Phinehas - 『The Fire Itself』がなぜ最高なのか
メタルコアの古豪にして真の王者Phinehasが、ニューアルバム『The Fire Itself』をドロップしました。
5枚目のフルアルバムにして、最高傑作といって良いでしょう。自分は1枚目のアルバムが出る前から好きです。
ちなみに証拠といってはなんですが、2012年に受けたインタビューでPhinehasの名前を挙げていますし、2014年頃のライブでシャツも着てます。
Photo by Kohei Suzuki
分かりにくいですがこれ👇🏻
今見るとデザインがいなたすぎる気もしますがw、当時これくらいしか選択肢無かったんです。
ともかくPhinehasが好き。
今回のアルバムが最高なのはご存知の通りなので、僕は「ディレイ」に注目して各曲レビューしていきます。
ディレイ=ザックリいうとやまびこみたいなエフェクトですね(やっほー、やっほー、やっほー、みたいな)。
このディレイが、アルバムのクオリティに一役買っている説。
Phinehasの作品では、今までアルバムによってエンジニアが変わってきても、一貫して巧みなディレイアプローチが聴けるので、おそらくバンドの意向なんじゃないかと(推測です)。
ちなみに今回いうディレイとは、ボーカルにデフォルトでかかっているであろう自然な範疇ではなく、明らかに「エフェクト的な用途」だと思える場合を示します。
それではさっそく1曲目から!
1. Eternally Apart
シングル公開時は前奏が長いと思いましたが、アルバム1曲目と分かって納得。ならこれくらい大袈裟な方が上がる。そんでもって2:04~2:16のギターが音量デカすぎて上がる。
で、きましたディレイの使い手。
・2:58~"wall"で左右にステレオディレイ
・3:05~同じタイミングで"door"にディレイ
・3:11~分かりやすく"answer"に同ディレイ
そして少し空けて、
・4:44~ラスト"Eternally Apart"でステレオディレイ。もはや伝統芸能の域で、ブレイクダウンでのディレイ使いが上手すぎる。
(歌詞は厳密な位置や範囲ではなく目安です)
2. The Fire Itself
・0:16~"The Fire Itself"ディレイが聴こえます。
・0:29~"my heart"
・0:46~"free"これまたステレオディレイ。2ヶ所目/2周目にもありますね。
・1:47~モノラル(センター)で薄く聴こえます。
前曲のラストであったから?、この曲のブレイクダウンではディレイがないですね。
3. Thorns
・1:45~"no more"モノラルディレイ
・2:26~"pain"ステレオディレイ
ちなみにこのあと聴こえてくるメロディは、彼らの昔の曲"Crowns"からまんま引用されてます。ファン感涙。
・2:45~"Pain"このディレイはやばくて、2:57あたりまで聴こえます。いったん姿を伏せて(オケに混ざって)から現れる、闇討ちタイプのディレイです。
・3:02~さらに分かりやすくモノラルディレイ。
・3:11~次はステレオも追加。好きすぎでしょうw。
4. War You Know
・0:42~"open"一瞬ですが。0:51も同じような感じ。
・1:36~"breathing out"モノラル
・2:19~"Fight"
・3:00~"know"からの
・3:03シャウトにディレイ
・3:12前出同様"Fight"にディレイ。替え玉並の量。
イントロはABR感もありますね。
5. Defining Moments
・0:37~"take"ステレオ。手前のボーカルラインにも、薄くモノラルがかかっていて隙間を埋めています。
・1:18"scars"
・1:22"heart"
・2:39"not just to take"ディレイもやばいですが、ここで一瞬"後ろに引ける"ミックスセンスに脱帽。
・2:53これまたお得意のブレイクダウンでのディレイ
・3:45ブレイクダウンと同じくらい容赦なくここでもディレイ。
ディレイとは関係ないですが、2:22からがアズアイ彷彿すぎてこのパートやばすぎ。しかもコピーではなくPhinehas節も感じる。おまけにクリーンパートなどからは、Darkness Divided要素すらも感じて上がりました。
6. Holy Coward
・0:47~"Bury him deep"ボーカルラインが抜ける間を埋めるように。次周も。
・1:40~"landfill"同じく分かりやすくディレイ。その後の"shame"にも。セクション終わりの2:06にも。
・2:40~ディレイではないですが、このタムに合わせて鳴ってる金属音ベースのアタックですかね。面白い。
なんだかちょっとUnearthっぽさもある曲。
7. Dream Thief
・1:38~"dead?"1サビ終わりに余韻的に。1:53にも。
・1:59~"hope"フィルター気味のVoにディレイ。
・2:02ブレイクダウンの入りシャウトに。やはりブレイクダウン直前に"引く"のが圧倒的に上手い。
・2:40"dead?"次のボーカルラインと被りつつディレイ。
・3:26もはやここまで来たら絶対に"来る"と分かるディレイ。
・3:36 同前項。
・3:47 同前項。
伝家の宝刀「ブレイクダウン+ボーカルディレイ」がここでも味わえます。
8. The Storm In Me
曲調的にディレイはふんだんにかかっていますが、ブレイクダウンとかそういう感じではないので、言及するのは変かなと。
9. Severed By Self Betrayal
・0:00 いきなりシャウトにディレイでぶち上がる。最高。いきなり!ステーキと同じスピード感だ。
・0:23 "time" モノラルディレイ。
・1:30 "severed"が薄く残っている気がします。
・1:39 同じく"severed"に今度はモノディレイ。
・3:08 "severed"最後のブレイクダウン、かなり薄くですが鳴っていると思います。
・3:16 同じく今度はモノラルで。畳みかけディレイ最高!
この曲に限った話ではないのですが、あのThe Demonstrationを彷彿とさせるフレージングがちょくちょくあり、涙がちょちょ切れそうになります。
10. In The Night
・3:00 "end" 一瞬気味ですが。
・4:07 きました俺的アルバムNo.1のディレイ。
アルバムでも指折りのパンチライン、
"Death falls like a hammer from the heavens"。
このディレイの何がヤバいかというと、1回目(0:58)のブレイクダウンではディレイがないこと。芸が細かい。
Phinehas節炸裂すぎて最高。
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というわけで約40ヶ所!
もちろん全てを聴き取れているわけではありません。一瞬だったりして記載しなかったのも含めると、実際は50~ほどエフェクト的に使用されているのではと。
こういった細かい部分まで作り込めるセンスがあるからこそ、曲そのものや、フレーズそのもののクオリティが高いのも当然。
今回は主にディレイに注目してみましたが、他にもフィルターエフェクトであったり、押し引きのボリュームコントロールであったり、とにかく巧み。
またときおり他のバンド名を引き合いに出しましたが、良い意味で色んな要素があり、つまりあらゆる「メタルコアの旨味」を凝縮していることが言いたいです。
とにかく一切隙のない、素晴らしいアルバムすぎて最高!!!
Phinehas万歳!!!🔥🔥🔥