【写真】as soon as #slowlight with me.
自分を偽り過ぎると、自分そのものが偽りになる。嘘や真実は、影のようについて回る。逃げ切るなら、生きるのをやめるしかない。
でも。せっかく生まれてきたんだ。
どんなふうに生きても、必ず死が訪れる。必死。必死に生きて、やがて、死ぬ。
いつか楽しくなる。僕はそう思う。
前に向かない限りは光は見えない。後ろにあるのは残光でしかない。つかまえよう。あの、流れ星を。
学生のころ、西村良太という友達がいた。
ある日の朝の出欠確認。おしゃべりと物音の講堂。僕とヒロアキコマツと西村良太は並んで座っていた。西村良太はイヤホンで何か、音楽を聞いていた。
「西村良太」
先生が彼の名を呼ぶ。良太は、
「イエエエエエエイ!」
と、叫び、頭を振り、拳で天井を突いた。その場にいたすべての人が、驚き、その奇声のほうへ視線を集めた。そして、すぐに、「ああ、西村良太か」と納得した表情を浮かべていた。
そして、数分後、良太は、呼ばれてもいないのに、誰かの点呼に応答して、「イエエエエエエイ!」とガッツポーズを見せた。
パンクなのかハードロックか、なんだろう、激しい音楽を聴いているのだろうと思っていたが、彼が聴いているのは、松任谷由実だった。
「どんなふうに聴こえてるんや」
僕は問う。
「耳で聴いている音楽と、頭の中で鳴っている音楽が別なんだろ」
ヒロアキコマツがそう応えた。
学生寮でも一緒に過ごしているヒロアキコマツは慣れた様子で、表情も変えなかった。
天才というやつは、感覚から常人と違うのだろう。良太は本当にすごいやつだった。
3ヶ月ごとにクリーニングを兼ねて、定期検査のために歯科に通っているんですが、今回、不具合が見つかりまして。ごく初期の虫歯が2本。次の金曜に治療することになったんです。
「はいはーい、ビリーさーん、怖くないから、力を抜いてくださいねー」
と、笑われました。僕は歯科と高所がとても怖いので、それに遭遇するたびに寿命が縮まる思いをする。
しかし、思う。
怖いか、怖くないか、それを決めるのは、治療する側ではない。受ける側なんだ、と。胸の上に重ねた両手を握り締める。
いちばん好きな食べ物はカレーライスです。
それでは、また。ビリーでした。
photograph and words by billy.