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【シカゴでバードウォッチング!】 Mourning Dove
鳩というと、私は、まず「平和の象徴」という穏やかなイメージを考えます。
旧約聖書の『創世記』にあるノアの方舟の話の中に、大洪水の後ノアが鳩を放したら、その鳩がオリーブの小枝を口に咥えて戻ってきたので、ノアは洪水が収まったことを知ったとあります。それで、混沌の中から平和が生まれたことを知らせた鳩を平和の使者と考えるようになったと言われています。
また古代から伝書鳩として情報を伝える役目を担った鳥でしたし、日本では八幡宮の八幡様の使者とも考えられていたようです。
でも同時に、ガード下にたむろして、人がいても逃げず、フンを撒き散らしている害鳥というネガティブなイメージもあります。私は、近所のガード下を通る時、鳩の匂いと抜け羽やフンがない反対側の道にわざわざ渡って歩くほど、この種の鳩は嫌で避けています。
これは、主にドバト (カワラバト、Rock Pigeon) ですが、私たち人間がドバトの習性を考慮せずに都市計画をし、無配慮な餌やりなどをしたためにドバトが害鳥として見なされるようになったそうで、本当は鳩には責任はないんですよね。
鳩は世界中に250種類ぐらいいるそうです。確かに日本にもドバト、キジバト、アオバト、カラスバト、キンバト、シラコバトなど色々な種類がいます。
シカゴ周辺では、ガード下で群れている Rock Pigeon (ドバト/カララバト) と、林の中でよく見られるスレンダーで綺麗な鳩の二種類です。
今回はこのスレンダーで綺麗な方の鳩が主役です。
私が最初に下の写真の鳩を見た時、夫が「モーニングダヴ」と教えてくれたので、てっきりmorning dove、つまり「朝の鳩」だと思い、かなり長い間そう信じていました。ところが、ある時に鳥類図鑑を見たら、morning (朝) ではなく、mourning (哀悼、悲嘆) と書いてあるではありませんか!また英語の間違いをしていた私です。(ちなみに、morningとmourningの発音は、同じです。笑)Mourning Doveの和名は、ナゲキバトです。最初に日本語名を知っていたら、バカな誤解をしなかったのに・・・。
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どうしてそのように命名されたかというと、その鳴き声が嘆き悲しんでいるように聞こえるからだそうです。このページで鳴き声を聞いてみてください。ちょっと短調で悲しげですね。
Mourning Doveは、嘴が細長く、目が黒、頭が体に比して小さく、体は全体的に薄茶で、長い尾羽、ドバトよりスレンダーに見えます。そしてヘッダーの写真のように薄いブルー色のアイリングがあります。
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ML20802841 by Lewis Ulrey, Macaulay Library
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ML50824121 by Nancy Christensen, Macaulay Library
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ML613742715 by Zenaida Macroura, Maculay Library
そして、飛び立つ時に独特の大きい音を立てます。このページのWing soundを聞いてみてください。この翼の音を警戒音として聞いて他の鳥達は外敵から逃げるそうですが、Mourning Doveはそんなことを考えてこの音を出しているわけではないでしょう。でも役に立っていること、間違いなしです。
Mourning Doveは、アメリカ全土にたくさんいて生息数は3億4,600万羽と推定されています。そのうち、毎年2000万羽以上がハンターによって捕獲されているらしいです。アメリカは、今でも大勢の人が動物や鳥のハンティングを楽しんでいるんですよ。州によって、また獲物によってシーズンが違いますが、ハンティングシーズン中に森の中を歩く時は、誤って銃で撃たれないように赤い帽子や赤いジャケットを着て人間であることを示した方が安全です。
私たち現代の日本人は鳩を食べるということに抵抗があると思いますが、昔日比谷公園で外国の友人達と鳩を見ていたら、「あ、あの鳩が一番美味しそうだ。」と言っていました!
ヨーロッパや地中海周辺、中東、アジア、南米では食べられる肉なんですね。特に、生後4週間未満の雛はsquabと呼ばれ、とっても美味しい肉だとか。検索してみると、今は日本でも鳩肉屋という店があったり、フランス料理店が鳩料理を提供しているみたいです。召し上がったことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。
バードフィーダーでは、Northern Cardinalのように体が大きい鳥が陣取って、小さい鳥を追い払いながら餌を食べますが、Mourning Doveは自分よりずっと小さい鳥、例えば Warbler や Downy Woodpecker (セジロコゲラ) に負けてしまうそうです。Mourning Doveは姿形も優雅で、性格も控え目でいいなあと、ついドバトと比較してしまうのをわかっていただけましたか。
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このようにMourning Doveとドバトを比較してしまいがちですが、どちらをも含むハト目の鳥に共通して見られる素晴らしい特徴があることを今回学びました。
まず一つ目の特徴は、水の飲み方です。ほとんどの鳥は嘴で水を取り込んでから、頭を後ろに傾けて水を喉に流し込んで飲みますが、Mourning Doveなどのハト目の鳥は、舌をピストンのように動かして真空ポンプのように吸い上げます。ですから、水を飲むには、少なくとも嘴が全部入るくらいの十分な深さの水たまりを見つけなければならないそうです。鳥の水の飲み方なんて考えたことありませんでしたが、色々なんですねえ。
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https://ourhabitatgarden.org/home/creatures/birds/water/
もう一つの特徴として、雛が孵化してから数日間、 "pigeon milk" または"crop milk" (日本語では素嚢乳) というものを雛に与えることが挙げられます。
これは、素嚢で食べ物を一次的に貯蔵し柔らかくしてから吐き戻して雛に与える液体のことですが、蛋白質と脂肪分の含有率が非常に高く、雛が孵化する約二日前から親鳥の雄と雌の両方の成鳥で作られ、双方が雛に与えます。親鳥たちは自分の体で素嚢乳が作られ始めると同時に採餌をやめ、雛に与える素嚢乳に固形物が混入しないようにするそうです。本能とは言え、スゴイ!
そして孵化後約一週間程度、雛は素嚢乳だけで育ち、そのあと親鳥は、自分の素嚢にしばらく保存した餌を素嚢乳と混ぜて雛に与えることを、雛の孵化後二週間ぐらいまで続けるそうです。鳩には、「ワンオペ子育て」という語彙は存在しない?!鳩の雄は、イクメンなんですねえ。
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こんなふうに、Mourning Doveだけでなく、今まで知らなかった鳩一般の習性を知ったら、ドバトでも尊敬の眼差しを持って見られるようになりました。今まで知ろうとせずに、ただ忌み嫌っていた自分自身を恥ずかく思います。
皆さんも鳩を見たら"pigeon milk"のことを思い出してください。って偉そうに書きましたが、きっと鳥がお好きな方達にとっては常識だったかもしれませんね。お許しを!
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