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【シカゴでバードウォッチング!】  American Redstart  ハゴロモムシクイ

ここ1週間ぐらい、毎朝起きるとすぐにBirdCastで、私が寝ている間に何羽ぐらいの鳥が南へ渡って行ったか調べるのが日課になっています。そのためか、夜中の3時にパカッと目が覚めてしまった時には、今も上空を何千、何万、何十万羽かの鳥が飛んでいるんだなと思いながら再び眠りに落ちます。もう病気と言ってもいいいかも・・・。(笑)

ちなみに、ゆうべ (9/20 7:00pm 〜 9/21 6:40am)の渡り鳥の数は、イリノイ州を飛び越えて行ったのは約2309万9300羽で、ピーク時には約7223万200羽が飛んでいたそうです。

https://dashboard.birdcast.info/region/US-IL

そして、観察された鳥のリストの中に、私の好きな小さくて可愛らしいBlue-gray Gnatcatcher (前掲記事参照) の名前がありました。あんなに小さい体 (10-13 cm、5-7 g)で夜間飛行をしてメキシコ、グアテマラ、キューバ、バハマ、ケイマン諸島まで行くんですよ。どこにそんなエネルギーがあるんでしょう!

夜間飛行が観察されたWarblerの中の一つが、カナダの南部や米国の北東部で繁殖期を過ごし、冬を越すために中央アメリカや南米北部へ渡って行くAmerican Redstartで、先日シカゴに立ち寄ったのを見ることができました。

ヨーロッパにCommon Redstart (シロビタイジョウビタキ) という名前の鳥がいますが、この鳥とは全く関係がなく、新大陸の在来種ですからAmericanとわざわざ明記します。そして、redはこの鳥の赤っぽい錆色の部分を指していて、startは古い英語のstertからで「尻尾」という意味だそうです。

American Redstartは、顔も頭も喉も胸も翼も尻尾の先も真っ黒ですが、腹部は白っぽく、脇腹と翼の中央部分と尻尾の脇が赤っぽい錆色で、非常に見分けやすい鳥です。もちろんこれは雄、それも二歳以上の成鳥です。

American Redstartのオスの成鳥。錆色というよりオレンジに近いですね。     ©Dan Lory
斜め下から見ると、丸くポッチャリした感じですね。     ©Dan Lory

雄は、二年目を迎えるまでは雌のようなオリーブグレーと薄いクリーム色で、嘴の周りにちょっと黒い部分があるだけです。ですから、二歳前の雄が春にいくらテリトリーを主張し、雌に色目を使っても繁殖は成功しづらいそうです。やっぱり雌を惹きつけるには派手な衣を纏わなければならないようです。

まだ二年目を迎えていないオスの若鳥。これじゃ魅力ないわ〜〜。     ©Dan Lory
お顔にちょっと黒い点々が見えてきているオスの若鳥。ティーンエイジャ?     ©Dan Lory
メスが一生懸命囀っていて変だなと思ったら、二歳前の若鳥でした!なんとなく黒っぽい部分がある。
©Dan Lory
こちらがAmerican Redstartのメス。目がパッチリとしていて、優しい色合いで可愛いでしょ?
©Dan Lory
オスの若鳥と違って嘴周りがスッキリ。このクリーム色とオリーブグリーンが最高ですが、木の中にいると見つけにくいです。     ©Dan Lory

大体warblerというのは、木の高い枝をピョンピョン飛び回っていてジッとしていないので、私たち人間は下から鳥の腹部と尻尾の裏側ばかり見ることになり、翼や顔の色が見えないことが多いです。

では、どうやってバーダーはAmerican Redstartを特定するのかというと、それは尻尾の色を見るんです。下の写真のように、赤っぽい錆色と尻尾の先の黒です。この特徴は、私でも覚えられました。(笑)

"The Warbler Guide" by Tom Stephenson & Scott Whittle, Princeton University Press, 2015, p.55

上記の "The Warbler Guide" には、下記のように尻尾の裏側(人間が下から見上げた時に見える側) の一覧表があります。

The Warbler Guide by Tom Stephenson & Scott Whittle, Princeton University Press, 2015, pp.114-115
American Redstartだけ、尻尾に赤っぽい錆色と黒があるのがわかりますね?
オスの成鳥の尻尾に注目。本に書いてある通りの色の組み合わせ。     ©Dan Lory
ちょっと見えにくいですが、メスの尻尾はクリーム色とチャーコールグレー。     ©Dan Lory

ベテランバーダー、特に、種類の多いwarblerを見分けられるようになるには、これらがちゃんと頭に入っている必要があります。もちろんこれは鳥の特徴の一部で、嘴の形、体型、歌など覚えなければならないことは山のようです。何の道でも究めるには時間とたゆまない努力が求められますね。あ〜〜、もっと頭が柔らかい時から鳥に親しんでおけばよかった!

さて、American Redstartに話を戻すと、この鳥たちは虫などを捉える時に、その特徴である赤錆色の尻尾を効果的に使います。尻尾をパッと広げると赤錆色が目立ち、虫たちが驚くので、その間に素早く口に入れるそうです。

JOHANN SCHUMACHER DESIGN 
https://www.birdsandblooms.com/birding/bird-species/black-birds/

雄は、繁殖期に幾つかの巣作りの候補地を雌に見せ、雌がそれを一つずつ試してみて気に入ったのを選び、雌が巣作りをして、子育ては両方が共同で行うらしいです。そして、雄は時々二羽の雌とつがいになりますが、その場合には全く違うテリトリーで、尚且つ第一夫人が卵を産んで抱卵し始めた後、二番目の雌とつがいになるということです。結構けじめをつける義理堅い雄ですね。

こういうことも、鳥類学者さんたちが草陰に潜んで長期間にわたり観察を続けた結果知ることができたことですよね。鳥類学者さんたちの粘り強い研究に頭が下がります。鳥類学者さん、ありがとうございます。

色合いが柔らかく優美なメスをもう一枚。     ©Dan Lory




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