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【シカゴでバードウォッチング!】 Black-throated Blue Warbler ノドグロルリアメリカムシクイ

春の渡りの時は、繁殖という大きな使命に向かって雄はなるべく魅力的な姿になり、元気よく繁殖地に現れ高らかに囀ります。そして、その時期に木々はまだ新芽をふき始めたばかりですし、地面の草もまだ短いので、使命に燃えた元気いっぱいの鳥たちを見つけるのはかなり簡単で、バーダーたちは興奮の極みになります。

一方、秋の渡りの時は、鳥たちは子育てという大きな目標を成し遂げ、あとは冬を無事に過ごすだけのために暖かいところへ渡りをします。雄たちは、雌の気を引く必要もないので換羽をしたり囀ることもなく静かにしていますし、生い茂った木々の葉と背が高くなった草のせいで、渡りをしていく途中に立ち寄ってくれた鳥たちを見つけるのはかなり難しくなります。

そんな中で先日warblerだと思われる鳥を見つけましたが、すぐに飛び去って行ってしまいました。全体的に地味な色だったので、もちろん私は何の鳥か全く見当もつきませんでしたが、夫が「あれは、Black-throated Blue Warblerだ。」と言ったのです。

Blue Warblerという名前なら青いはずなのに、全く青い部分がなかったので、どうしてBlack-throated Blue Warblerだと思うのか訝しく思い聞いてみると・・・。

夫 「翼に白い四角い部分があったのを見た?」
私 「見た。」
夫 「それがBlack-throated Blue Warblerの特徴だからね。The Warbler Guideでは、その白い四角い部分をhandkerchief (ハンカチ) と呼んでいる。」
私 「でも、青くなかった。」
夫 「そう。あれは雌。」
私 「・・・」

そして、いつものようにMerlin Bird ID Appで調べてみると、確かに雌は全く青くありませんでしたが、雌雄ともに白いハンカチ(ポケットチーフ)があるのが特徴だとのことでした。特に、雌は同じように地味な色の鳥がたくさんいる中で、この白いハンカチが見分ける手掛かりだそうです。

私が見た鳥は下の写真のようでした。

ML20208511 by Ian Davies, Macaulay Library
カメラを持っていなかったので写真拝借
白いハンカチがちゃんとあります。眉斑も白くくっきりしていますね。

さて、Black-throated Blue Warblerの雄は?

陽が当たっていて羽がブルー!顔も喉も黒い!翼に白いハンカチあり。     ©Dan Lory
上からみるとこんな感じ。     ©Dan Lory
陽の角度により色が変わり、グレーっぽく見える。顔も喉も黒いから目がどこにあるかよくわからない。
©Dan Lory

確かに名前の通り、雄は顔と喉元が黒く、お腹は真っ白で、翼は青黒っぽいです。頭から背にかけての色を、All About Birdsのサイトでは、midnight-blueと描写しています。midnight blue色は、満月の夜の空の色らしいです。先日中秋の名月の空の色を見て、こんな感じかなと思いました。とにかく、英語名がBlack-throated Blue Warblerで、和名はノドグロルリアメリカムシクイです。

この鳥の雌雄は、あまりに見た目の違いが大きいため、昔は二種類の違う鳥とされていて、雌はPine Swamp Warblerと命名されていました。鳥類学者でも色にまどわされると知り、ちょっとホッとしました。

今まで何回も書いていますが、一体どうやったら全く色が違う鳥を雄と雌として覚えられるのでしょうか。「鳥の雌雄組み合わせカルタ」でも作って、「Black-throated Blue Warblerの雌」と言われたら、たくさんあるカルタの中から「は〜〜い!」と言いつつ取るというゲーム感覚でやらないと覚えられません、私は。あ、カルタというところが年寄っぽいですね。今ならコンピューターゲームでしょうか。ベテランバーダーさん、何かいい方法がありましたら、教えてくださいませ。

さて、Black-throated Blue Warblerについて少しご紹介しましょう。

繁殖期には、カナダの南部や米国の東北部にいますが、越冬地は バハマ、キューバ、ケイマン諸島、ジャマイカ、プエルトリコあたりです。体長11-13 cm、体重8-12 gという小さい鳥ですが、3000キロをノンストップで渡って行きます。ですから、たまにシカゴで休憩してくれるBlack-throated Blue Warblerがいると、バーダーたちは本当に感激します。

Black-throated Blue Warblerは、木の高いところにいることは少なく、低いところで活発に採餌し、時にはホバリングしたりして飛んでいる昆虫を捕まえます。主に毛虫、蠅、蜘蛛などの無脊椎動物を食べますが、冬には種子やベリー類、果実などを補食することもあるそうです。

木に何やら虫のようなものがいますね。これを食べるんです。     ©Dan Lory

また、雄と雌は採餌する場所が異なり、雄は高さ3~9mの低木の葉の間をホバリングするのに対し、雌はより低いところで採餌する傾向がありますが、幼鳥に餌を与える時期になると、雄は雌と同じ採餌層に降りてくるらしいです。子育てという重大使命完遂のためには、性別の違いを超えるんですね。

繁殖期には一雄一雌で、何年も同じ場所に戻ってきて子育てをするつがいもいるようです。Black-throated Blue Warblerも、雌がクモの巣や動物の毛皮のような柔らかい材料で裏打ちされた、葉、樹皮片、草でカップ状の巣を作り、雄は、雌が巣を作るときに巣材を運んできて手伝うようです。

最後に鳴き声をこちらのページでお聞きください。聞きなしは、"I am so lazzzy" とか "Please, please, please squeeeeze."だそうですが、いかがでしょうか。

また来年の春にこの姿を見るのを首を長くして待ち、シカゴの厳冬を乗り越えます。     ©Dan Lory


註:ヘッダーの写真   ML623961705 by Ginger Bernardin, Macaulay Library





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