BIGBANGを生で見てしまった
昨年は東京で、今年は大阪でMAMAという韓国のミュージックアワードのチケットが取れたので行くことにした。
正直に言えばそこまで熱いK-POPファンではないかもしれない。好きなグループがないわけでもないが、一度そのグループが載っている雑誌を買ってみたけれども保有していたい気持ちにならなかったので偶像崇拝をしたくはならないらしい。
ただ世界市場になったエンタメの現場に行きたいという気持ちで気になっているグループのコンサートには足を運ぶようになった。いつも一人で何のグッズも持たず、買わず、大して声も上げず見ているので、誰かの気に留まるようなことがあれば何でこの人来ているんだろうと思うかもしれないが、観客はみんなステージの方にしか意識がいってないだろう。
ステージを一つ作る。ステージの上に立つことの困難さをいつも思う。装置が大きくなればなるほど演者だけではなく、スタッフ、ダンサー等の膨大な力、立つ側もそこに負けないだけの日々を過ごしていなければ、怖くて立てないだろうと思う。いつもその場を華やかに立っていて、作り上げている人に心が攫われることを望んで見ているのかもしれない。
MAMAはそんなエンタメの中でも最高峰のステージが見られるのは分かっていたので今年もアーリーバードから申し込んでいて1次抽選で11/23のチケットを当てられた。なんとなくネットで見た限り、この辺りの段階では当選している人が多かった気がする。
だから倍率が低いと思っていたのだが、どうも落ちている人もまあまあいるようだったので出演者の発表自体がほとんどされていなかったので誰がどこに出るか分かってから申し込む人が多かったんじゃないかと推測する。ちなみに私は昨年はなぜかアーリーバードで当たってアリーナ席で、今年は1次でそこそこよく見える席だったと思う。(個人的には1名分で申し込んでいて最終抽選まで外れたことがそうないので隣に誰もいなくても平気だったら知らない誰かと結託するよりは1名で申し込んだ方がいいんじゃないかと思ってる)
恐らくこの後にBIGBANGのG-Dragonの出演が発表されたと思う。そして、一番申し込みが多かったのはこの後の2次なんじゃないだろうか。
正直に言えば、K-POPはそれなりに触れ始めたのが感覚的にはここ最近で、BIGBANGが盛りに盛り上がっていた時はほとんどテレビも見ていない、なんなら韓国のエンタメは何も知らなかったので、G-DRAGONが出るとなっても、そうなんだーぐらいにしか思ってなかった。一方で、そんな私ですらBIGBANGとG-DRAGONだけは知っていたとも言える。
はっきり言って今回のMAMAの主役は完璧にG-DRAGON、BIGBANGの再結成だったんじゃないだろうか。当初から再結成でざわついているところはざわついていたようで、いざ、G-DRAGONがステージに向かう姿で既に会場内は歓声がかなり上がっていた。
大阪だからなのか、出演者のラインナップからなのか分からないが、はっきり言って、去年より今年の方が男性の観客が多かったと思う。私の前は男性で、「やばい、ジヨンだ」の連発だった。
男性K-POPのアーティストで、こんなに男性の観客から名前を呼ばれている人を聞いたことがなかった。
プレゼンターのキム・テリも興奮した様子で紹介が始まり、G-DRAGONのステージが始まる。
G-DRAGONもよく知らず、どの曲も知らない中で、強く、鮮やかで、美しいステージだった。
舞台上にゆっくりと上がってくるときの彼の後ろ姿と背中の動きだけで、もう会場は虜だった。
彼の美しいピアノバラード「無題」から新曲のソロ曲「POWER」と続く。
貫禄とは何だろう、音楽との一体感、突飛に思える色と着こなしだけれど、最高にクールでいかしているように見えるのは何だろう。
ステージの上で覇気を秘めながら遊ぶ姿は、何も知らない私でも、KINGだと思った。
最初からマックスに聞こえる歓声が、その後に続く未発表新曲の「HOME SWEET HOME」、
帽子を脱いでイントロから青い空を見上げ、赤い髪をかき上げるだけで、彼がここまでに辿った栄光と、失望と、別れと長い休息を思わせる物語が漂っていた。
そして、その曲でBIGBANGのメンバーのSOLとD-LITEが加わり、確かなヴォーカルが加わる。
特にSOLとのやりとりはただ無邪気にはしゃぐ子供のようにも見え二人の間の長い歴史を感じさせた。(その後調べて20年近くの付き合いだと分かる)
どのようにメンバーそれぞれを魅せていくか、曲の構成もステージの構成も最高だった。二人のボーカル力への信頼がある構成に胸が沸いたし、私ですら大歓声を挙げた。
そこからステージからBIGBANGは去り、今私たちが見たのは夢だったんじゃないだろうかと呆然としたところで、BIGBANGのアンコールがなり、
会場全体が赤く染まり「BANG BANG BANG」のイントロと悲鳴に近い歓声。夢だと思っていたところに、さらに一番の望みを与えられた会場は他の出演者も巻き込んで渦だった。
そして、「FANTASTIC BABY」が続き、KINGの宴に会場全体が踊るしかなかった。
MAMAと言ってもそれぞれに応援しているグループは別々の観客が集まっているので、会場全体が熱狂的な大歓声を挙げるシーンというのは実は少ない。そんな中で何も知らない私ですら大声をあげるステージ力に、ずっと尾を引いている。
今までそれなりに数多くのステージを見ているけれど、エンタメのステージとして本当に最高のステージ力を見て、ああ、これがBIGBANG、これがG-DRAGONなのかと、それから気になってしまい彼らのことを調べてしまっている。
MAMAに行ったことを伝えたら、おおよそK-POPに関心の薄く、アートに造詣が深い韓国人の友人ですらBIGBANG見たの?いいなー。彼らのステージコンセプトが好きだしG-DRAGONが好きだよ。と言っていた。彼女ですらそう言うなんて。
G-DRAGONの成してきたことを考えると、彼がこれから芸能活動をしてもしなくても、生きているだけで感謝しなくてはいけないぐらいに感じてしまい、スターの光は得てして闇があり、より業を深くすれば深くするほど天才と称されるようで、そんな人はやはり同時代を生きているだけで幸せに思う人なんだろう。