氷室まんじゅう
7月1日は「氷室開きの日」。江戸時代のこと。冬の間に氷室に保存しておいた氷を掘り出して、加賀藩が徳川幕府に献上するために送り出す日なのだ。道中の無事を祈ってお饅頭を食べる日なのだ。
子供の頃は、親にいわれるまま、この日に饅頭を食べていたが、子供心によくわからない行事だった。氷室から氷を掘り出す日なのになんで饅頭なの。かき氷でも食べればよいのに。そもそも、加賀藩と幕府の間のやり取りなのに、なんで下々のまでもがからむようになったの。子供の頃は饅頭が好きでなかったこともあって、そんなふうにひねくれた見方をしていた。
酒種を使い小麦を発酵させた皮で少なめの餡をつつみ蒸し上げた酒饅頭は、あっさりした餡の甘みと、できたてのふっくらした皮の感触、風味がいい。今は毎年この氷室饅頭を楽しみにしている。
金沢の人たちはそれぞれにお気に入りのお店があって、「やっぱり氷室万頭は○○やろ。」とか「あそこは皮がうまい。」とか言いながら、饅頭を互に送りあっているのだ。多分氷室開きの日に金沢、石川県で販売される饅頭の数はものすごいだろう。昨日の新聞では、とあるお店は氷室の開きの日、一日だけで2万個の饅頭を売ると書いてあった。金沢市民は、7月のこのクソ暑い一日に、狂ったように饅頭を食べているのだ。
私のお気に入りは越山甘清堂。今年も妻が武蔵ヶ辻の本店まで行って、出来たてを買ってきてくれた。餡があっさり、皮が厚めでもちもちで、何個でもたべられる。油断してたら立て続けに5個も食べてしまった。
越山甘清堂
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