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【シカゴでバードウォッチング!】  Red-shouldered Hawk  カタアカノスリ

前掲の「つぶやき」に、日曜日の朝の鳥見の最後にカタアカノスリを見ることができたと書きました。なぜかわかりませんが、私は日本にカタアカノスリが生息しているものと思い込んでいたために、今まで記事に取り上げていなかったんですが、日本には生息していない鳥なんですね。それで、今回は Red-shouldered Hawk、和名は文字通り「肩赤鵟 (カタアカノスリ)」についてです。

Red-shouldered Hawkは、よく見る鳥なので全米にわたって生息していると思っていましたが、生息域を調べてみたら、かなり偏った地域にいることがわかり驚きました。言葉で説明するより分布図を見ていただいた方がわかりやすいと思いますので、下のスクショをご覧ください。

https://www.allaboutbirds.org/guide/Red-shouldered_Hawk/overview

Red-shouldered Hawkは、落葉樹林帯、沼地や湿地帯、川や小川の近くを好みますので、この鳥がいるということは、高い樹木と水があることを示しています。現在は、上の分布図とは多少異なり、オレゴン州のようなところにも生息していて、西部にも生息域を広げているようですが、ユタ州のような砂漠地帯にはもちろん生息していません。

Red-shouldered Hawkの成鳥は、肩だけでなく、胸も赤褐色です。腹部は赤褐色に白っぽい縞があり、翼は白黒の市松模様のようで、尻尾は黒地に細い白い帯があり、かなりカラフルなhawkでかっこいいです。成鳥の目は暗褐色をしています。

肩が赤褐色なのがわかりますか。成鳥なので、黒い尻尾に白い帯があります。
背中と翼の模様が目立ちます。
ML185825571 by Brad Imhoff, Macaulay Library
前から見ると、胸からお腹にかけての赤褐色に薄い白の縞が綺麗です。     ©Dan Lory
横から見た感じ。尻尾が結構長い。     ©Dan Lory

また、飛翔中に下から見上げると、成鳥は翼の上部が赤褐色です。翼の先の指は五本で、これは若鳥も同じです。

成鳥は翼の裏側の上部が赤褐色。尻尾には白い帯がくっきり。
ML219874241 by Bob MacDonnell, Macaulay Library

若鳥だと目は黄色か淡褐色で、体にあまり赤褐色がなく、Red-shouldered Hawkだと同定するのが難しいです。特に私のような初心者には。

Red-shouldered Hawkの若鳥。目は暗褐色ではない。あの赤褐色は後からなのね。
ML140321131 by Jeremiah Trimble, Macaulay Library
若鳥を下から見ると、翼の上部にほとんど赤褐色なし     ©Dan Lory

下の写真を見ると、翼の五本の指の付け根のあたりに三日月状の半透明の部分があるのがわかると思います。これは、成鳥にも若鳥にも見られるRed-shouldered Hawkの特徴です。こういうことを覚えていたら、飛んでいる猛禽の種類が特定できるのですが、修行中の身には難しいです・・・。

翼の指の付け根に白い部分がはっきり見える     ©Dan Lory
翼の裏側から見ても、指の付け根の部分が透き通っているように見える     ©Dan Lory

食性は多様で、水辺の止まり木から狩りをすることが多く、蛙、ヒキガエル、ザリガニ、蛇、トカゲ、鳥類、昆虫、ハタネズミやシマリスなどの小型哺乳類を食べます。Park 566はこういう餌が豊富なところですから、よく見かけるわけですね。

Red-shouldered Hawkの求愛行動は印象的で、雄と雌が一緒にスカイダンスをして、雄は時に上空を旋回し、雌に向かって飛び降りる間、大声でKrrr、Krrrr、Krrrrと鳴き、その声は何キロ遠くても聞こえるほどなので、世界中に知らせているようだと言われています。なんと求愛期間は18日間ぐらいあるそうです。その間に相手をよく見極めるのでしょうか。(笑) スカイダンスのいい動画は見つけられませんでしたが、鳴き声はこちら (一番上のCallが求愛時期の声に近いです) からどうぞ。

Red-shouldered Hawkは一雄一雌制で、ほとんどの個体は二歳になって初めて繁殖活動を始めます。巣作りは雌雄が一緒に行い、1~5週間かかります。毎年同じ巣に戻り、可能であれば古い巣を改修して使うのだとか。巣の直径は約1.5メートルもあり、樹皮、地衣類、苔、針葉樹の小枝で裏打ちし、営巣期間中には、新鮮な緑の葉を加えるそうです。

これは私も見ましたが、かなり大きい巣でした。     ©Dan Lory

多くの猛禽類と同様、Red-shouldered Hawkは非同期孵化 (同じ時に雛が一斉に孵化しないこと、つまり時間差がある孵化) を行います。これは、餌の入手が予測できない状況下で、最大数の子を育てるための親としての戦略であると考えられています。そのために雌は産卵期間中に部分的な抱卵を行い、完全抱卵を始めるのを遅らせることで雛が一斉に孵化しないようにしているという調査の結果が報告されています。

下の写真を見ると、大きさがかなり違うので、非同期孵化しているのがわかりますね。生き延びるための鳥の本能とはいえ、すごいですね。

Red-shouldered Hawkの雛たち。非同期孵化したので大きさが違う。
https://abcbirds.org/a-cradle-of-red-shouldered-hawks/

抱卵期間は32~40日間と長く、この間、雄が餌を運んできますが、その都度、雄は少し離れたところから鳴いて、獲物を知らせると説明に書いてありました。今日はカエルだよとか、トカゲの美味しそうなのが獲れたよとか知らせるのか、ただ単に獲物が獲れたよと知らせるのかわかりませんが・・・。この鳥のペアはよくコミュニケーションを取るようですね。

また、生後5日目の幼鳥は、お尻を巣の外に向け、巣の端から糞を飛ばすという珍しい才能を持っているらしいです。鳥は案外きれい好きで、親鳥が雛の糞を巣外に捨てるのは知っていましたが、雛が自分でするとは驚きました。

最後に、banding (鳥類調査のための標識を足につける作業) のために専門家がRed-shouldered Hawkを捕まえた時の写真をご覧ください。実際にどのぐらいの大きさかおわかりになると思います。猛禽類はやっぱり大きいですね。(私はbandingを見るのは怖くてできません。あの爬虫類のような足がダメなんです・・・。)

かなり大きいというのがお分かりいただけますか。
そして、翼の指の根元の三日月状の色が薄い特徴もよく見えていますね。
目の色と尻尾の色から、若鳥だということもわかります。     ©Dan Lory

先日の日曜日に雪が降る中で私が見たRed-shouldered Hawkの写真を、どうぞ。

雪が降る中、空を飛んでいるのを見つけたんですが、そのあと木の枝にとまってくれました。
双眼鏡で背中の市松模様がはっきりと見えました。      ©Dan Lory



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