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能登殿の最後について。【物理】

何気に週1投稿を狙っている、"とりすてぃっく"です。

私はこの物語を読んでいて、不思議に思うところがあるんですよ。

まずは、この1節をお読みください。

長刀脇にかい挟み、味方の船の二丈ばかり退いたりけるに、ゆらりと飛び乗りたまひぬ。

能登殿の最後

これは壇ノ浦の戦いで源義経がやった、八艘飛びというやつです。

これ、すごいですよね。
二丈(約6.06m)離れた船に飛び移るなんて、どんな脚力だよって思っちゃうんですよね。

そこで、今回はこの八艘飛びがどれだけすごいのかを調べていきたいと思います。

ちなみに今回の見出し画像は、『PowerPoint』で作りました。
この図はまた後で出てきます。


<源義経のステータス>

まずは、源義経について調べていきます。

  • 平安時代末期~鎌倉時代初期の武将

  • 『坂下し伝説』や『弓流し伝説』などがある。

  • 推定身長は147cm

  • BMIより、適正体重は47.54kg

  • 八艘飛びの鎧の重さは16.8kg

  • 長刀(薙刀)は、軽いもので2.5kg

  • 総重量は、約66.84kg

こんな感じです。
鎧の重さは、ここから持ってきました。

<八艘飛びと斜方投射>

数字を見ると発作を起こすような人は、
<源義経の凄さ>から見る事をオススメします。

八艘飛びを図で表すと、

今回の見出し画像

こうなります。

このままでは考えずらいので、斜方投射の図にすると、

大体このようになります。

条件は、

  • 小球を初速度$${v_{0} \scriptsize [m/s]}$$で、$${45^\circ}$$の角度で投げる。

  • 小球の質量:$${m = 66.84 \scriptsize kg}$$

  • 重力加速度:$${g = 9.8 \scriptsize m/s}$$

  • 水平到達距離:$${6.06 \scriptsize m}$$

  • 空気抵抗は無視する。

平家物語絵巻を見ると、助走をするスペースはあまりなさそうなので、
こんな感じで考えていきます。

ちなみに、角度が45°なのは、
この角度が空気抵抗がないときに一番飛距離があるからです。

<初速度を求める>

まずは、初速度を求めていきます。

水平方向の初速度:$${v_{0x} = v_{0}\cos45^\circ = \frac{1}{\sqrt{2}}v_{0}}$$
鉛直方向の初速度:$${v_{0y} = v_{0}\sin 45^\circ = \frac{1}{\sqrt{2}}v_{0}}$$

こんな感じになるので、$${t \scriptsize [s]}$$後の速度は、

水平方向の速度:$${v_{x} = v_{0x} = \frac{1}{\sqrt{2}}v_{0}}$$
鉛直方向の速度:$${v_{y} = v_{0y} - gt = \frac{1}{\sqrt{2}}v_{0} - gt}$$

このようになります。
水平方向では等速直線運動をしているため、$${x = v_{0}t}$$より、
水平到達距離が$${6.06 \scriptsize m}$$になるときは、

$$
6.06 = v_{0x}t \\
6.06 = \frac{1}{\sqrt{2}}v_{0}t\\
6.06\sqrt{2} = v_{0}t \cdots \textcircled{1}
$$

また、鉛直方向では高さ$${y \scriptsize [m]}$$が$${0 \scriptsize m}$$になるとき、
$${t \neq 0}$$ならば、水平到達距離は$${6.06 \scriptsize m}$$となるので、
$${y = v_{0}t-\frac{1}{2}gt^2}$$より、

$$
0 = v_{0y}t-\frac{1}{2}gt^2 \\
0 = \frac{1}{\sqrt{2}}v_{0}t-\frac{1}{2}gt^2 \\
0 = \frac{1}{2}t(\sqrt{2} v_{0} - gt)
$$

$${t \neq 0}$$より、

$$
0 = \sqrt{2} v_{0} - gt \cdots \textcircled{2}
$$

$${\textcircled{1} , \textcircled{2}}$$より、

$$
v_{0} = \sqrt{6.06g} \approx 7.7 \scriptsize m/s\\
\normalsize t = \sqrt{\frac{2 \times 6.06}{g}} \approx 1.1 \scriptsize s
$$

こんな感じで初速度とついでに時間も出せた。

<高さを求める>

ここから鉛直方向の最高到達距離(高さ)を求めていきます。

最高到達点では、鉛直方向の速度が$${0 \scriptsize m/s}$$になるので、
$${v^2-v_{0}^2 = -2gy}$$より、

$$
v^2-v_{0y}^2 = -2gy \\
0-(\frac{1}{\sqrt{2}} \times \sqrt{6.06g})^2 = -2gy \\
3.03g = 2gy \\
y = 1.515 \scriptsize m
$$

$${1.515 \scriptsize m}$$と、出せました。

一応、グラフも用意しました。
関数は、

$$
\begin{cases}
x = \frac{1}{\sqrt{2}}v_{0}t \\
y = \frac{1}{\sqrt{2}}v_{0}t-\frac{1}{2}gt^2 
\end{cases} \\
(0 \leqq t \leqq 8,  g = 9.8,  v_{0} = \sqrt{6.06g})
$$

です。

matplotlibより

コードは下記の通りです。

import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt

t = np.linspace(0, 20, 500)
g = 9.8
v_0 = np.sqrt(6.06 * g)

x = (1 / np.sqrt(2)) * v_0 * t
y = (1 / np.sqrt(2)) * v_0 * t - (1/2) * g * t**2

plt.plot(x, y)

plt.xlim(0,8)
plt.ylim(-3,5)
plt.xlabel("x[m]")
plt.ylabel("y[m]")
plt.grid()
plt.show()

<ジャンプ力を求める>

もしも源義経が垂直飛びをしたらどのくらいの高さまで
飛べるのかを計算していきます。

初速度$${v_{0} = \sqrt{6.06g}}$$としたときの鉛直投げ上げ運動を
考えていきます。

最高点に達するときには、速度が$${0 \scriptsize m/s}$$になるので、
$${v^2-v_{0}^2 = -2gy}$$より、

$$
0^2-(\sqrt{6.06g})^2 = -2gy \\
6.06g = 2gy \\
y = 3.03 \scriptsize m
$$

$${3.03 \scriptsize m}$$も飛べることが分かります。

ここまでの計算で何かしら不備がありましたら、
コメントで教えて下さい。

結局、質量全く使わなかったな…

<源義経の凄さ>

八艘飛びは船の上でやっているので、
かなり足場が不安定なところから飛ぶことになります。

記事を書いている時点(2023/11/23)での走り幅跳びの公式世界記録は、
マイク・パウエルさんの8m95cmだそうです。

しかしながら、源義経は少ない助走で6mも飛んでいます。

また、走り高跳びの公式世界記録は、
ハビエル・ソトマヨルさんの2m43cmだそうです。

ただ、計算によると源義経は垂直飛びで、3mも飛べることになります。

しかも、源義経は甲冑を着ている状態でこれを成し遂げています。

これを見ると、どれだけ源義経がすごいのかが分かりますね。

もしも、源義経が現代にいたらオリンピックでどんな記録を
樹立していたのだろうか…

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