【LDLバディ対談】理学療法士経営者が考えるまちづくりとは。〜フィリピンとの架け橋をつくる〜(田町淳さん)
木下斉さんが所長を務めるLocalDrivenLab(LDL)のメンバーと定期的にバディを組んで対談し発信する取り組みの中で、今回、岐阜県高山市でリハビリディサービスを経営する田町淳さんと対談を行いました。
1.田町淳さんの経歴
田町さんは、大学で体育学修士を取得し、ベンチャー企業社長秘書を経験し、専門商社へ転職。
39歳で理学療法士を目指し、平成27年にリハビリディサービスひまわり高山店を開業。現在はリハビリディサービス・訪問看護ステーション・スポーツジムを経営しています。
2.経歴の転機
もともと大学院で運動学を専攻し、「人を元気にしたい」という想いが原点へ立ち戻り、39歳で理学療法士養成校に入学し、理学理学療法士の資格を取得しました。7年ほど総合病院に勤務後、
商社での営業勤務で培った事業計画のスキルを活かして、地元に戻り、脳卒中片麻痺の患者へのリハビリテーションに特化したデイサービスを開業。
奥様がフィリピン人であることも大きな影響を与え、フィリピンと日本の架け橋を作りたいと尽力されていて、現地の学校や支援団体、また日本の関係機関とも精力的に行動されているようでした。
3.脳卒中片麻痺の治療センターとしての挑戦
リハビリデイサービスひまわり高山店は、脳卒中片麻痺の治療センターとして開業すると、驚くべきことに、脳卒中片麻痺の患者さんだけでなく、介護予防や要支援の元気なお年寄りたちも多くが利用するようになったのです。
介護業界の中でも、ニーズが眠っていたブルーオーシャンなポジションを獲得。
そして、今後はさらに地域社会の中で通じて多世代による多角的に関われるサービスを提供していきたいと考えているとのことでした。
この視点はとても素晴らしいと思いました。
理学療法士として、病院勤務を7年で開業し、9年間事業を続ける(しかも事業規模を広げながら)には、理学療法士としての専門スキルの他に、かなりの経営力が求められます。その点について伺うと、お父様が高校の校長先生にまでお勤めになられていたこと、そしてお母様も看護師であり、地元では有名な名家であったのだそう。
地の利を生かしながら、商社で培った経営力を生かされていて、さらに精力的にまちを元気にしようと尽力されていました。
4.LDLへの参加理由
なぜLDLに入ったのか。
田町さんは「まちづくり」に強い興味を抱いており、訪問看護やリハビリ、介護だけでなく、多世代で交流できる場所を作りたいとの想いからLDLに参加。
「まちづくり」については、将来的にはフィリピンからの若い人材を多く受け入れたいと考えている。
5.フィリピンの社会情勢を考える
話の中で、フィリピンの国政についても、気になったので、いくつか質問させていただきました。
フィリピンは、西太平洋に位置する東南アジアの国で7,000以上もの島で構成されている国。
フィリピンの平均年齢は24歳(日本48.4歳)。
1年間の出生数は、日本が70万人(出生率1.36)に対して、フィリピンでは年間150万人(2.78人)と、1人の女性が生涯出産する人数は3〜5人と子だくさんだ。
しかしながら、フィリピンの一番の産業は、農業従事者であり、主な生産設備などの工業設備やインフラ整備に中国系資本の存在が強く、中間層が育ちにくい状況を生んでいるとのこと。(フィリピン2023年GDP3,859億USドル・日本3兆3,949億USドル)
フィリピンでは医療制度も大都市以外では不十分であり、保険料も十分に整備されていないため、十分に医療が受けられない状況であり、いまだに国外へ出稼ぎして、入ってくる外貨を頼らざるを得ない状況とのこと。
フィリピン人の奥様と結婚し、血縁者が何人かフィリピンでも増えてくると他人事には思えなくなってきて、なんとかできないかという想いに変わった。「フィリピン人を高山市に呼びたい」と尽力するなかで大事にしていることは【文化の違いを理解する】ことなんだそう。
6.未来への展望
田町さんはこれからも地域社会に貢献し、多岐にわたるサービスを提供していく意向。LDLを通じてまちづくりの可能性を模索し、フィリピンの方々も含めて多様性を受け入れる場を築くことが目標とされています。
田町さんと話していて、経営者の視点でのお話しがとても多く、学びになりました。
我が家のわさび農家についても話しを聴いてもらいました。ディスカッションするなかで、「実際に売っている客層と本来売るべき客層に乖離はないか」とズバリな助言をもらいました。
プレミアム層がキャッチするようなポジションが本来目指すポジションで、そのために「心地良さ」「パッケージ」「提供時間」などをコントロールしてはどうか。とアドバイスをいただき、これから目指すポジションについて考えるヒントをいただきました。
7.最後に
最後に、自分が目指すビジョンを伴奏してくれる(壁打ちできる)人材について、伺ってました。田町さんの周りには、地域づくりに関する案件にも強い設計士、行政との窓口となる行政書士、IT分野における長年お付き合いのある友人、そしてカメラマン。そうしたプロフェッショナルな方々と長く付き合っていくには、きちんと相談であっても時間を課金(マネタイズ)すること。
と、教えていただきました。
そして、【悩んでいるより、手を動かす】
チャットGPTなどをうまく活用すれば、壁打ち相手としては有効で、的確アドバイスが帰ってくるし、図面もある程度描いてくれるので、自分の中で、悩みができた時もまずは手を動かす。ことが大事だとアドバイスをいただきました。
LDLバディ対談は、全く異業種でありながら、質の高い情報交換ができ、新たな気づきを与えてくれるツールです。2024年新年早々、素晴らしい対話の場を提供してくださったことに感謝します。
田町淳さん、ありがとうございました!