温度変化での計測誤差は難しい
jun-fu@bitengineers です。
ようやっと梅雨のじめじめした日々の終わりが見えてきました。6月も終わりに近づき晴れ間が多くなってきたようです。今年の梅雨明けは例年よりも早いのでしょうか。
私の盆栽は梅雨の時期の雨続きで乾ききらず、コケが黒くなってしまったり、葉の色があまり元気がないようなものもちらほら。。。日を浴びて回復してもらいたいところです。
さて、今回は盆栽の話から。
黒松の芽切り
元気の良い黒松に6月中旬頃に芽切りを行いました。黒松の短葉法と呼ばれる技法です。
植物に興味の無かった以前の私だったら、ただ葉が短く(小さく)なるだけで何の意味があるのか? と思ったことでしょう。しかしこれが大きな意味を持つのです。
盆栽という文化には、"自然の厳しさ"を表現するというテーマがある。例えとして大自然にそびえ立つ大木の荘厳な佇まいを鉢の中にそのまま再現したい、などです。
葉が小さく(短く)作れるということで樹高が例え数十cm の木でも、大木の迫力をそのままに、縮尺を小さく表現可能になります。
勿論、葉だけではなく幹や根なのも重要ですが、同じ樹種で、もし葉が小さくなる品種があればその品種が盆栽向きの品種と云われ、世間では好まれるのです。葉を小さく作れるということは品種を選定するための条件となる要素です。
葉が大きいままではどんなに大木感を出そうにも人の洗練された審美眼を騙せないのでしょう。芸術においては人間を如何に納得させるか、騙せるかが評価の分かれ道となります。盆栽も芸術的な面があり、芸術として成立するものが価値が高くなり、小さい葉というのはそのための大きな鍵となっているようです。
芽切り作業
実際の作業は3月〜6月で芽吹いた新芽を根元で切るだけです。一年を通して芽が伸び葉が開き成長する過程を6月で一旦切り取り、7月~10・11月の成長に抑えることで短い葉となるようです。
作業前の撮影を失念してしまったのですが、作業後慌てて撮ったものが以下になります。
慌てて撮ったのでわかりづらいですね(汗)。わかりづらいので切った箇所を赤丸つけました。
これらの芽切り箇所で2週間経つとまた新たな芽が出てきています。
暖かくなり始める3月は前年に形成した芽が成長を始めてましたが、こちらは2週間という短い間で芽が生成されて、一部既に伸び始めているものもあるようです。思った以上に大きな変化ですね。
芽切りを試したのは初めてなのでこの変化には驚きました。この変化もどうにか捉えてデータ化できると面白そうです。
今回芽切りをした盆栽は今までデータを計測していたものではないですが、ロードセルの計測では芽切りを行うと必ず重さが減るのでアプリケーションで適切に扱えると良いですね。
重さの話になったのでロードセルの計測値について少々書きます。
計測値の誤差について
実際の計測データをグラフにしたものが以下です。
y軸が重さ [g]、x軸が観測回数(1回目, 2回目…)です。観測する間隔は1m, 3m or 10mとまちまちです。
250g ~ 310g の範囲で水やりの変化が観測できており、一回の水やり毎(水やりして、次に水やりするまで)に切り出し色別しています。
x軸が等間隔ではないのでわかりづらいですが、水やり後軽くなるだけのはずが、重くなっている箇所があります。
屋外なら雨などで説明がつくのですが、屋内で計測していたデータなので雨ではない、と。なんらかの誤差の可能性が高いようです。
ロードセルのデータシートを見ると温度まわりで
$${ 0.05 \% FS/10℃ }$$
という表記があり 10℃変化する毎に 1g(2000g * 0.0005) ほどの誤差はあり得る。
温度を見てみると、
変化が激しい箇所で5℃ ~ 10℃くらいの変化があります。データシート通りだとしても数gの変動に収まるはずが、実際は 5g ~ 10g の変動なので他の要因もあると考えたほうが良いのかもしれないです。
筐体・ケースが温度で変化してロードセル接続部分が緩み、計測値に影響が出る、なども可能性として挙げていくと厳しいですね。
この際もっと大雑把に誤差含むデータをすべて均して使ってしまう。
この場合では 1時間当り 1.79 g 鉢の水が減っていく線に近似していく結果になりそうです(入力値の一つの温度がそれほど影響しなくなりそうな)。
おわりに
今の計測データをイジっていても、きっと明確な答えはない気がしてます。
このままでは新芽や若葉などの小さい変化を正しく計測できるのか?
最近は、いっそ計測を第一に考えた環境を作って、そこに盆栽を飾るという逆アプローチも面白いのではないか、と思い始めてます。
以上です。
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