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【シカゴでバードウォッチング!】 Rose-breasted Grosbeak   ムネアカイカル

「胸から血が流れているみたいな鳥」

これが、夫が私にこの鳥 Rose-breasted Grosbeak を初めて描写した時の言葉でした。(でも、本人は覚えていない!)私がまだ夫のお付き合いでミシガンの森で鳥見をしていた頃のことです。

英語名のRose-breasted も日本語名のムネアカも、ちゃんとその特徴を捉えていますが、Rose-breastedの方が、薔薇色でちょっと優雅かも。

Grosbeak、つまり大きな嘴がある鳥ですが、日本にいるのはJapanese Grosbeakで、「イカル」という名前です。私はイカルと聞くと、去年京都の三千院で生まれて初めて見たイカルがすぐ頭に浮かんできます。あまりの嘴の大きさにびっくりして、英語名を聞いて納得しました。そして、なぜイカルなんていう変な名前なんだろうと思ったら、奈良の斑鳩 (いかるが)にたくさんいたからという説があると聞き、スッと名前が覚えられました。

去年、三千院で見たイカル     ©Dan Lory

シカゴで見られるRose-breasted Grosbeakは、真っ黒な顔と頭で、背部はところどころ白い部分がありますが全体に黒く、腹部が真っ白ですから、胸から血が流れているみたいに見える赤は、本当に目立ちます。ある人は、“cutthroat bird (喉を切られた鳥)”と呼ぶそうです。この目立ちたがり屋は、もちろん雄です。

この鳥は左右対称の流血で、綺麗な模様のように見えますね。     ©Dan Lory
この鳥は、本当に血が滴り落ちているように見えませんか。     ©Dan Lory
Rose-breasted Grosbeakのオスの横姿     ©Dan Lory

雌は御多分に洩れずとても地味で、全体に茶系でまとまっていますが、白い眉斑が目立ちます。どちらも嘴はピンク色です。

これがメス。いつものことながら、あまりの違いに愕然としませんか?     ©Dan Lory

今週ミシガンの北の方に旅行していた時に見た鳥が上の写真のように白い眉斑が目立ったので、白い眉斑がある鳥を頭の中でいろいろ考えていると、夫がRose-breasted Grosbeakだと言うんですが、その言葉が信じられない私は「違う、違う」と言い続けました。雄が周りにいなかったので、絶対に違う鳥だと思ったんですが、Merlin Appを見て雌だとわかり納得しました。

本当に鳥の雌たちは雄と全然違う色をしていることが多いので、雌が単独行動を取っているとバーディング初心者の頭の中はクエッションマークでいっぱいになります。どうやったら覚えられるのか・・・。夫曰く「まず色に惑わされず、鳥の全体の姿、嘴の形、尻尾、他の特徴などを観察すること。歌声が聞こえたらなお良し。」う〜〜〜ん、修行が足りない私にはまだ無理、無理。(笑)

この鳥は大きい嘴があるので、硬い実をガリガリ食べるのだろうと思いますが、実は硬い実だけでなく虫や蜘蛛やなめくじなども食べるそうです。ジャガイモに寄生する害虫や雑草の種などを食べるので、農家の人には好かれているらしいです。

Rose-breasted Grosbeakは、雄も雌もとても綺麗な声で鳴き、時々は巣に座っている時にも鳴くという珍しい鳥です。特に雄は、自分のテリトリーを主張するために一日に700ぐらいの歌を歌うことがあるという研究発表もされているらしいです。このページで鳴き声を聞いてみてください。American Robin (前掲記事参照)の鳴き声に似ていますが、それよりもずっと美しくオペラの歌い方のトレーニングを受けたようだと絶賛する人もいるそうです。

冬の間は、メキシコ、エクアドル、ペルー、キューバ、バハマのあたりにいますが、渡りの時期には繁殖地であるアメリカの北部やカナダに行くために、メキシコ湾を全く止まらずに800キロほど飛ぶことができる強い鳥だそうです。

もし繁殖シーズンにアメリカにいらっしゃることがあったら、ぜひ胸から血を流している鳥を探してみてください。初めて見るとギョッとしますよ。(笑)

「いつかみんなをギョッとさせられたらいいなあ〜。」     ©Dan Lory     



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