生粋の「負けず嫌い」が歩んだ茨の道。多数の技術を身につけた先に描く未来とは
今回はアプリエンジニアの斎藤さんにお話を聞きました。
斎藤さんはこれまで、iOSアプリのプロダクトを中心に「Core Bluetooth」「Watch Extension」「Core ML」「AR Kit」などのNativeライブラリを駆使してきました。それだけではなく、バックエンドの開発まで幅広く取り組んできたそうです。ビットキーのエンジニアの中でも最も多くのチームで経験を積んできた斎藤さんは、どのように技術を習得し、今何を思うのでしょうか。インタビューを通して迫っていきます。
斎藤 奨悟|アプリエンジニア
社内で最も多くの技術を経験。刺激的な日々を振り返って
斎藤さんは創業からわずか半年のタイミングで入社しています。どのような3年間だったのか、率直な感想を聞きました。
「ゼロイチの開発を何度も経験し、刺激的で面白い3年間を過ごせました。入社直後はコワーキングの一室を借りて30人ほどで働いていたのに、今では自社オフィスを構えるまで組織も拡大しています。事業や組織の成長スピードには日々驚かされていますね。全力で走ってきたからか、あっという間に3年が過ぎ去ったような感覚です」
これまで渡り歩いたのは3チーム。スマホアプリやWebサービスを開発するApp・SaaSチーム、独自のID/Keyプラットフォームであるbitkey platformを構築・運用するBKPチーム、そして現在のW&E Productチームです。
「この会社の中でも1,2を争うレベルで様々な技術を扱ってきた自負があります。最初はBluetoothを用いて自社製品(bitlock)をコントロールしたり、Apple Watchのアプリ開発を行ったりしました。昨年1年間はビットキーのプラットフォームとも強い関わりを持つ顔認証に携わり、今年はiBeaconを利用した新規機能開発をしています」
様々な技術に触れてきた分、苦労も多かったと言います。
「特に、未知の技術に触れたBKPチームでは、開発者として一回りも二回りも大きくなれたように思います。BKPチームへ異動後の最初のミーティングは今でも鮮明に記憶しています。メンバーが何を言っているのか本当に分からなくて、飛び交う用語の一つたりとも理解できなかったんです。焦りましたが、このチームに入ったからには弱音を吐いてもいられません。どうにかするしかないとすぐに切り替えました」
斎藤さんの決死のキャッチアップが始まった瞬間でした。
チーム随一の負けず嫌い。任されたことは100%やりきりたい
技術的に理解不能なレベルから、実務として完璧に扱えるレベルへ。そのプロセスは決して易しいものではありませんでした。
「そもそも『bitkey platform』という概念自体なかなか理解しづらいものなので、頭がちぎれそうになりながらキャッチアップしました(笑)。その過程で大事にしたのは、『分かった気にならないこと』です。自分の言葉で他人に説明できることを大前提としました」
まず最初に取り組んだのは、bitkey platformの図示でした。何と何が繋がって、どういった構成になっているのか、一目見て分かるレベルまで詳細に描いたそうです。
「bitkey platformのリリース作業は様々なプロセスが複雑に絡み合ったものでした。全てを完璧に理解できていなければ、怖くてリリース作業なんてできませんよね。図示によって全体像を掴んだあとは、リリース作業のステップごとに自分の解釈をチームメンバーに聞いてもらって、フィードバックをもらうというサイクルを繰り返しました。この作業には相当時間をかけましたね」
当時、自分の自由な時間はすべて勉強に充てたと語る斎藤さん。なぜそこまで全身全霊を注ぐことができたのでしょうか。
「僕、相当負けず嫌いなんです。前提として新しい技術を学ぶのが好きっていうのもありますが、中途半端で終わらせたくない性格で。任されたら100%やりきらないと自分自身納得できないんですよね。たぶんチームでも一番の負けず嫌いです」
この性格は学生時代からだと言います。大学受験時も「負けるもんか」という思いを胸に秘めながら勉強に臨んだそうです。
「僕が受験した大学の文系は、これまで母校からの現役合格がゼロでした。もし自分が受かれば初の合格者として名を刻めるなと思ったんです。しかし、クラスにもう一人、同じ大学の文系を目指す生徒が現れまして。彼とは偶然にも小学校と中学校が同じで、いかにもライバル的な存在でした。彼にだけ大学に行かれたらたまったもんじゃないなと思って、血のにじむような努力をしました。結局二人とも合格したのですが、そのときの負けず嫌いな部分はいまだに根深く残っている気がします」
「負けたくない」という思いと同時に、「相手の期待値を超えたい」という思いも常にあると語る斎藤さん。強力な信念が斎藤さんの日々のアウトプットを支えているのかもしれません。
「良いとこどり」の開発体制を可能とするために
毛色の違う3チームを渡り歩いてきた斎藤さんですが、今後はそれぞれのチームの良さを掛け合わせ、新たな開発体制を実現していきたいと語ります。
「入社後1年目はtoC向けアプリの開発を担当しましたが、toCゆえに顧客からの問い合わせは非常に多かったです。必要とされたのはスピーディーな機能開発と改善でした。打って変わってBKPチームの特徴は、未来のタスクまでを想定した着実な開発です。この相反する『スピーディーな開発』『堅固な開発』をいかに融合させるかが僕の課題だと思っています」
どちらの環境にも身を置いたのは、社内で斎藤さん一人のみ。その答えを探ることは自分のミッションだと認識しているそうです。
「今のチームでは、2週間サイクルでアプリをリリースをしています。そういう意味ではスピーディーな開発を実践できているんじゃないかと思っています。また、チームではスクラムと呼ばれる開発手法を用いて、予測不可能な部分をできる限り排除しています。タスクの一つひとつにポイント付けをし、安定的なアウトプットを出し続けることを目指した取り組みです。これは堅い開発と言えるのかなと思いますが、まだ『スピーディーな開発』と『堅固な開発』の両者がカチっとハマった感じはないですね。スピードだけを追い求めてもチームが疲弊しますし、着実さだけを大事にしてもユーザーに届ける価値を最大化できません。ちょうどいい塩梅をしっかりと見つけ出して、体系化していきたいです」
ライフプランの実現に向け、この場所で技術力を磨き続ける
これからの目標を尋ねたところ、具体的な答えが返ってきました。
「KotlinやJetpack Composeを用いたAndroidアプリ開発をマスターしたいです。これまではiOSアプリを中心に開発しており、Androidアプリには間接的にしか関わってきていませんでした。Androidは世の中に多くの製品があり、中にはBluetoothが正しく動作しづらい機種もあったりして、開発者としては頭を悩ませることも多いです。だからこそ、攻略してみたいなという気持ちがあります。Androidもマスターできたら『スマホアプリなんでも分かるマン』になれるかなと(笑)」
Jetpack Composeといった新技術を取り入れることによって、自分たちの開発やユーザーの体験をブラッシュアップしていきたいと語る斎藤さん。しかし、Androidアプリであればビットキーでなくとも開発に携わることは可能です。なぜビットキーで働くことを選ぶのか、その理由を問いました。
「将来的に『起業したい』『海外に行きたい』という思いがあるからです。つらいことがあっても今頑張れているのはこれが原動力になっているからですね。現時点では具体的に何かが決まっているわけではないですが、自分のやりたいことが明確になったタイミングで力を遺憾無く発揮できるようにしておきたいと考えています。ビットキーはゼロからプロダクトやサービスを作ることが多いので、自分の頭で考えて設計したり、技術選定したりする機会に恵まれています。自分一人で立つ力が鍛えられていると常々感じられるので、僕にとっては最高の環境です」
「負けず嫌いに見えない」と周囲から言われるほど、常に穏やかな斎藤さん。しかしその瞳には、確かな情熱を秘めていました。
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