでは新しいものは生まれない。産業として成り立つ方法と、いい映画をつくることがどうすれば両立できるか。そこからは逃げずにやるしかない。なんつって映画の人間ではないんですけど」と日本映画の将来を見据えながら、最後は少しおどけて答えた。


製作に携わった2人ならではの話に熱心に耳を傾けていた参加者たちからの質疑応答も終え、大盛況でイベントは幕を閉じた。

ヴィム・ヴェンダース監督直筆ドローイング多数の豪華コレクターズBOXを含む『PERFECT DAYS』UHD/Blu-ray/DVD、そして脚本、インタビュー、書簡…巨匠 ヴィム・ヴェンダースとの約2年の記録がたっぷりと詰まった、映画ファン必見の書籍「ヴィム・ヴェンダース パーフェクト・デイズ ダイアリーズ 逆光」は絶賛発売中。

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