blue
非実在の引き金を引く仕草してそして始まる雨を見ている
真夜中にととのえる爪 継ぐことのなくても死へといたる身体だ
交わす約束のすべてを裏切りの伏線として笑う友人
ああきっとつぎも撃ちそこねるだろう風をはらんで夏服は白
友よ そうするほかになく炎天にふたり立つ百年を憎むか
虹の真似をするごと水は弧をえがき向日葵畑にひろがってゆく
こんなにおれが貴くておまえの手からこぼれる青い花だったのだ
もういいじゃないか。なんでも。くされたる草の蛍となるカテドラル
あとはぜんぶ手に入れるだけ ひとなつの鳴いた蝉/鳴いたかもしれん蝉
たかが神、落として緑 にんげんがにんげんにするように愛せよ
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2015年発行のBL短歌誌『共有結晶 vol.3』に寄稿した連作です。