おいしくてつよくなる。(その名はビスコ)
今月、わが家の犬が、13歳を迎えました。
人間の年齢に換算すると、64〜68歳くらいだそうです。朝、家族が外出して二人きりになると、家事をこなす私の後をついて離れず、真っ直ぐな眼差しで、こちらを見上げています。陽射しの明るい日中に、ふと目をやると、年月の流れを実感せずにはいられず、
「あなたも…歳を取ったねぇ…」と呟きながら撫でて話しかけます。「そうなのよ…」とキャッチ。同じ女同士。何故か?わたしは彼女の気持ちも言葉として理解出来ます。また彼女もわたしのことを分かってくれています。やって来た時は当然の赤ちゃん。姿、形は変わらないのに、走り抜けた時間と共におばあさんに。口周り、目の周りの毛も白くなって、耳も少し遠くなったようだし、食欲だけは旺盛で食いしん坊。散歩も大好き。夜一緒に寝ていると、かわいい寝息と寝言が聞こえてきます。手を伸ばしモフモフし、犬くさい匂いに安堵します。
ある夜、「このままずっと一緒にいられたら…」と、また求めても仕方がないものを、追い求める苦しみが、ふいに蘇り、切なくて堪らなくなりました。
こういう時は、本に頼るのが常です。子供の頃から、大人たちが教えてくれない答えは、全て本が教えてくれたと言っても過言ではなかった。そんなタイミングで、ふいにある絵本が降りて来た。
https://note.com/alohadesign/n/nefc7e31cf0c4
そして僕は天使になった 文・絵 池谷剛一
今は無き、光琳社出版…。
京都にあったサブカルチャー的な、個性的で、素敵な本を独自のセンスで、取り扱っていた出版社でした。ジェフリー・フルビマーリ画集も買ったりしました。
飼い主も、その友達も…
みんなに僕は見送られた
みんな大粒の涙を浮かべて
花に埋もれた僕を見た
僕はどこへ行けばいいのだろう?
誰も答えてくれない
ただひとつわかることは
僕は死んで
みんなからは見えない僕に
なったことだけ…
さあ、僕はこれから
どこへ行こう…
「死んだら天使になる」って
聞いたことがあった
確かに背中になにかついていた
でも小さすぎて飛べやしない
しかたなく僕は
目的もなしに
歩いてみることにした
こんなに自由に街を歩くのは
はじめてのことだった…
好きなときに寄り道できるし
好きなときに匂いも嗅げる
飼い主の気分で行きたい道を
無理やり変えられることもない
耳元でうるさい、あの鎖の音もないし
なんとも自由だ
⭐️⭐️⭐️
あてもなく歩く。地平線に続く線をなぞるように歩いてゆく。
天に召されるまでの、最期の場所、時間。
この世を去る瞬間に、思い出すのは、幸せだった、あたたかな記憶。
僕はいろんなことを思い出した
遠い昔の楽しい思い出を
真っ白な光の中で
友人が以前、「自分は永遠のいのちなんか要らない。自分の性格上、尽きないとわかったら、ダラダラするに決まってる。やっぱりいのちは限りがあるからこそ、生の輝き、尊さが、際立つと思うんだ」と話していた記憶も還って来た。
わたしもそうだ。memento・moriを思う時、死への恐怖では無く、「自分の人生には限りがある」という認識をする為のものだったのだと、改めて、この絵本を読んで、そう思った。
クローン技術が発達しても、必要がない。今、現在を生き抜いて終わる。それでいい。
動物と一緒に暮らしていると、「自分が自分として」それ以上でも以下でも無く、素直に受け入れて、直感を大切に日々を過ごす意義を教えてくれる。決して難しいことは無い。食べる、遊ぶ、寝る。生き物として本来の姿。至ってシンプル。
「後、4〜5年というところだろうね…寿命としては」動物病院の先生に言われた。先天的に心臓に疾患があることも、最近知った。投薬もしている。
「色濃く生きる」まだ時間はある…。
毎日、話しかける。魂で通じ合う。見つめ合う。触れ合う。今、この時間を共有できる喜びを全力で味わう。
機会に恵まれるならば、ぜひ、人間以外の動物と暮らすことをおすすめしたい…「この子を守るために」が、生きる原動力を与えてくれる不思議。
そして、ウチの犬。ビスコ🐕。
可愛い永遠の乙女(ちょっと気が強い)
「抜け毛が布団に付くのよね…」と言いながらも撫でる。
【おいしくてつよくなる】そのものの犬✨ということで。
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