
【野鳥観察プチ:】ホシハジロの名前の由来・イソヒヨドリの羽色の個体差
こんにちは、あおさぎ。です!
今回は【野鳥観察プチ】の補足(というより私自身の宿題)として、ホシハジロの名前の由来とイソヒヨドリの羽色の個体差について調べてみました。
ホシハジロの星
冬期の池等に集まるカモ類の中では少数派のイメージがあるホシハジロ。【野鳥観察プチ】では以下の記事で紹介しました。
「ハジロ=羽白」と明らかなので、「星」が何を指しているのか知りたいところ。手持ちの資料(文献1)を紐解くと…おぅ、載ってない。仕方なくネット検索してみたところ、以下の2つの説が見つかりました。
体の灰色の部分に入る黒い縞模様を星に見立てた
オスの赤い目(虹彩)を星に見立てた
私が知っていたのは説2でしたが、ネット上では説1を多く見かけました。
妻にこの話をしたとき「南十字星(みなみじゅうじ座)の赤い星(γ星:ガクルックス)に準えてるのでは?」との新説が。なるほど、南十字星が輝く南方にも渡来するし、可能性がないとも言えない?…何だか宮沢賢治の童話みたいですが、こんなオリジナルの新説を考案するのも楽しいですね!
青い?蒼い?碧い?イソヒヨドリ
都市部への進出が止まらないイソヒヨドリ。私が住んでいる静岡県でもよく見かけます。【野鳥観察プチ】では以下の記事で紹介しました。
イソヒヨドリの、特にオスは羽色の個体差が大きいように感じていましたが、実際のところどうなのでしょう?改めて図鑑(文献2)でイソヒヨドリを調べてみたところ、「羽色の個体差が大きい」との記述がありました。なるほど、羽色に個体差があることは間違いないようです。
では、その個体差は何に由来するのでしょうか?これはさすがに手持ちの文献では調べようがないためネット検索したところ、近しい研究の成果報告書(文献3)が見つかりました。それによると、
ルリビタキやイソヒヨドリ等で(構造色の)発色の程度が異なる個体の羽毛内部構造を比較した結果、スポンジ層と呼ばれる羽毛内部構造と、メラニンの顆粒状構造が存在することが認められた
スポンジ層の構造が発色の異なる個体間で違いが認められた
メラニンの顆粒状構造(メラノソーム)の配置にも差が認められた
とのこと。専門的な言葉が並びましたが、どうやら羽色の個体差は羽毛の微細構造に由来しているようです。では、これらの微細構造の差は何に由来するのでしょうか、パッと思い付いたのは食事・遺伝・地理…う~む、考察し甲斐がありますね!
野鳥達の補足説明
今回の記事は少々マニアックで完全な「よみもの」となりましたが、いかがでしたか?私自身、バードウォッチングの最中にこんな考察をすることはあっても、ここまで複数の資料を紐解いてまとめるのは初めての試みでした。私個人の見解が含まれていますが、野鳥を深く知るための「補足説明」「雑学」「蘊蓄」として読んでいただけたら嬉しく思います。
ちなみに、タイトルに「補足説明」を表す「:(コロン)」を付けて、細やかながら【野鳥観察プチ】と区別しています(こんな感じでタイトル等を揃えるのが好きなので、完全な自己満足です)。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
参考文献
安部直也・叶内拓哉「野鳥の名前 名前の由来と語源」山と渓谷社(2019)
永井真人「鳥くんの比べて識別!野鳥図鑑670 第3版」文一総合出版(2019)
森本元「構造色由来の色彩個体差の発生機構~性選択における構造色の意味を探る~」科学研究助成事業 研究成果報告書(2022.6.29)