秋の夜に聴くスキな3曲を熱く語る
今年も「noteフェス(note CREATOR FESTIVAL)」(2021/10/15-17)が開催されるらしく、「そりゃまあ、楽しみだわい」と思っていたら、『プレnoteフェス』という参加型のイベントで「#スキな3曲を熱く語る」なるハッシュタグでコンテストが開かれているではないか。
スポンサーについたSpotifyの記事をよくよく読んでみると、Spotifyで配信している音楽を自作のポッドキャストに挿入できたりする機能が付いたなんてことも書いてある。いやあ、一人でラジオの音楽番組作れちゃうのね。すごい時代になったなあ。
ちゅう訳で、秋の夜長に聴きたくなる女性ボーカルを3組用意して、軽く肩慣らし気味に記事を書いてみることにしました。
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♪どんなときも/杏
杏って誰?あの杏ちゃん?ええ、女優の杏さんです。
歌、お上手なんですよねえ。声がもの哀しい割に、聴いていると胸に染み入って来て逆に元気が出るんです。こういった名曲のカバーを演られると曲の世界はすでに頭の中に出来上がってるので、何だかほんとうにじわーっと来るんですよ。マッキーにこそ聴かせてやりたい。
声質を生かしたボサノヴァから、妖怪人間ベムの歌まで幅広いレパートリーの楽曲をリリースしてます。意外とと言っては失礼だけれど、芯が強くて視野の広い女性のような気がするなあ。いろいろあった人がいろいろあった人の曲を歌う。これもまた人生です。応援しております。
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♪夕陽が泣いている/浜田真理子
この曲の入っているアルバム『LOUNGE ROSES -浜田真理子の昭和歌謡』はそのサブタイトルの通り全編カバー曲です。オリジナルが男性ボーカルの歌を、女性がカバーして歌う。ワタクシ、これが結構好きでして。よく考えると本日挙げた3曲はすべてそのパターンですね。
英語など他の言語圏では男性が歌う時には「He」を主語に、女性が歌う時には「She」を主語にと、歌詞の置き換えがされるのが普通で(でないとどうにも気持ちが悪いらしい)、有名どころではビートルズとカーペンターズの「涙の乗車券」はそれぞれ She's got a ticket to ride/He's got a ticket to ride と歌われています。
もちろん、この「夕陽が泣いている」のオリジナルはザ・スパイダース(1966年)の曲で、マチャアキこと堺正章さんの歌唱によるものです。だから歌詞には「あのこ」なんて言葉が登場しますが、これは文脈上からも男言葉で彼女のことを指して「あの娘」と呼んでいる訳です。これを女性ボーカルが歌うと、女性アナウンサーが恋愛小説を感情を込めて男のセリフ部分を読んでいるような劇場性みたいなのを感じるんですね。歌い手としての表現力みたいなのが味わえる、のかな。好きなんですよ。
オリジナル・アルバムやライブを聴いてもらえると分かるのですが、浜田さんはジャジーなアレンジがぴったりのカッコいい歌いっぷりなんですが、ご本人はいたって気の良い可愛らしいご婦人といった風情でして、そのギャップに萌えたりもするのであります。そんなことでご本人が女性らしい可愛らしさ、「あの娘」のニュアンスを持っているのに、客観的に某男性の心持ちを歌唱している訳です。実に味わい深いのですが、それもこれも歌がお上手だからです。もちろんオリジナル・アルバムに秀作は多く、名曲「のこされし者のうた」なども秋の夜には沁みる曲です。ぜひ聴いてみてください。
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♪教訓I/ハンバートハンバート
続いてご夫婦デュオのハンバートハンバートのこの1曲を。
オールドファンにとっては(と言っても56歳の私よりもさらにひと世代上ぐらいなので70歳ぐらいの方かな)オリジナルの加川良さんの曲のほうが耳慣れていることでしょう。のどかな曲調にも関わらず、「戦争なんてものからは堂々と逃げ回ればいいのさ」と歌う、フォークソング全盛時代に生まれた骨太の反戦ソングです。
その意気についてもおおいに良しと思うのですが、この曲の良さはその政治色の強さをのどかな曲調と人を食ったような歌詞に紛らわせて歌ってしまうところにあるように思います。子供のころから、教室で先生が真面目なお説教を始めたりすると、お尻のあたりがむずがゆくなってきて、大きな声で冗談を飛ばしてまぜっかえすのが大好きでした(関西弁では、これを『おちょける』『いちびる』と言います。「ふざける」の意)。歌い手の加川良さんは滋賀県彦根市出身、原詩を書いた上野瞭さんも京都の人ですから、詩の中にも歌いっぷりにもたっぷりと諧謔を込めた関西人らしい反骨精神が見え隠れしています。1971年7月のリリースなのでちょうど発売50周年ですね。
メッセージの強さとのどかな曲調は時代を超えて愛され、実に多くのシンガーによって歌われています。ここで紹介したハンバートハンバートは実力派の20年選手。アセロラ飲料のCM曲「アセロラ体操のうた」でご存じの方もいらっしゃるかもしれません。ぴったり息の合ったコーラスワークも魅力ですが、リードボーカルの女性シンガー・佐野遊穂(さのゆうほ)さんの伸びやかな歌声が魅力的です。一度、インストア・ライブを聴いた時にその声量の大きさにびっくりしたことがあります。小さくてかわいらしい人なんですけどね。どこからあんなパワーが出てくるんだろうか。インディーズに移って発表したアルバム『家族行進曲』に入ってる「がんばれ兄ちゃん」って曲が好きですね。あたしゃ長男なもので。
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うーん。好きな歌についてなら幾らでも書けるな。でもそれだけに、冗長になっちゃったかな。次回は(あるのか?)もう少し考えてから書かねば。それが今日の「教訓」ね。
おあとがよろしいようで。