【シカゴでバードウォッチング!】 White-crowned Sparrow ミヤマシトド
sparrow = スズメ
こういうふうに単純に英語の授業で習いました。その時には実際の鳥と結びつけて考えていませんでしたから、英語のsparrowが示すものと、日本語のスズメが示すものが本当に同じなのかという疑問を抱くことは全くありませんでした。ただ単に英単語を増やすことしか考えていなかった若かりし頃の私です。
一つのものに名称を与え概念化すると、それだけで、そのものを充分にわかったつもりになってしまいますが、実際にはただぼんやりと知っているだけで、実体をはっきり理解しているわけではありませんね。
そんな私が、日本の鳥について何も知らないままシカゴでバーディングを始め、自分自身の勉強のために、シカゴの鳥たちについて日本語で記事を書くという大胆なことを始めました。記事を書いているうちに、英語と日本語の間の言葉の意味や使い方の違い、また鳥の分類や命名の仕方が時代や場所によってかなり違うなどということが少しずつわかってきました。
一番初めに大きな違いに気がついたのは、スズメに対する概念の違いだったんです。その時の様子は、5回目の記事 (ほぼ一年半前)に書きました。
日本人が日本でスズメと言えば、身近にいるスズメ (Eurasian Tree Sparrow)を考え、少し鳥について知っていたら、林や森に生息しているニューナイスズメ (Russel Sparrow)を考えるでしょう。
一方、英語のsparrowは、old world sparrowとnew world sparrowを含んでいます。日本のスズメはold world sparrowの一種ですから、英語名は「ユーラシア大陸の」というEurasianが付けられてEurasian Tree Sparrowとなっています。ただのsparrowではないんです。
新世界であるアメリカには全部で48種、そのうち中西部では22種類のsparrowという名前を持つ鳥を見ることができます。そのsparrowたちは、日本のスズメに似ているものもいますが、かなり違っていてスズメとは思えないものも多いです。
ご参考のために"The Sibley Guide to Birds"のSparrowのページの写真をご覧ください。全48種のうち、非常に珍しい三種は記載外とのことです。
その中の一つで私がとても好きなsparrowが、White-crowned Sparrowです。カナダ北部やアラスカのタイガ、ツンドラ、高山草原、林の茂みに生息していて、越冬のためにアメリカの南部の暖かい地域に渡って行く時にシカゴに立ち寄ります。
日本にいるスズメの体長は、12-14cmですが、このWhite-crowned Sparrowは、15-16cmあるので少し大きめです。White-crownedという名前からは、頭頂に王冠のように白い部分があるのかなと想像しますが、白黒の縞模様なので目立ち、キリリとした印象を与えます。喉から首周りとお腹は薄いグレーで、翼は日本のスズメのような色合いで、尻尾が長いです。嘴は黄色かピンクです。
こんな鳥を生まれて初めて見たら、スズメとは思えませんよねえ!
私の「sparrow=スズメ」に対する概念を覆してくれた恩人 (恩鳥?) です。
さて、この鳥についてですが、雌雄の区別はなく、一雄一雌で生涯添い遂げるそうです。
誕生一年目の8月から翌年の4月までの若鳥は、頭が白黒の縞ではなく、こげ茶と薄茶の縞です。雌かと思ってしまいますが、若鳥です。
鳴き声は、こちらのページからどうぞ。結構よく通る声です。雄だけでなく、たまに雌も鳴くことがあります。雛達は、生後2~3ヶ月の間に囀りの基本を学ぶんですが、Indigo Bunting (ルリノジコ、前掲記事参照) のように、父親から直接学ぶのではなく、生まれた地域の囀りの環境から学ぶのだそうです。
White-crowned Sparrowの卵は、American Robin (前掲記事参照) ほど鮮やかな空色ではありませんが、空色に茶色の斑点があります。一度見てみたいですね。
私の好きなWhite-crowned Sparrowの写真をもう少し。
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