【エッセー】自治会。

自治会の担当が回ってきた。任期は2年間。

11班まであり、2名ずつ参加するため計22名。会長、副会長、書記2名、会計2名の役員を決める。


人付き合いが、『好きではないし苦手』という妻。

一方、人付き合いが、『好きではないが苦手ということではない』という私。

適性判定、

妻、マイナス2ポイント

私、マイナス1ポイント


私が参加することが当たり前であるかのように、いつの間にか妻の中で決まっていた。

やってしまった。言葉選びのミス。『好きではないし、苦手で、お腹が痛くなる』とでも付け足しておけば良かったのだ。私の適性判定、マイナス3ポイントで妻に決まったはずだ。今となっては元の木阿弥、いや後の祭りでしょうか?どちらも違う。日本語は難しい。



さて自治会議にて。


まずは、会長が次期会長の立候補を募る。ウキウキしているように見える。そりゃそうだ。次期会長を選出して任期を終了するのだから。


立候補者がいない場合はくじ引きで決める。


立候補者はいない。当たり前だ。


と思っていたら、目の前の女性が書記に立候補した。


と思ったら、


「私、パソコン使えないので、もう一人の書記は若い人が…。」をやたら強調してきた。

『全て押し付けてきやがるつもりだ』と危機を感じた私は、気づかないふりをした。

あぶなかった。

ちなみに、参加者では私が一番若い。その上が50代後半か60代前半くらい。残りはもっと上のじーばーズ(ご高齢のお爺さまお婆さま方たち)。

仕事もしてなく、暇な人がやればいいじゃないか!というのが私の考え。


なのだが、75歳以上の人は、『お役につかなくてよい』というルールがあるとのこと。なんて自分たちに都合の良い決まりをつくりやがったんだ。自治会は世の中の縮図である。さすが海千山千のじーばーズ。人生の渡り方を私に示してくれる。


結果、くじ引きで私は書記をやることになった。


その後2年間、各月で開催される自治会議。つらかった。2ヶ月に1回と思うかもしれないが、ホントにつらかった。


でも、こんなのは序の口。


くじ引きで会長になってしまった方は…。あれこれと動き回っていた。いや、動き回らされていた。口は出しまくるが、いっさい手は貸さない、じーばーズに指示されて。

さすが海千山千。


あの時、私に向かって、「私、パソコン使えないので、もう一人の書記は若い人が…。」とおっしゃっていた女性は、私を救ってくれようとした女神様だったのだ。『会長になってしまったら大変だよ。書記やっとくのが得策だよ』と。

まぁ、結果的に一緒に書記をやったわけだが。その方が手書きで議事録をとり、私はそれをパソコン入力する。たまに自治会議を休んでも大丈夫。メモをもらってワードに打てば良いのだから。

私はとても感謝している。自分で手放そうとしたラッキーが、それでも私のところにやってきた。



じーばーズの意見のおかげで、たしかに、道は歩きやすくなった。2年間のうちに、街灯が設置され、ミラーが設置され、ガードレールまでも設置された。

さすがじーばーズ。住み良いまちづくりは、じーばーズにまかせておけば大丈夫そうだ。


そして、口も出さず、手も貸さない。かつ住み良い街だけは手に入れる。そんな私は何なんだろう?と気付いた。

感謝の気持ちは笑顔と挨拶に。

今日も、「おはようございます」と近所のみなさまに声をかける。


2年間の任期を全うし私は自治会を辞めた。

もしサポートしてくださるようなことがありましたら、近所の自販機にある大容量コーラを子どもに買ってあげたいとおもいます