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【シカゴでバードウォッチング!】Sandhill Crane

アメリカでは11月の第四木曜日が感謝祭です。アメリカの伝統では、感謝祭の日に家族や親戚が集まって七面鳥の丸焼きを食べますが、羽のない鶏の丸ごとを見るのが苦手は私は、七面鳥のように巨大な鳥の丸焼きなどとてもとても直視することができません。ですから、鳥の丸焼きがある場合は必ず私より遠いところに置いて、切り分けてもらいます。(笑)そんな私ですから、もちろんローストチキンもローストターキーも怖くて料理できません。

さて、ここ数年、私にとって感謝祭の頃の風物詩は、Sandhill Crane (カナダヅル)を我が家から車で1時間半ぐらいのところにあるインディアナ州のJasper-Pulaski Fish & Wildlife Areaに見に行くことです。

下の動画は少し長いですが、まさにここ数年私の目の前で繰り広げられる壮大な光景の通りですので、お時間があったらご覧になってみてください。

何羽ものSandhill Craneたちが編隊を作って鳴きながら四方八方から飛んでくるのが、数時間途切れもなく続くんです。日が傾き始めて空がだんだん赤く染まってくるにつれて、集まってくるSandhill Craneの数も増えていくのを見るのは圧巻です。

下の表は、Jasper-Pulaski Fish & Wildlife Areaのウェブサイトに出ている鳥の数の推移です。感謝祭のあたりから年末にかけてSandhill Craneが多数ここに立ち寄ってくれるのがわかると思います。去年の12月8日は、なんと31,970羽!Sandhill Craneの渡りを肌で感じるため、日の出と日の入りの頃にバーダーたちだけでなく近隣の人たちもたくさん集まってきます。気温はたいて零度以下ですが、あまりの素晴らしさにそんな寒さなんて感じている暇はありません。

https://www.in.gov/dnr/fish-and-wildlife/properties/jasper-pulaski-fwa/sandhill-cranes/

Sandhill Craneは、主に、カナダや北アメリカの草原地帯の沼や湿地に生息繁殖し、寒くなる今頃、フロリダ、テキサス、ユタ、メキシコ、カリフォルニアなどの越冬地に向けて長い旅に出ます。ですから、その途上にあるシカゴの上空でも、Sandhill Craneたちが綺麗な鉤形を成して、大きな声で鳴きながら南に飛んでいく姿を見ることができます。

鳥に興味がなかった頃の私は、この大きな鳥が独特の声 (動画の下にいくつもあるCallsをクリックして聞いてみてください。)で鳴きながら家のすぐ上を渡っていることなど全く気が付きませんでしたが、ここ数年その姿を見つけるのが楽しみになり、毎日のように部屋の中からでも空を見上げ、耳を澄ましています。今年は今のところ、まだ我が家の上空を飛んで行っていないようです。

私が初めてSandhill Craneに文字通り対面したのは、ミシガン州の北にあるSeney National Wildlife Refugeででした。私が湖のほとりを歩いている時に、ばったり一羽のSandhill Craneと向き合ってしまったんです。私は身長が150センチちょっとですが、そのSandhill Craneは私の肩ぐらいの高さで、お互いにびっくりしました。脚が長いので背が高く大きく見えますが、体重は3~5キロぐらいだそうです。翼長は、1.6~2.1メートルもあります。

Sandhill Crane      ©Dan Lory

その後、ミシガン州の南西にある公園で夕暮れに二羽のSandhill Craneがいつも一緒に家路に向かう(?)のを何回も見て、Sandhill Craneが一生同じつがいで生活することを知りました。つがいになるのは、求愛ダンスから始まりますが、繁殖期だけでなく一年中ダンスをするそうです。「釣った魚に餌はやらない」という考えではないんですね。(笑)何十年も連れ添う相手と何回も愛の確認をし合うって、ロマンチックですねえ〜!

成鳥は灰色で、翼には褐色を帯びた羽が混ざっていて、前頭部は羽毛がなく赤く、頬が白く、暗色の長く尖った嘴を持っています。その飛行姿は、写真でわかるように、後に長く延びた暗色の脚とまっすぐ保った長い首が特徴的で、とても優雅なものです。ただ、着地する直前には脚を下に下ろすので、その姿はちょっと愛嬌があり、クスリと笑ってしまいます。

夕焼けの中を優雅な姿で飛んで行くSandhill Craneたち      ©Dan Lory

鶴は千年、亀は万年と言いますが、記録に残っている最高齢のSandhill Craneは、1982年にフロリダ州で個体識別番号の標識を付けられた鳥で、ウィスコンシン州で2019年に見つかった時、37歳3ヶ月だったそうです。そして、900万年前の化石に現在のSandhill Craneと全く同じ鳥が記録されていて、現生鳥類の中で最も古い化石だそうです。北米では250万年前の化石がフロリダ州で見つかっているとのことで、その頃の人類もこの優美なSandhill Craneを見ていたと思うと、地球の悠久の時の流れを感じることができますね。

Sandhill Crane、大好きです!





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