時代は流れていく
今週の一枚
この湧き水は100年以上前から湧き出てる水だ。
父親の話だと、かなり昔に地震があった時には湧き水が止まった時があったそうだ。
その時はまだ水道水が引かれてない時で、僕の家族はこの湧き水こそが命の源だった。
結局は1週間ほどで、また湧き水が出るようになって今に至るんだけど、とにかくずっとこの地域を潤してきた湧き水だ。
昔は僕の家族がこの水源の一番近くに住んでいた。
湧き水は綺麗な水と言われている。それは山に降った雨や雪が地面にゆっくりと染み込んで、その過程で土や落ち葉、枯れ木などにろ過されて、余分な汚れがそこで取り除かれるためだ。さらに地中の成分まで吸収して、ミネラルも豊富な水となって湧き出てる水だから、水質が安定して綺麗な水となってるのだ。
だから、絶対にこの湧き水を汚すことが出来ないと父親は言っていた。
なぜなら、この湧き水の下流にはこの水を使う人たちがいるからだ。
だから、僕たちが湧き水を汚してしまうと、たくさんの人に汚れた水を届けてしまうことになる。
俺は、この思いを今の時代を生きてる大人に深く心に刻んでほしいと願う。
「自分たちだけが良ければいい」ではないのだ。
今の子供たちに湧き出たばかりの綺麗な湧き水のような時代を明け渡すべきなのに、今のこの時代はなんなんだ?
とても綺麗な時代とは思えない…
言葉は悪いが、僕を含めて自分たちだけが良い思いをしようとして来たツケを、全て可愛い子どもたちに押し付けて、いなくなろうとしてないか?
時代の下流にいる子どもたちに、汚れた水を押し付けようとしてるのが、今の大人たちなんだと思う。
決して、僕だけが綺麗な大人のフリして言ってるわけじゃないんだ。
僕自身が自分の事だけ考えて生きて来たから、この先の未来の子供たちの事を考えると、胸が痛くて申し訳なくて、自分が情けなくなっているから文章に残してる。
でも、もう遅いと決めつけて僕は何も動かないでいた。
この綺麗な湧き水のような時代は、もう戻って来ないと無責任に諦めてる。
でも、そうやって、何十年も前の大人も「もう遅い…」と諦めてきたから、今の時代があるんだろうな……
この写真は、何も言わず百年以上前から湧き出てきた水の写真だ。
この湧き水は「もう遅い」なんて思ってないはずだ。
百年以上前から、自分の出来ることをして来たのだ。ずっと綺麗な水を下流に送って来た。
だから、僕はもう遅くとも、僕だけでも、この湧き水を絶対に汚さないと心に誓う。
そんなことを思った、今週の一枚です。