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OKINAWA Islands② 絶海の孤島・南大東島へ行ってきた
こんにちは、ばーどです。
沖縄の島々の中でも、最も「孤島」感が強い、北大東島・南大東島へ行ってきました。
北大東島に着いて観光した記録は前に書いたので、ここでは南大東島へ渡るところから。
1.北大東→南大東 ~日本最短定期航空路~
RAC(琉球エアコミューター)の大東島便、今年7月まであった那覇→北大東→南大東→那覇(または逆周り)の三角航路が廃止となり、那覇↔️各島の単純往復のみになります。
南北大東島を結ぶ「日本最短」定期航空路線が無くなる前に乗ってみたい、その夢がようやく叶いました。
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JAL・ANA どちらも対応できるよう共同開発指した新型機。1日1便の離島に配備されてたのには驚きです。
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今回の旅は妻と二人でしたが、並び席は取れず。窓側とその2列後ろの通路側になり、窓側席は妻に譲りました。
そして私の隣の窓側には、いかにも「航空マニア」という感じの男性。フライト中はずっと窓のかぶりついて、スマホで動画撮影してらしたので、外の風景は全く見えず・・・。
あと、意外にも南大東島の中学2年生が15人ほど搭乗。羽田の紙袋を持っていたので、TDLとかスカイツリーへ行ったと思いきや、「八丈島」への交流旅行の帰りだとか。島の歴史を学び、島を開拓した先祖の故郷を訪れるというイベント、素晴らしいです。ただ生徒たちは、八丈→羽田→那覇→北大東→南大東と乗り継ぎ、飛行機にはもう飽きたという感じ(笑)。
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RAC736は、満席でドアクローズ。
CAさんの「短い時間ではございますが、ごゆっくりお過ごしください」のアナウンス、まさに納得。ちなみに"しまくとぅば(島言葉)"あいさつは、「おじゃりやれ~」でした。
いったん北側に向けて離陸し、大きく旋回して進路を南に。その後、島の西海上を南下して南大東島を越えて、ふたたび旋回。南大東島の東側にある空港へは、南側から進入して着陸。
つまり、普通に南下するよりもかなり遠回りして飛んだことに。もちろん風向きにもよるものですが、なんとなく得した気分。旋回しながら2つの島の島影を、写真に収めたかったなぁ。
ちなみに、離陸してから着陸するまで、ストップウォッチで計測した結果は、このとおり。
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タイムテーブル上、これはドアクローズからドアオープンまでの時間なのだが、北大東14:45→南大東15:05になってます。もちろんシートベルトサインは点灯したまま、CAさんも着席したまま。ちなみに、車輪はわずかの間ですが格納していたようです(車輪を出し入れする音でわかる)。
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予約しているホテルのバスに乗り込み、10分ほどで到着、チェックイン。島の観光は、明日レンタカーで回ることにして、少し休憩しました。
2.居酒屋
夕食は、ホテルのすぐ裏にある居酒屋「ちょうちん」へ。
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旅行先では、なるべく「地元の居酒屋」に行くようにしています。
値段も安いし、その土地ならではのメニューにも出会えるし、地元の方々の会話(お国なまり)にこっそり耳を傾けるのも、旅の楽しみですね。
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味は普通ですが、なんといっても新鮮なのがいい。
切り身の大きさと、シークワサーが付くのが、沖縄風だな。
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ナワキリの正式名は、「クロシビカマス」。南大東島近海で獲れる深海魚で、強いアゴと鋭い歯で縄を切ってしまうので、こう呼ばれています。
味はあっさりしていて、美味しかったです。
最初店に入ったときの先客は、男性と女性のそれぞれ一人客がカウンターで定食を黙々と食事中。仕事で長期滞在している方かな、という感じでした。
その後、地元の方々の飲み会が3グループほど。集まる時間はバラバラで、遅れてきてもそのまま。さすが「うちなータイム」だな、と感じました。自分も那覇に7年赴任してましたから、よくわかります。(笑)。
違うグループ同士も知り合いいるらしく、「遅れて来る人を待つ」どうしが乾杯してました。地元の居酒屋ならでは、ですね。
この後、ホテル周辺の集落を少し散歩しながら、星空観賞。昨日より雲が広がってましたが、素晴らしい星空です。
少し疲れたので早寝。
3.大東島のインフラ設備
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7月7日(日)、今日も青空が広がります。
南大東島の歴史は、前の投稿「北大東島に行ってきた」に(両島合わせて)書いたとおりで、明治以降のリン採掘とサトウキビ栽培が島の経済を支えてきました。ここでは、戦後のインフラ面の歴史と現状をまとめてみます。
現在
南大東島 面積30㎢ 人口1200人
北大東島 面積12㎢ 人口550人
昭和21年 米軍政下で南大東村・北大東村が誕生(それまでは自治体のカヤの外)
昭和34年 沖縄本島との間に無線電話設備が完成
昭和36年 島内電話の開通
昭和47年 沖縄の日本返還、島外電話の開通(交換手経由)
昭和54年 交換手を通さないダイヤル直通通話の開通
昭和59年 NHKテレビが視聴可能
平成10年 民法テレビが視聴可能 ただし小笠原諸島向け衛星回線を使うため、東京キー局の番組が放送
平成23年 沖縄本島~南大東 海底ケーブルが開通 沖縄局経由の番組配信開始
北大東島で案内してくれた「おじさん」の話では、
「北のテレビは南まで海底ケーブルで届いた回線を、南から無線で飛ばして受けている」、
「南北島間はわずか10kmだが、深さ1500m以上の海溝があり、ケーブル敷設が困難」、
「リスクに備え、沖縄本島~北大東に2本目の計画があるが、なかなか進まない」
と、現状を教えてくれました。(光ケーブルは令和3年に開通)
ちなみに、南北大東島には、駐在所・郵便局がそれぞれ1つづつありますが、本局は300km以上離れた、那覇警察署・那覇中央郵便局となります。
4.日の丸山展望台
サンゴ礁が隆起した南大東島。島全体が平坦で、最高地点の日の丸山展望台の標高はわずか78km。
それでも、島の風景をみたく、行ってきました。
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海を見えませんが、島の内側に広がるサトウキビ畑が印象的です。
名前の由来は、第二次世界大戦時に旧日本軍が敵軍の監視を行ったことからつけられたそうです。
5.亀池港
展望台からもそうでしたが、島を一周する道路からも、ほとんど海が見えません。理由は、海岸線が険しい断崖だから。
その断崖に建設された港の一つ、島の南端にある亀池港へ。
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南大東島には東を除く三方に4港あります。(北大東島にも同じく4港)。
島の規模からすれば多すぎますが、風向きや波によりフェリーの着岸できる場所が変わることや、避難港としての機能を備えることで、その役割を担うのです。
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断崖を崩して建設ともなれば、その規模はかなりのものでしょう。
聞いた話によれば建設当時は、崖を削り崩すダイナマイトの爆破音と火薬の匂い、舞い上がる粉塵が、何日も続いたとのこと。
自然破壊は好ましいことではないけど、この島で生きていくためには必要なことだと思いました。
6.海軍棒プール
断崖の島だから、海水浴できる場所がない。そんな島に泳げるスポットを作ろうと誕生した、太平洋と一体のプール「海軍棒プール」。
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プールと言いつつも、ご覧の通り、海そのものです。波も打ち寄せ、熱帯魚やカニなど海の生物ももたくさん泳いでいます
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変わった名前の由来は、明治25年に旧海軍が測量用に建てた棒がここにあり、この場所が海軍棒と呼ばれ、その後にプールが建設されたからだそう。
日の丸山展望台もそうですが、軍に由来する名称が残るのは、ここが日本領として重要な島だということにも関係するのでしょう。
7.シュガートレイン
海原を堪能して、シュガートレインの遺構を見に、島の内陸部へ。
明治期に手押し運搬用の軌道を開設、その後蒸気やディーゼルの機関車が貨車をけん引する「シュガートレイン」が、島内2.6kmに建設されました。
その遺構が島内に数カ所、静かに残っています。
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島の中心部にある、ふるさと文化センター横には、当時実際に走っていた蒸気機関車とディーゼル機関車が、展示されています。
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残念ながら保存状態は良くありませんが、長い歴史と風雨厳しい環境を考えると、しかたないですね。
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8.星野洞
南大東島はサンゴ礁が隆起してできた島で、ほとんどが石灰岩でできていて、120を超える鍾乳洞が確認されています。
そのうちの一つ、観光用に入洞できるよう整備された「星野洞」。
はっきり言って、想像を超えていました。
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下から延びる「石筍」
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絶海の孤島の、しかも地底に、こんな素敵な場所があったとは、まさに衝撃的でした。
ひんやり凉しい洞窟から地上に上がると、照りつける太陽と暑さに逆戻り。
9.大東そば
島内では食事できる場所が限られているので、昼食をとりにホテルのある集落に戻ります。
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沖縄そばにも地域性があり、宮古島や八重山諸島など離島のそばは、麺やスープに特徴があります。
大東そばの特徴は、麺は太めの縮れ麺で、こしがあってうどんのようです。また、スープはあっさりした味わい。
大東島の名物のひとつ、大東寿司は、醤油ベースのタレに漬け込んだサワラやマグロを漬け込み酢飯で握ったもの。
どちらも美味しくいただきました。
10.大東神社
午後のフライトで那覇に戻る前に、もう少し観光に回ります。
大東神社は、入植が始まった直後に、製糖会社を営む玉置氏により建立されました。境内の森は、ダイトウオオコウモリの生息地として、特に守られています。
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9月の豊年祭では、集落や企業ごとの神輿が集まり奉納されるそうです。
また、八丈島からの流れをくむ江戸相撲と、琉球の伝統的な沖縄各力が、奉納相撲として執り行われるため、土俵も設けられています。
11.バリバリ岩
「大東島はニューギニアだった」
というと驚きですが、フィリピンプレートに乗って1年間に7cmほど移動している、そして4800万年前には今のニューギニア周辺にあった、というのが現在も考えられている一説。人が住んでまだ100年余りの島ですが、その昔には気の遠くなるような長旅があったわけです。
その証拠となるのが、島の北部にある、バリバリ岩。
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とにかく凄いところらしく、パンフレットにも、「正午ごろが明るくておすすめ(それ以外は暗くて危険)」「すべりやすいところがあり注意」と。
とりあえず行けるところまで、行きましょう。
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この先、ジャングルの中をもっと進んで、さらに細くなった隙間をくぐり抜け、急な坂道を下り・・・となるのですが、体力と相談のうえ途中で断念。
たぶん最深部の海岸にたどりつけば、神秘のパワーを受け取れたかもしれませんが、ここでも十分満足しました。
12.旧南大東空港
現在の空港は、島の東側に平成9年(1997年)に開港。それ以前は、戦前に海軍飛行場として建設した、島の中央の旧空港を使用していました。
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太平洋戦争が激化する昭和19年に、南方進出に備えた滑走路の拡張工事を進めていたところ、逆に米軍の奇襲を受けて、完成することなく終戦。
米国占領下の昭和39年、滑走路延長が完成し、那覇からYS11が就航。
昭和47年の日本復帰にあたり、日本の航空法を適用して測量したところ、滑走路が実際には800mだったことがわかり、就航機材もYS11からDHCの小型機に変更されることに。
その後、平成9年に滑走路1500mの新空港が開業。
・・・と、内外の影響を受けて紆余曲折してます。
米軍を攻撃するための拡張工事を、形を変えて戦後に米国が引き継いでいるとことが、何とも言えませんね。
13.再び南大東空港
レンタカーを返却して、新空港に。
帰りは那覇空港へ、直行します。
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2泊3日の大東島旅行。天候にも恵まれ、予定通りの観光ができました。
沖縄本島から見てはるか東にあるという意味をなす「うふあがり島」、これを漢字にあてて大東島と言うのですが、沖縄とも、もちろん本土とも、異なる文化が生まれ、今も息づいている地であるとまさに実感する旅でした。
機会があれば、ぜひまた来たい。
そう思わせてくれた絶海の孤島に、感謝しながら、島を後にしました。
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最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。