私とぽろしり収穫
我が家のベランダにはふさふさと茂ったぽろしりがいる。いや、いた。
奴は早々に花をつけることもなく枯れてしまったのだった。
前回ぽろしりの話を書いた時はまだ全然青々と茂っていた。
が、この後事態は急変する。
ある日なんか葉っぱが黄色くなっているのを見つけた。花もつかないようなそんな季節に?
ググるとでてきたのは「モザイク病」。
ウイルス由来で一回罹ったらもうアウトらしく株を引っこ抜くしかないらしい。
ここで私はうっかり「いやでも今まで通り葉っぱをちぎれば治るのでは?」などと現実逃避してしまう。
そして風の強い日に外にそのまま放置してしまった。
そうしたら3株いたうちの2株にしっかり感染した。
こうなったら最後の1株にはなんとしても生き残ってもらわないとならない。
仕事から帰ってきた後の夜中に泣く泣く株を引っこ抜いた。
今回モザイク病に感染した原因としてはまず適切管理された種芋を買わなかったからじゃないかと考えている。バケ土を買う時に一緒に雑貨屋さんで既に芽が出てる芋を買ってきたので当時はラッキー✌️と思っていた。
第二に間引きをしなかったことだ。これは単純に私が「たくさん株がある=たくさん芋がとれる」という卑しい考えのもと抜かずにそのままおいたからだった。
間引きをしないとこういうことになるらしい。
本当に作物は育ててみないとわからないんだな……と思った。
そして間引かれた後の一株はすくすく育つ……かと思ったがしっかりうどんこ病に感染、農薬ブシャブシャの健闘かなわずゆっくり枯れて行った。
私は花もつけずに枯れて行ったこのぽろしりを見ると悲しくてしょうがなかった。毎朝家を出る前に、今日も元気かと見に行くのがすっかり習慣になっていた。花をつけて元気に育ってほしいと願っていた。それなのに私の不手際で枯れてしまったのだから…
後始末のために土を数日乾かして掘り起こしてみた。
すると、何かポロポロとでてくる。芋だ。
市販品には遠く及ばないサイズだが小粒ながらしっかり育っている。
3月からの僅かな期間でこんなにしっかり育っていたなんて。結構嬉しくなった。ぽろしりは自分が与えた水やら農薬やらにしっかりと応えていてくれていた。
私が費やした時間や手間が無駄じゃなかった、という安堵感よりもそれ以上にこんなに大きく育っていてくれたんだという嬉しさが勝った。
ぽろしりを育て始めてから他の育てている人の写真をよく見ていた。うちには設備がないし、追肥もわからないから何だか小さい気がするし、葉っぱも色が薄い気がする。
きっと気がつかないうちに子供がしっかり育っていることに気がついた親はこんな気持ちなのかもしれない。
ぽろしりは煮っ転がしにした。
ちゃんとじゃがいもの味がして、甘くて、おいしかった。