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夢見る恋のアプローチを学びたい!
今年というか、僕にとっては人生の一生の学びだと思うのですが、僕は恋のアプローチの仕方があまりよく分かりません。
本当は右に行かなければ成功しない恋のラブリーロードを、僕は逆の左に走ってる感じです。それも全力疾走で。
僕の人生ではそんなエピソードが満載です。
例えば、初恋では、保育園でまん丸お目々のゆりちゃんに恋をしたのですが、お目当てのゆりちゃんは他の遊具に夢中。
それを見て、何を思ったか頭の中がまだ木魚のように空っぽの幼いジョージは、ゆりちゃんの前で小石を食べたのです。
すると、ゆりちゃんは、
「すごぉ〜い!」
そう言って、僕に注目してくれました。これに味をしめた僕は嬉しくなって次々と小石を食べたのです。しかし、家で飼ってるポメラニアンがお手をするぐらいのしょうもない芸では、ゆりちゃんのハートを射止めることは当然出来なくて、逆に保育園の先生に僕のお手々が止められただけでした。
ここでの間違いは、人に好かれるのは注目を集めることではないということです。幼い僕は奇抜なことをして、こちらに注目されたら「ジョージちゃん好き♡」になると思い込んでたところです。
それが正しいならば、渋谷のスクランブル交差点で突然全裸になるといい。
そうすれば、僕は間違いなく注目され、みんなに愛されてるのと一緒です。
今では保育園での恋のアプローチは間違いだと、笑って語れますが、この恋の袋小路は小学校でもあったのです。
僕の住んでるところは、かなりの山奥で今でも携帯の電波が届かないところです。なので、僕は小学生の5年生まで町の夏祭りに行ったことがなかったのです。
元々、人見知りなのもあったし、何より僕は自分のファッションに自信がなかった。小学生は制服だったから、ファッションに気を付ける必要はなかったけど、普段の日は私服で出ないといけない。
僕は山奥に住んでて、気軽に町に行けないということにあぐらをかいてたのです。自分のファッションセンスを磨いてなかった。母親の買ってくる服をそのまま着てるようなお坊ちゃま気質だったのです。
そんな僕が小学校5年生の時に、また恋に落ちた…
エクボのある可愛いいあの子
その子が夏祭りに行くとの情報を僕の中のCIAがキャッチしました。
僕はすぐさま母親に懇願しました。
「母ちゃん、僕も服を買いに行きたい!僕自身の渾身のファッションセンスで選びたい!」
その心意気を感じてくれた母親と共に、僕は家から50分近くかかる街に夏祭りというジャパニーズカーニバル用の服を買いに行ったのです。
「こんなエリじゃダメだ!この色ではエクボのあの子の心は揺さぶれない!こんなトンガリ靴でただのピエロになっちゃうよ!」
僕は本当に必死になって、11才という人生全ての情熱と思いの全てを服選びに投入しました。
しかし、ファッションというのは必死になってるところを表立って見せてはいけないのぐらいは分かってる。
「えっ?いつもオシャレだって?そうかなぁ、寝起きて、そのまま近くにある服を着て来ただけなんだけどなぁ〜」
と、こんな風に自然体でなければいけない。
だから、僕は夏祭り当日も自然な顔して、初めての夏祭り会場に向かったのでした。
もう何回も夏祭りを体験したような顔をして…
しかし、選びに選んだこのファッション!自信がないわけはない。でも内心は夏祭りエキスパートの顔をしてますが、心はディズニーキャラクターのように心臓が飛び出すほどにドキドキです。
あっ!向こうからエクボのあの子が友達と一緒に歩いて来る!!
僕は冷静に小粋に軽いスキップをしながら、素知らぬ顔をしてエクボのあの子の横を通り過ぎました。
エクボのあの子の友達が、
「あっ、ジョージちゃんがいる!珍しい!」
そんな声が聞こえてきました。僕は心でニヤリです。
「そりゃ驚くだろう、めったに下界に降りてこない僕が初めて夏祭りに来たんだ。さらにそのファッションはこの町一番のハイセンスときたら、驚くのは無理もない。さぁエクボの、かわい子ちゃん僕に恋のシャワーを浴びせておくれ!」
そう思った瞬間、エクボのあの子の口から、
「ダサ〜〜い」
僕はその日から夏祭りに行ったことはありません。
その日、僕の恋は夏の夜空で花火と共に砕け散りました。
ファッションなどで人の心は奪えません。例え、奪えたとしても、それは花火のように一瞬の輝きです。
今年、いや、一生をかけて僕は学ばねばなりません。
恋のアプローチ方法を。
夢見るだけのアプローチではなく、実のあるアプローチを絶対に学んでみせます!
これが僕の今年の学びたいことです。