#46 JEPXとは何か?

今回はリミポの収益に大きく関係するJEPXについて調べてみたいと思います

JEPX Japan Electric Power Exchange)は日本卸電力取引所と呼ばれる電力の現物取引および先渡取引などを仲介する取引所です

そもそもほとんどの新電力は自社で電気を流したりはしません。市場で電気を流す権利を買い、東電などの地方電力に依頼するのです。

リミポのように自社での発電装置を持たない新電力会社はどこからか電気を調達しなければなりません。

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ほとんどの新電力にとっての最初の選択肢はJEPXからの購入でしょう。ヘッジもベースロード電源もJEPXを通じて行われます。唯一相対電源のみは地方電力や発電施設を持つ会社と契約し、電気を売ってもらう方法です。しかしこれはある程度大きい会社しかできません。

JEPXで購入できる市場は以下の4つ(厳密にはもっとたくさんあるのですが主にこの4つ)

①一日前市場(スポット市場)
 翌日に受け渡しをする市場。24時間を30分毎に48分割して各時間区分で取引される。取引単位は0.1MW(50kWh)。価格はkWhあたりの価格を0.01円刻み。

②当日市場(時間前市場)
 受け渡しの1時間前まで取引可能。発電不調や想定外の需要増加などのための市場。

③先渡市場
 受け渡し期間は9年間、6ヶ月、3週間が対象。

④ベースロード取引市場
 1年間(4月~翌年3月)固定価格・固定量で電気を受け渡す契約。売り手は石炭火力、水力、原子力などによる発電が対象。

新電力会社はなるべくなら日付が先の電力は持ちたくないのです。資金が拘束されますからね。ゆえに①と②の市場で明日の電力を買う会社が多かった。

①の市場で明日の需要予測をして購入をする。そして余ったり足りない分は②の市場で調整します。30分単位で買った電気は他の時間に回したりできないのです。大目に買ってしまい消化できないと捨てるしかない。顧客の電力使用量はちょうどピタリで買える方が稀で多めに買うしかない。その廃棄をいかに少なくするかが利益を大きくするコツです。

また市場では電気を売ることもできるのです。なので高くなりそうな時間の電気を多めに買っておき売ることで利ザヤを儲けることもできます。

需要予測は昔は気温や、前年比位でよかったのでしょうが、今は太陽光の発電電力予測やLNGの価格なんかも関わってきますのでどんどん需要予測が難しくなっています。そこでAIで需要予測をする会社が増えてきています。

昨冬の異常な電気高騰はエコ電力に切り替えが進まないなか、原発事故を起こし原子力が使えず、それを補うためLNG(液化天然ガス)の利用を増やしていた日本の一人負けでした。オーストラリアがウイグル問題をはじめとした中国の人権問題を攻撃したため、中国はオーストラリアの主要産業である石炭の購入を停止しました。中国は石炭の代わりにLNGを大量に買い始めました。価格はあっという間に高騰し、その被害を被ったのが新電力です。

LNGは、最初に冷却液化するのにエネルギーを要し、更に液体状態に保つためにはー171℃を維持しなければならず、常時冷却用エネルギーを要します。長期保存するとこれらのエネルギー量が大きくなり過ぎ、LNGが持つエネルギー量を超えてしまい備蓄の意味が失われます。このため、LNGはなるべく短い時間で消費するよう輸送計画が組まれ、長期備蓄も行われません。

いまのところ日本のエネルギー政策は全く失敗しています。中でもひどいのはインバランス制度という仕組みです。JEPXへの供給が足りずに、新電力が本来顧客に送るべき電力が確保できない場合は、代わりに地方電力が電気を融通してくれるため停電することはないのですが、ペナルティとして新電力側に大変高い料金を請求される罰金制度です。

これよく考えると意図的に供給しなければ、地方電力は大もうけできる仕組みなんですよね。だから私は危ない仕組みだとツイッターで言いました。しかし新電力をよく知らない人たちはろくに設備投資もしないで地方電力におんぶに抱っこの新電力がつぶれるのは当たり前だと言います。

私は新電力会社は魚市場の仲買人のようなものだと思っています。安く仕入れたいい素材をお客さんに届けて喜んでもらう。この仕組みがあることで地方電力は悪名高き総括原価方式をやめました。では魚が取れないといって仲買人は船を持ってないから潰れるべきと責められる存在でしょうか?

新電力会社は市場を開くから商売しに来てくれと依頼されてきたわけです。なのに魚がそろわないけど、高くなっても責任はお前らが取れというのはどうにも納得がいきません。これがまかり通ってしまえば地方電力はいつでも顧客を奪われて憎い新電力をつぶせるのです。

冬や夏は毎回高騰が起こり得るため③④の市場も奪い合いになるでしょう。これも資金がある会社しかできません。

昨冬のインバランスの費用は4月から12月の9か月で分割払いすることが可能です。しかし普段の10倍まで上がってしまった金額を顧客に転嫁せず払える会社はそう多くはないでしょう。年末に向けて小さな民間の新電力会社の倒産・吸収が起こると予想されます。

現に新電力の雄であるホープは今期利益を-50億円からー70億円に下方修正しました。ホープはワラントを実行中ですが株価が行使下限を割ってしまい早急にお金が必要なのに行使される見込みがありません。このままいけば債務超過になり1年後までに改善しなければ上場廃止になります。ライバルが倒れれば顧客が流出するのでリミポにはいいこともあるでしょうが新電力の倒産が続けば、新電力は危ない業種とされ株価は上がらないでしょう。

ではなぜJEPXの電気代は際限なく上がってしまうのか。それはシステムに問題があるのです。

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これは8月3日のJEPX価格です。このように大体あがる時間帯は決まっています。普通なら暑い日の日中が価格のピークなのではないかと思いますが大体夜の18時から20時くらいなんですね。

最近では昼間は太陽光があるためその電気を直接使う家もあるし、働いていて家にいないので売電しているのもあって年々昼間は安くなってきているんですね。そして夜は太陽光が使えないため地域電力便りになる。だから家庭に人が増える時間は需要が増えるわけです。

JEPXの入札方式は指値だけです。つまりインバランスを払いたくない会社は損を覚悟でMAXの値をさしてきます。なので際限なく高くなってしまうのです。小田社長も言っておられましたが成行買という仕組みがあればこのように極端な高騰はなかったと思います。しかしJEPXはまだ対応しようとしません。

JEPXに頼っている限りはずっとギャンブルです。コツコツ稼いでもインバランスで一気に赤字になる危険を抱えながら経営するしかない。ではこれを解決するにはどうしたらいいのか?

発電所を持たないリミポができる方法は1つです。

「高い時間の電気を使わせない」

いわゆるピークカットです。

そのためには蓄電池が絶対必要です。そのためにリミポは蓄電池を始めました。これがあれば深夜の安い時間に電気を貯めさせてその電気を使えばいいのです。さらに太陽光があればほぼ丸一日すべての電気がまかなえます。深夜の安い電力を安定的に売れれば利ザヤも増えます。

そして太陽光+蓄電池は地方電力に支払う宅送料と再エネ賦課金を払わなくていいのです。なんせ自宅で発電して自宅で使うわけですからね。これで利益率は跳ね上がります。電気を多く買いすぎることもいらない。

鋭い新電力会社は気付きました。太陽光を貸し出してでもJEPXから離脱した方が儲かるのではないかと。

そのために大金を投じてバッテリーを自社ブランド化しました。電気部門の薄利多売からの脱出をリミポは模索しているのです。

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