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【シカゴでバードウォッチング!】 American Woodcock アメリカヤマシギ

今の時期にこの鳥が姿を現したと聞くと、シカゴのバーダーたちはソワソワし始めます。この鳥のユニークなスカイダンスを見たくてたまらなくなるからです。わざわざ夕方から夜にかけての6:45から8:15まで、バーディングツアーが組まれるくらいです。そのスカイダンスを何回か目撃したことのある夫は、一見に値すると言っています。その鳥の名前は、American Woodcock (アメリカヤマシギ) 。日本で見ることができるヤマシギは、旧世界のEurasian Woodcockですが、日本ではわざわざスカイダンスを見に行くバーダーさんはいらっしゃるのでしょうか。

American Woodcockはアメリカに生息する唯一のヤマシギで、シギとは言っても水辺にはいず、森林の中に生息しているので、英語ではwood、和名ではヤマという名前が付けられています。アメリカではこの鳥にTimberdoodle、Bogsucker、Labrador Twisterなどのニックネームが付けられています。それは、この鳥の肉がコクがあって美味しく、狩猟用の鳥として昔からハンターたちに好まれてきたからのようです。日本では、高級ジビエの食材のようですが、私はこの鳥を食べるということは想像もできません・・・。

American Woodcockの横姿     ©Dan Lory

この鳥が夜明け前と日暮れ時にするスカイダンスについてですが、ナチュラリストのAldo Leopold (アルド・レオポルド) が"A Sand County Almanac" (Oxford University Press, 1949、新島義昭訳『野生のうたが聴こえる』講談社学術文庫、1997年)に"Sky Dance"というエッセーを書いていますので、下に一部を引用します。

Suddenly the peenting ceases and the bird flutters skyward in a series of wide spirals, emitting a musical twitter. Up and up he goes, the spirals steeper and smaller, the twittering louder and louder, until the performer is only a speck in the sky. Then, without warning, he tumbles like a crippled plane, giving voice in a soft liquid warble that a March bluebird might envy. At a few feet from the ground he levels off and returns to his peenting ground, usually to the exact spot where the performance began, and there resumes his peenting.

"A Sand County Almanac" by Aldo Leopold, Oxford University Press, 1949

簡単に言うと、「American Woodcockは、この鳴き声 (一番目のSong)を発した後、きれいにさえずり(上から三番目のDisplay)ながら、大きく螺旋を描いて空に舞い上がる。(註:100メートルぐらい上空まで)上へ上へ上がっていって螺旋飛行が急で小さくなればなるほど、さえずりは大きくなる。そしてブルーバードも羨むような柔らかい声を発しながら、突然、故障した飛行機のように落ちてくるが、地上から60~90センチぐらいのところで地面に水平に飛び、スカイダンスを始めるために飛び立ったところに戻る。その後、またはじめの鳴き声(1番目のSong)で歌う。」ということです。

夫はAldo Leopoldの描写の通りのスカイダンスを身近にちゃんと見たというので、私は自分の目で確かめようと思い、いつもの公園 (前出記事参照)に夕暮れ時に行ってみました。昼間の景色しか知らなかった公園の夕焼けは、涙が出るほど美しく感激しました。

この日の名無しの権兵衛公園の夕焼け      ©Dan Lory

日が沈んでから底冷えする草原の中で忍耐強く待つこと30分。その間にコヨーテの鳴き声が聞こえたり、鹿が二頭現れたりしました。すると、暗闇の中で、かすかにAmerican Woodcockの鳴き声 (一番目のSong)が聞こえました!でも、暗くて鳥がどこにいるのかわかりません。(American Woodcockは夜行性の鳥なので暗くてもちゃんと見えているんです。)夫は鳥が空中に舞い上がっていく時のさえずり(上から三番目のDisplay)もちゃんと聞いたと言いましたが、老化で聴力が低下している私の耳には全然聞こえませんでした。(涙)Merlin app で鳴き声を録音していたので、後から聞くことができましたが。スカイダンスをしていたであろう一羽のAmerican Woodcockが私たちの方に向かって飛んできたのは、はっきりと見ることができましたが、その後どうなったのかは分からずじまいでした。ということで、その日はそれで終わりにしました。初めての体験としてはいいことにしますが、やはりもう一度トライしてみたいと思っています。

YouTube上にいいスカイダンスの動画がないか探しましたが、夜で暗いため遠赤外線カメラで撮っていてもいいものが見つかりませんでした。でも、この動画なら少し様子がわかるかもしれませんので、ご興味があったら、見て聞いてみてください。

次に、American Woodcockの面白い特徴について書きましょう。

まず、からだの羽毛は灰色、黒、赤褐色などの細かいまだらもようで、首と尾は短く、脚も他のシギに比べて短いです。つまり、カモフラージュが上手にできるので、見つけにくい鳥です。下の写真の中のどこにいるかわかりますか。

かくれんぼが上手なAmerican Woodcock。ちゃんといますよ。     ©Dan Lory

このように地面にいるのを見つけることが難しいので、大抵飛んで逃げる姿を見ることになりますが、ハトぐらいの大きさのずんぐりした体型で、後ろ姿のお腹の部分がオレンジ色に見えるのでAmerican Woodcockだと解ります。残念ながら、写真はありません。

次に、American Woodcockの目はとても大きくてつぶらですが、他の鳥類と比べると頭の後方上部に寄っています。空と地面がよく見えるようになっているそうですが、目の前にあるものがあまり見えないため、建物に衝突して死んでしまうことがよくあるということです。私自身、犬の散歩の途中で4階建てのレンガ作りのアパートの窓に激突したAmerican Woodcockを目撃したことがあります。でも気絶することもなく、ちゃんと飛び去ったのでホッとしましたが。

真正面から見たAmerican Woodcock。頭の高さにある大きな目!長い嘴!
ML423572861 by Brendan Fogarty, Macaulay Library

10センチぐらいある嘴は体に比して長いですが、それを上手に使って地中にいるミミズなどを引っ張り出して食べます。

それから、歩き方。食べ物を探している時に、頭を動かさずに肩から下の体全身を前後に振りながら歩きます。その姿がユニークなので、YouTubeにある動画にはいろいろな音楽が付けられていて笑ってしまいます。また、恐怖を感じると道の真ん中であろうと、体がフリーズしてしまってピタリと動かなくなってしまいます。私は、まだ実際に歩く姿やフリーズ状態を目にしたことがないので、いつか自分の目で見てみたいと思っています。


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