広報・宣伝のお仕事ってこんな面白さがあったのか(私的SNS広告体験記)
新しい仕事で担当することになった業務に「広報・宣伝」がある。もっともせいぜい10人ほどの団体なので、私一人でPR業務を何でもかんでも引き受けている訳ではなくて、何人かで分担している中の一人。56歳の熟練のベテランが…といきたいところだが、はっきり言ってペーペーの初心者だ。
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SNS広告に限らずネット上の広告は、何人が見た、クリックした、目的ページにたどり着いた、まで分かる。目的ページに何人ぐらい誘導するには広告費をどれぐらい増やせばいいのか、ターゲットを工夫してクリック単価をいくらまで下げればいいのか、と言ったことも逆算すれば出てくる。
(上図:広告主ゼンボーの世代別グラフ。若い人ほど食いつきがいい、なんてことも…アリエールのだ。女性層弱いけど…)
そんなことは以前からやってるよ、というデジタル猛者も多いと思う(猛者じゃなくてもやれるし)。ただ、前職で10年ほど前に放送局の宣伝部に異動してきた時には、もっぱらテレビスポットCMと新聞・雑誌に対するパブリシティに重きが置かれていた。基本的には半世紀前からある手法だ。
ちょうどその頃から公式アカウントを作ってSNSで情報発信をしたり、新聞のテレビ欄よりも電子番組表(EPG)を重視する番組担当者が現れたり、テレビ局側の意識が変わり始めた。それに呼応して仕事のやり方を変えていくのは宣伝マンとしてとても楽しかった。一方でポスター制作やぶら下がり会見の仕切りなども(曲がりなりにも)経験することも出来たし。
ただ、広報・宣伝活動とサービスや商品の認知・利用(あるいは購買)の因果関係というのはネットのほうがはるかにはっきりしている。20年も前から言われていたことではあるけれど。
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そんな中、SNS広告を受け持っている(ペーペーとして)。
これが楽しい。
スタートアップ企業に向けて、実証実験の参加を募る仕事がある。その説明会がある。参加募集のお知らせをする必要がある。そこで「さあさ、皆さん参加してくださいね💛」と宣伝するのである。
(これは広告じゃないけれど、だいたいこんなビジュアル)
スタートアップ企業の皆さん、参加よろしく!
これが奥が深い。
グラフィックの工夫であったり、ターゲットの絞り方であったり、あるいは掲載媒体の違い等を考えて、設定を変えると結果が変わってくる。昨日やってみて、ちょっとおかしいなと思ったら、きょう今からすぐに変える。上手くいけばすぐに数字が良くなって効果が上がったことが示唆される。
(上図:おわかりいただけるだろうか。上段のグラフで7/20からポンと一段数字が増えてるのが。わずかな変更でクリック数が上がったりするのだ)
なんというか、ちょっとしたゲーム感覚なのだ。
いや、ゲームというよりスポーツと言ったほうが分かりやすいかもしれない。ちょっとしたコツでボールが遠くに投げられたり、ぴたっと止まったりするような。それでいて、毎度うまくいく訳でもなくて、経験を繰り返してしているうちに多少は上手になる、みたいな。
で、思うのだ。こんな面白さはテレビ広告にはなかったなあ、と。だって、宣伝したおかげでどれぐらい視聴率が上がったのかなんて測りようがないんだから(かと言って、宣伝しないとなかなか観てくれない…)。
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テレビ局の(宣伝関係者の)名誉のために書いておくと、いまや番組宣伝もSNS広告全盛である。ドラマなどは、TVerなどの動画配信ともうまくタイミングを合わせて、(放送+動画配信)全体でビジネスが回るように変わっていってるように見受けられる。きっと今の宣伝マンは楽しいだろうなあ(いやいや、大変だろうなあ)。
いちおう古巣にも気をつかって貼っとこ。番宣写真見てゼンラなんちゃらと同じような配信だと思った人、言っとくけど地上波ですからね。深夜ね。
リリースの書き方みたいなものはネットに向けた広報活動についても概ね活かせるので、転職のしかたというか、どんな新しい業務を受け持つかという点ではとてもラッキーだったのかもしれない。
一方で、放送局の宣伝部門はネット上で広報や広告の経験を積んだ人をもっとどんどん雇うべきだと思う(あるいは今いる人たちが勉強するべき)。何なら外注したほうが早いかもしれないなあ。別に文句を言ってるんじゃなくて「やってみると楽しいよ」ってこと。効果も測れるし。
あとはテレビCM(のビジネスモデル)をどうするかって言うのが事の本質なんだろうな、やっぱり。私はもう肩の荷を下ろしてしまったので、とやかく言う筋合いにはないけれど。
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(こんな取り組みをしてます。)