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2024年ドラフト会議、ロッテの指名について。
10月24日木曜。
今年もプロアマ問わず、野球ファンの祭典ドラフト会議が行われた。
直前の見どころとしては、金丸と宗山の大競合、中村・西川の一本釣り、清原の息子さんはドラフトかかるのか?などと大学生に注目が集まっていたドラフト。
さてさて、ロッテのドラフトはどうだったか。
個人的な感想を書き連ねてみる。※支配下のみです。
まず結果はこちら。
1位.西川史礁(青山学院大学)
朝方の報道では宗山が有力視されていたロッテの1位指名。
結果は、大学日本代表では3年時から4番を務め、今年の3月には日本代表に選ばれた大学BIG4の一角、西川史礁であった。
昨年のドラフトで度会(現・DeNA)に突っ込んだ(抽選で外してしまったが)経緯もあり、球団としてはとにかくその年の良いスラッガーを獲るんだという姿勢が見える。
3月時の日本代表では初球をフルスイング、痛烈な二塁打を放つなど実績、実力ともに折り紙付き。
私としては、意図さえあって良い選手(大学BIG4)を指名してさえくれればなんでも良いと思っていたので納得の指名。
また編成面では、
・ロッテの2軍ではセンターにマーティンや平沢、最近では寺地(フェニックスリーグのためあまり参考にはならない)が守るなど、次世代の候補がいなかった。
・1軍では、今年センターを守っていたのは藤原や髙部、岡であったが藤原と髙部は怪我のリスクが高い選手で通年センターとして計算はしにくく、岡はもう33歳でそろそろ両翼に回していきたい。
この2点から、中堅手としても計算できるこの選手を獲りに行ったのはいろいろと合点が一致した。
とはいえ、中堅手なのかどうかはまだまだわからないところではある。
この大学日本代表合宿のノックを受けてる姿を見て欲しい。
この軽快な足捌き。
内野手として育ててみても十分に大成するステップの多さや運動能力だと思う。
実際、指名挨拶に来た吉井監督も、
「今は外野なんだっけ?でも色々な可能性がある選手なので良い「野手」になってほしい」というコメントを残したとおり、たくさんの選択肢がある、未来が非常に楽しみな選手である。
2位.宮崎竜成(ヤマハ)
私の知識不足で申し訳ないところであるが、知らなかった選手なだけにとても驚いた。
1位指名を野手に使ったので、ロッテでは田中晴や中森の台頭、木村・早坂の未来があるにせよ、ここはひとまずローテ狙える投手でいくのかな〜。篠木?今朝丸?藤田?もしくは狩生ここでいっちゃう?なんて思っていたので正直「大丈夫かよ?」て心配になる指名だった。
しかし3,5位の大卒投手、4位で素材型のポテンシャルを感じる高卒右腕を指名して、野手と投手のバランスを整えてきたので終わってみればすごく良いチョイスになったのでは、と感じる。
評価を見ると、打撃型のセカンドという感じ。(だからといって動けない訳ではない、脚は早いらしい)
守備の動画は見つからなかったため、プロでセカンドをやれるのかというところに疑問なところだが茶谷でやれてるんだから、通年の絶対的セカンドという見方をしなければ大丈夫だろう。
打撃について。
調べたところこれしか映像が見つからなかった。
ホームランを打ってる映像だったため、率がどんなもんか、凡退時はどんなスイングかが観れてないのでポジティブな評価しかできないが、とても惚れ惚れするスイングをしている。
というか、ロッテにいないタイプ。
どこらへんが?というと、
構えてるときに、バリー・ボンズのように左肘をくくっと上げ下げしているところ。
MLBのトレンドというか、基本でもあるのかな。
構えの時点で意識的にトップハンド側の肘を上げてる選手はバットを振り出した時に、自然と縦で、インサイドアウトの軌道が作りやすいため、引っ掛けたりするような凡打よりちゃんとしたフライやライナーが飛びやすい傾向にあると感じる。
イメージとしては安田悠馬(楽天)とかがそんな感じ。
あくまで私の価値観での枠組みなので、何言ってんだ?とか思われたら、ごめんなさい。
まぁそういうことなので打撃に関してはなかなかワクワクさせてくれる選手だと思う。
確かにこの手のタイプは市場に少ないし、もし美味しい順位まで我慢した結果取り逃ししてしまったらもう替えが効かない。
投手は右腕なら尚のこと同タイプは結構いるんで、野手を優先的に指名したのはとても好感が持てる。
めちゃくちゃ楽しみです。
編成面においては、今年の1軍の二遊間は主に友杉、小川、藤岡で回していたが、
・茶谷が今年は底で、二遊間のサブとして計算できなかった。(去年ができすぎだった?)
・小川の台頭、ショートとしても計算できそう。
・2軍で松石がほぼ通年ショートで出場できた。
・セカンドコンバートした藤岡が怪我をしがち。通年は計算しにくい。
という点で、ショートにこだわらなくても大丈夫、じゃあ強打のセカンドを。という指名に踏み切ったと感じる。多くの人の見解通り、ショートは友杉と小川、セカンドは藤岡と宮崎でいきたいと考えているのだと思う。このタイプの野手は指名終わった結果としてみたら、ほぼいなかった存在なので2位も終わってみれば納得である。
3位.一條力真(東洋大学)
身長190cmと長身右腕。
150kmを超えるストレートとフォークが持ち味。
これはもうロッテにお任せというタイプの選手を獲ってきた。
これだけの素質かつ出力の投手を獲れたなら一安心といったところ。
これで一気にドラフトの見栄えが良くなった印象。
意外だったのが、スカウトのコメントで「リリーフタイプ」という言葉があったこと。
野球の序列の固定観念として、どうしても
先発>リリーフという考え方がある中、今年のロッテのドラフトの中で、投手の1つめの指名が「リリーフタイプ」なんだぁという感想になった。
これは恐らく、吉井監督のこの考え方がベースになっているのかなと。
1,2位で野手ときて、3位で投手となると、優秀なスターターなぞそんなに残ってない。
じゃあリリーフとして計算できそうな選手から獲ってみようかという視点でのこの指名なんだと思う。
ロッテの近年のリリーバーといえば、西村、澤村など速い球とフォークを武器にする選手や、国吉など長身から投げ込むタイプなどの活躍が目立つ。
それらに続いて欲しいという狙いが伝わる指名であった。
4位.坂井遼(関東第一高)
そろそろ木村や早坂、種市などの枠に通ずる高校生右腕が欲しい頃合い。個人的にとても狙っていた狩生(佐伯鶴城)を先に獲られてしまい、清水大暉(前橋商)がまだ残ってるなぁ〜、なんて思いながら見てたところでの指名。
178cmと、180cmに満たない身長のため意外なチョイスだな、というのが率直な感想。
しかしながら、高校進学後から投手に転向し、
今年の夏の甲子園を観てた人ならわかるだろう、あれだけの投球ができるポテンシャルの高さ。そこを買っての指名なのかなと。
そこの部分は去年の早坂響の指名と通ずるものがある。
ただ、今回の坂井についてはしっかりと最後の夏で甲子園という舞台で結果を出したという付加価値がある。
先発ではなかったため、出力の配分はあるにせよ、どの場面でも140中盤を安定して放り込んでいたのも魅力。
だいたいこういう時はMAXで過大評価を受けがちだからね。
2位のときに名前を出した、今朝丸や藤田。高3夏での結果だけみたら上の成績だし、準優勝まで導いて勝たせる、そういったギアチェンジも出来ていた。
4位でこの投手を獲れたことは非常に大きいと感じる。
また、地元枠という枠組みでもこれだけの投手を獲れたのもでかい。
5位.廣池康志郎(東海大九州キャンパス)
こちらは高校2年から投手を始めたという選手。
185cm、最速は152km?とポテンシャルを感じる。
投げ方の粗さや、ストレートの球速のムラなど大卒投手とはいえまだまだ素材型な印象。
下でじっくりローテを回ってもらい、数年後に先発の柱となってもらいたいところ。
5位でこれだけの器の選手が獲れるのは、投手が豊作な年だったんだなと感じる。
というか、近年のドラフト候補のレベルが上がってる印象。特に投手は著しい。
6位.立松由宇(日本生命)
今年は通年、大下がファースト・サードの補欠と第3捕手枠としてベンチにいた。
しかしベンチにいただけで、試合での貢献面はほとんどなかった。(しかしイニング間のキャッチボールや、捕手の防具つけてる間のキャッチャーなどの働きはあった)
これではあかんということで、この立松に白羽の矢が立ったということだろう。
競争を促すためにも、あらゆる選手が代わるがわる試合に出て、結果を出して層を厚くするのが理想。
所謂、強いチームは「サブ」も強い、ということ。
今年は茶谷、大下といったサブが全くもって試合での存在感を発揮できなかった。
そのシーズンの反省を活かすべくの指名。
この選手はもともと捕手としてドラフト候補に名を連ねていたが、近年はファーストでの活躍も光っているということで、打撃型第3捕手として存在感を発揮してくれるのを期待できる選手。
トップに入る準備がとても早く、すり足でクセのないステップのため、プロのストレートにもある程度対応してくれそうなのが良い。
尚且つ大きく鋭いスイングは、長打を期待できとても魅力的。
ポジション、スイングのタイプとしてもロッテOB橋本将のような選手になってもらいたい。
年齢や、社会人としての地位もあり、入団に迷っているようだが、彼ならどちらの選択を取っても成功を収められるだろう。
自分の人生、精一杯悩んで、成功への道を歩んでもらいたい。
総括
大卒スラッガーをドラ1、そして社会人野手を2名。
ここまで即戦力に振ったドラフトはいつぶりなのだろうか。
調べたら藤岡・菅野を指名した2017年以来だった。
その年のロッテは新外国人のパラデス・ダフィーの不振や、他の選手の台頭もなく伝説的な貧打で、最下位に沈んでいた。
そこで危機感をもってのあの指名だった。
今年は3位で、当時と状況は違えど野手の層には同様の危機感を感じているんだなと感じる。
確かにポランコ・ソトの活躍で3位に食い込めたが、彼らも年齢は33歳、35歳と衰える一方。
ストレートにも差し込まれる場面が増え、ここから成績が上がるとは思えない。
であれば前年の成績を上回ることは至極難しい、優勝なんて尚のこと。
そこで手を打ったのが
今回の社会人野手2名、そしてドラ1に大型スラッガーの指名。
ネームバリューのこともあり、2位宮崎はなかなかに衝撃であったが、彼を調べれば調べるほど期待は増す。
筋肉が凄いが、どうやら脚も速いようなので脚もしっかり鍛えてるのだろう。
セカンドも通年はわからないが、守れるのでは?と希望がある。
あとは立松。彼が入ってくれればマリーンズの野手は良い厚みを持てる。
投手に関しては、左腕を取らなかったという話があるが、金丸・吉田・徳山と良い左腕が残っていなかったので仕方ない。
だったら得意分野の長身右腕で確実に育てに行く。
これで良い。だって間違いないんだし。
そんなこんなで終わってみれば、ロッテにとっては100点のドラフトだったと思います。
(だって2位で浦田とか、5位で山縣とか良いドラフトやん!てなるけどロッテにとっての話はまた違う。)
今年も楽しかった。
スカウトの皆様方、お疲れ様でした。