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現代は着物が着やすい時代
着物が日常の装いであった時代と比べ、
現代では「正しく美しく着る」ことが重視されているように感じます。これは、着物が冠婚葬祭などフォーマルな場で着用されていた時代の名残とも言えるでしょう。
さらに、今日ではYouTubeなどで着付け師の方々が美しく着るためのポイントを細かく教えてくれるため、自然と「着物は美しく着るもの」という考えが定着しているように思います。
私自身、美しく着ることが好きなので、さまざまな情報が得られるのはありがたいことです。
しかし、一部の人にとっては自信が持てなかったり、「着物警察」と呼ばれる人々の視線が怖くて、なかなか気軽に着物で出かけられないということもあるようです。
昔の写真を見ると、おはしょりや帯揚げがかなり乱れていることもありますが…
それはさておき、現代の生活は着物がとても着やすい時代だと思っています。
一年中、空調が整っていますし、都市部では公共の交通機関も便利で、車での移動も一般的です。
道路は整備され、埃が舞うこともありません。
日本は比較的どこも清潔で、化粧室も洋式が主流です。便利な着付けグッズや疲れにくい草履、洗える長襦袢や着物など、着物生活を楽にしてくれるものがたくさんあります。
私自身、「着物は大変そうね」と言われても、大変だと思ったことはありません。強いて言えば、家のドアノブに袖を引っ掛けて破ってしまったことくらいでしょうか。
それでも「着物は大変そう」というイメージを持たれるのは、着付けが難しそう、保管やお手入れが大変そうという理由があるのかもしれません。しかし、着物が好きな人間にとっては、着付けを練習し、少しずつ上達していくのも楽しいですし、家に帰ってから干して、次回着るときのためにたとう紙にきれいに畳んで仕舞う作業も全く苦ではありません。要するに、好きなことに関しては、難しいとか面倒だとは思わないものです。むしろ、それも含めて楽しいのです。
着物が着やすい現代においても、普段、街中で着物姿を見ることはほとんどありません。もし、着物を着る人を増やしたいと考えるならば、着物に興味を持ってもらい、好きになってもらうことが最も大切かと思います。そのために、私たちは着物でお出かけしたり、着物で美しく立ち居振る舞うことを意識したり、また着物について語ったりしています。私たち大人が全力で楽しんでいる姿を見て、若い人たちも着物の世界を覗いてみたい、あんなふうにきれいに着てみたい、いつか私も!と思ってくださるのではないでしょうか。そんなふうに文化が継承されていけばと願いながら、これからも着物を楽しみたいと思います。
※あくまでも私個人の見解で書いています。至らない点や誤解がございましたら、どうかご容赦ください。