人は本で作られてるよな、と実感した下北沢「BOOK SHOP TRAVELLER」
「下北沢に“本屋”を出した」と知人。面白いところだなと思い、さらに確かめると、どうも本屋の一角にある本屋なのだとか。いわば本屋in本屋? 場所は古着屋の上? 「本屋のアンテナショップ」、下北沢のBOOK SHOP TRAVELLER を紹介します。
下北沢駅から徒歩2分、古着屋の上に本屋
駅の中央口を出て、東口(みずほ銀行やPeakok)へ。細い道を進んでいくと、わりとすぐに、店の看板を見つけられました。あとで分かったことでは、今年7月にやはり下北沢から移転したそう。
店のある3階へはビルの外の階段を上がります。大型書店にはない、わくわく感を抱きながら、いざ入店。
「本屋のアンテナショップ」BOOK SHOP TRAVELLER
細い廊下を進むように入店すると、突き当り左手にはレジと店員の姿。右手に進むと本屋が広がっています。この間取り、お化け屋敷みたいだなと失礼ながら思いました。実際はとっても入りやすく居心地が良いんですけれどね。
この書店の名前は「BOOK SHOP TRAVELLER」。小さな書店の集合体なのだとか。
このお店のコンセプトを挨拶文から一部引用してみます。
全国各地の実店舗のある本屋、無店舗ながらイベント出店やインターネットで活動する本屋をはじめ、作家、zine/リトルプレスの著者、出版社、ブックカバー作家など本に関わるすべての人を広義の「本屋」と捉え、当店に出店していただいています。さらに、当店は、本屋を目当てに各地を訪ねる「ブックショップトラベル」という、カルチャーを全世界に広めるための発信基地でもあります。
店内は45×30センチの箱、が壁いっぱいに積まれ、その一箱一箱が、それぞれ店主のいる“本屋”。
「今は、70店ほどはあります」と店員さんは話してくれました。
すごい!
楽しみ方の一例
さて、壁一面の“本屋”たちを見た第一印象は、ごちゃまぜ。それぞれの“本屋”は、各店主が自由に本や小物を置いているため、当然ながら、全体での統一感はありません。レンタルショーケースのような感じ。
店員さんが楽しみ方を教えてくれました。
「一冊好きな本を見つけると、その隣に置かれている本が好みに合ったりします。皆さん、そうやって楽しんでいる方が多いようです」
なるほど!
そうした目で見ると、箱の中身の統一感がしっかり目に入ってきます。
ビジネス書だけを置いている箱、詩集が主なラインナップの箱……本当に様々。先ほど書いたとおり、幅は45センチ。本の背が見える状態で、きつく並べても30冊程度。でも、そこには一箱ごとの箱庭をのぞくような、宇宙を飛び回るような、面白い体験です。
新しい世界と知識吸収に
本は、それ自体が、誰かの考えを形に残したもの。
それを一冊一冊積み重ねて、アップデートしてきたからこそ、今の自分たちがある。と、本好きの私は思います。
一箱の“本屋”には、その積み重ねが見られ、集合体としての店主の性格が垣間見られる気がします。「あぁ、人は本で作られてるよな」と。
ミクロでもあり、マクロでもある本の世界。
「本屋のアンテナショップ」で触れられるものは、本もあるのだけれど、同時に誰かの姿。
本好きはもちろん、新しい刺激を探してみるのにも良いなと思いました。
https://wakkyhr.wixsite.com/bookshoptraveller