【シカゴでバードウォッチング!】 Northern Mockingbird マネシツグミ
高校の英語の授業で "To Kill a Mockingbird" という映画を見た時、初めてMockingbirdという鳥の名前を知りました。映画の日本語名である『アラバマ物語』から分かるようにアメリカ南部の話ですので、私はMockingbirdという鳥は南部にしかいないのだとずっと思っていました。ところが、シカゴにも今の時期に姿を現すんです。Mockingbirdという名前がついている鳥は世界に16種類いますが、北米にはNorthern Mockingbird一種類しかいません。
Northern Mockingbirdは、頭部と背中が淡い灰色、喉から胸と腹部が白で、翼の色は濃く全体的に焦茶か黒色で少し白い部分が見えます。尾はかなり長くて黒っぽく、縁が白い羽となっています。
こんなふうに地味で目立たない鳥ですが、際立っていることはその鳴き声です。Northern Mockingbirdは他の鳥たちの歌だけでなく、蛙や犬の鳴き声、ピアノや機械などの音の真似をする (mocking) のが上手で、一生のうちに200ぐらいのレパートリーを持つようになる個体もいるそうです。和名の「マネシツグミ」の「マネシ」は「真似しい〜」からきているのでしょう。そして、ツグミ科なので、英語名のように単なる「mocking + bird」でなく、ちゃんと「ツグミ」と入れていてわかりやすいですね。
このようにNorthern Mockingbirdは雄も雌も自分自身の歌だけでなく色々な声色を使って、一日中、時々は夜間、特に月夜の晩に鳴き続けるので、その歌声を聴きたいがために、18世紀終わり頃から19世紀初頭にかけてこの鳥を籠に入れて飼うのが流行ったそうです。そのため固定数が激減し、籠に入れて飼う鳥としての売買が禁止されました。おかげで、今では減少の心配はなくなっています。ホッ。
Northern Mockingbirdは、初列風切羽の根元と尻尾の外側に白い部分があり、翼を広げるとその白い部分が非常に目立ちます。
先日、いつもいく公園でNorthern Mockingbirdを二羽見つけ(上の写真)、気がつくとその一羽がすぐそばの地面に立っていて、翼を広げて白い部分を見せてくれました。地面にいる時に白い部分を見せるように翼を広げるのは、繁殖の相手の気を引くため、鷹や蛇などから巣を守ろうと威嚇するため、また虫など餌を取るためらしいですが、まだはっきりとその目的はわかっていないようです。私でもNorthern Mockingbirdに翼を大きく広げて白い部分を見せられたら、ウワッと思って驚きましたよ。こういうのを目の当たりにすると、その鳥の特徴がピッと頭の中に記憶されるんですよね。
Northern Mockingbirdはテリトリー意識がとても強く、鷹のように自分よりも大きな鳥が巣を狙っていると果敢に追い払いに行くそうです。2009年に発表された論文には、Northern Mockingbirdはテリトリーを侵そうとする人間の顔を認識して覚え、同じ人がまたテリトリーの中に入ろうとすると攻撃してくることがわかったと書いてあります。テリトリー意識が高いだけでなく、認識能力も高いと言えるでしょう。
私は、いつも行く公園でNorthern Mockingbirdのつがいが抱卵しているのをフェンス越しに静かに見守っていますが、侵入者と間違えられないようにしないと、あの鋭そうな嘴で突かれてしまいますね。夫はしょっちゅう行って見ているので、危害を加えない人間として顔を覚えられているみたいです。
私はまだNorthern Mockingbirdの色々なモノマネを聞いたことがありませんので、これ以上聴力が衰える前に、いつかそのバリエーション豊富な鳴き声を聞いてみたいと思っています。
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