子会社設立、フリーランスを経て。この先に見据えるは「インフラの実現」
今回はフルスタックエンジニアの菊地さんにお話を聞きました。
経歴を伺うと、そのカバー範囲の広さに驚かされます。VRエンジニア、Webエンジニア、モバイルアプリエンジニア、EM、PdMなど多岐にわたって活動してきた菊地さん。過去には子会社の設立や独立も経験されています。「最初はビットキーに興味がなかった」と話す菊地さんが、なぜ今ここで情熱を傾けるのか。これまでの人生を辿りながら、その答えを探っていきます。
菊地 英太|フルスタックエンジニア
転職意向0から入社に至るまで
菊地さんのファーストキャリアは早くも大学生で始まります。時代はスマートフォンの黎明期。学生フリーランスとして多数の企業から依頼を受け、様々なアプリの開発に勤しんでいました。新卒でエンタメ業界のメガベンチャーに入社し、実力を磨いた菊地さんはある日、子会社設立の誘いを受けます。
「VR事業の子会社設立に参画し、EM・PM・エンジニアを兼任しました。当時はとにかく無我夢中で。自分たちの会社や事業に全てを注ぎましたね」
仕事の意義を感じつつも、やがて菊地さんは自ら立ち上げた会社を退職する意思を固めます。
「エンタメ業界は人の心を動かせる面白い仕事である一方、一部のコンテンツ以外は寿命が短いのも事実です。どうせ自分の時間を使うなら、長く残り続けるものに使いたいと思うようになりました」
会社を退職し、フリーランスとして独立。退職発表時には、なんと30社もの企業から面談の誘いを受けたと言います。転職意思はないけれど、自身の世界を広げるためにひとまず全ての企業と面談をすることにした菊地さん。そこで出会ったうちの1社がビットキーでした。
「最初は全く興味がなかったんです。でも、当初イメージしていた『鍵の会社』という印象が面談の中で一気に変わりました。ビットキーがプラットフォームとなって、ありとあらゆる領域をつなげていく絵を見て、素直に『すごい』という感想が出ましたね。ある種のIDインフラみたいなものになるなと衝撃を受けました。情熱を注ぐことができるのはこの場所かもしれない、と。フリーランスとして羽ばたいていく可能性を手放し、ビットキーへの入社を決意しました」
環境の変化によって、開発のあり方を再考する
エンタメ業界から舞台を変えた菊地さん。これまでとは領域の異なるプロダクトを開発しています。
「エンタメは人生の楽しみを増やすものですが、現在開発しているプロダクトは生活や仕事に直結するもの。何かあれば人々の営みに支障をきたしてしまう可能性があります。『いいものを作る』という意味では過去も今も同じですが、生活に根ざしたプロダクトの開発に携わることの責任は日々強く感じますね」
さらに、BtoCとBtoBのビジネスモデルの違いによって、開発の進め方も根本的に変わったと感じられているそうです。
「エンタメ企業にいた頃は、コンシューマーの生の声を大事にしながらも『どうしたら楽しんでいただけるのか?』を追求していました。開発起点のベクトルも強かったですね。しかし現在は、法人向けにもプロダクト提供していることもあって、お客様のニーズと事業の発展を優先して開発を進めています。マーケットの声を蓄積していくからこそ、より価値あるプロダクトに成長していくのだと考えてます」
その一方で、プロダクトの立ち上げ期から成長期へとフェーズが変わりつつある今、開発のあり方を再検討していきたいと語ります。
「今後は『自分たちからプロダクトの価値を提示して、自分たちが作りたいものを作る』ということを、もっとやっていいんじゃないかと思っています。『お客様のニーズ』と『開発者としてのWILL』の最適な融合点を見つけていくのが、今後やりたいことの一つです」
自分の利益はどうでもいい。他人にどれだけプラスを与えられるのかが大事
菊地さんは現在、オフィス領域に特化したプロダクト開発チームのマネージャーも務めています。マネージャーとして大事にしているのは、メンバーの意志にとことん向き合うことだそうです。
「マネージャーになって真っ先に、どうなりたいか、何をやりたいのかを全員に聞きました。エンジニアとしてスキルを高めたいのであれば、彼らよりも少しだけ経験が豊富な自分がサポートしますし、マネジメント志向があるメンバーにはマネジメントができるように土台を整えます。自分の目標に向かっているときって成長しやすいですし、コミットメントも高いと思うので、そこは意識しながらやっています」
こういったスタンスは、キャリアの変遷の中で徐々に育まれていったと語ります。
「新卒の頃は自身の成長を大事にしていましたが、会社をやったことで『他人に対してプラスの影響を与えたい』という思いが強くなりました。自分がどうしたいかよりも、他人に何ができるかという、利他的な意識が芽生えたんですね。それが、マネージャーとしての今にもつながっていると感じます。超極論ですけど、他人のためになれないなら生きていてもしょうがないくらいに思っています(笑)」
自分の利益よりも他人への影響が大事というスタンスは、マネジメントだけではなくすべてにおいて一貫しているそうです。プロダクトやサービスを提供する上では、「世の中にどれだけ影響を与えられるか」だけを考え抜いていると言います。
高いモチベーションで日々業務に取り組んでいるように思われる菊地さんですが、モチベーションが下がる瞬間はないのか、素朴な疑問を投げかけました。
「世の中に価値を届けたい、できれば世代を超えてプラスの影響を与え続けたいという一点だけを見ているので、目の前の出来事に左右されることがないんです。自分の作ったプロダクトがダメ出しされて、やる気をなくしてパフォーマンスが出ないとかは絶対にありません。悪いことがあろうが、いいことがあろうが、明日の自分は常に変わらないですね」
菊地さんのプロフェッショナリズムを垣間見た瞬間でした。
GAFAに並ぶ可能性を秘めている、そう心から信じられる
入社から1年以上が経った菊地さんに、少し踏み込んだ質問をしました。フリーランスとして引く手あまただったにもかかわらず、社員としてビットキーにジョイン。正直、この選択に後悔はないのでしょうか?
「後悔はないですよ。割とすぐ行動するタイプの人間なので、もし後悔していたら今ここにはいないと思います。フリーランスの時は一つのプロダクトに向き合う時間は週に10時間程度で楽でした。時間的にも、金銭的にも、精神的にも余裕がありましたね。でも、別に楽するために生きているわけではないので。夢中になれるようなものが今目の前にあるって、すごく幸せなことだと思っています」
そう前向きに語る菊地さんですが、面談時はビットキーの描く未来の実現可能性は10%程度だと感じていたそうです。
「あまりにも大きな話だったので、本当にそんなことができるのか?と冷静に見る自分もどこかにいました。でも入社してみたら、実現可能性はもっと高いし、実現までの道のりは意外と近いと感じています。世界観を大きく持ちながらも、しっかりと具体性を持っている。そこがビットキーの強みだと思います」
菊地さんがこれまで関わってきた事業はtoCエンタメ。現時点のユーザー数だけを比べれば、ビットキーよりも以前の方が圧倒的に多いと言います。しかし、ビットキーがインフラになり得たときには、toCエンタメを作っていた時よりも多くの人に影響を与えられると見立てているそうです。
「ここ数年でインフラと言えるサービスってほとんど生まれていないと思っています。国内だと多分LINEくらいじゃないですかね。LINEの開発初期の方々って、今矜持を持って生きているんじゃないかと思うんですよ。Facebookも、Googleもそうです。時間はかかると思いますが、それらに負けないサービスをビットキーで作ろうとしています。そんなサービスの開発に、社員数200名程度の段階から携われる経験は何者にも代え難いものです」
何世代にもわたって影響を与え続けるもの。「インフラ」という一つの解に辿り着いた菊地さんの旅は、これからも続きます。
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