【シカゴでバードウォッチング!】 Great Crested Flycatcher オオヒタキモドキ
私は冠羽がある鳥が好きなんです。かっこいいと思いませんか。以前「ツンツンヘアの鳥たち」という記事にまとめて書いたぐらいです。
ですから、Great Crested、つまり「大きな冠羽がある」という形容詞がついているflycatcherがいると知った時に、早くこの目で見てみたいと思っていました。
この英語の "flycatcher" という言葉を日本語にするとヒタキ科の鳥で、キビタキやオオルリを指していますから、日本にお住まいの方はカラフルな鳥をお考えになると思いますが、それは旧世界 (アフロ・ユーラシア大陸) のflycatcherです。新世界であるアメリカのflycatcherの多くは全体的に薄い灰色や茶色で地味です。今回の記事のGreat Crested Flycatcherの和名が「オオヒタキモドキ」となっているのは、flycatcherの中でも体がかなりオオ(大)きいからか、オオ (大) きい冠羽があるからなのかよくわかりませんが、いずれにせよヒタキに似ている (モドキ) 鳥だからでしょう。でも、残念ながら、日本には生息していません。
先日木の茂みの中にいるGreat Crested Flycatcherを見た時、まず目に入ってきたのはその立派な冠羽でしたが、飛び立った時に見えた腹部の透き通るように綺麗な薄いクリーム色に衝撃を受けました。中西部にいるflycatcher の地味な色合いと全く違ったからです。ちなみにGreat Crested Flycatcherは、Bobolinkと違って、雌雄の区別はつきません。
バーディングをしていると、あっという間に鳥が飛び去ってしまって、後ろ姿しか見られないことがよくあります。その時、Northern Cardinal (前掲記事「猩々紅冠鳥」参照)ぐらいの大きさで、初列雨覆と外側尾羽に赤茶色があったら、Great Crested Flycatcherだと思っていいようです。
flycatcherというのは、「枝に座って待っていて、蝿 (fly) のよう獲物が来たら空中で捕獲して食べる鳥」ですが、Great Crested Flycatcherは、実際には蝿はあまり食べず、蝶、蛾、バッタ、蜂などを食べ、植物の実も食べます。でも、実をついばむというのではなく、実を丸ごと飲み込んで種を吐き出すそうです。フクロウがネズミなどの骨を吐き出すペリットは知っていましたが、こんな普通の鳥にもこういう習性があるということを今回学びました。(あの華奢に見えるカワセミも同じらしいですよ。)
また、Great Crested Flycatcherには奇妙な習性があります。巣の中に蛇の抜け殻を入れることがよくあり、その他に玉ねぎの皮、セロファン、サランラップのような薄くてペラペラしたものも巣作りの材料にするそうです。どうしてなんでしょうね。インタビューして聞いてみたいです。
この鳥はほとんど樹上にいて地面に降りてくることは稀です。そして一夫一妻で、雄は、人目(他の鳥の目?)につかないように樹の茂みの中で、近くにいるつがいの相手に聞こえるように鳴くらしいです。でしゃばらず、奥ゆかしい感じですね。また、特に夜明け直前には普段の鳴き声とは違う声で、15〜30分ほど二秒間隔で鳴き続けるそうです。このページの一番上にDawn Song (夜明けの歌声) があり、普段の鳴き声もその下をクリックすると聞くことができます。
Great Crested Flycatcherは、冬にメキシコとコロンビアの間ぐらいのところで越冬します。渡りの時は一人で渡っていくか、つがいの相手と一緒に渡っていくそうです。群れをなして渡りをする鳥が多い中でGreat Crested Flycatcherは孤高を愛する鳥、夫婦仲睦まじい鳥のようですね。
ツンツンヘアの派手さがあるにもかかわらず、この鳥の控えめで美しい色合いの衣、つぶらな丸く黒い目が、好きです。
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