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【新聞記事紹介】 30キロも飛んだトンボを確認 京浜工業地帯で企業と市民が連携調査:朝日新聞デジタル2025年1月31日

 ビオトープ、特に学校ビオトープに関する内容を紹介するつもりで、2023年12月より、noteを始めました。このところ、冬休みにエジプト旅行をした記事を書いています。まだ書きたいことがたくさんあるので、これはこれで数回続けるつもりですが、たまたま新聞で、ビオトープに関するいい記事がありましたので、紹介します。

注目点は次の3点

 これは、「30by30生態系を守る」という連載記事(2025年1月31日9:30電子版)の最新のものです。
 注目したのは次の3点です。
① 学校ビオトープを含むビオトープに関する最新の内容であること
② 横浜市は以前より自然再生に熱心で、今も継続していることに感心したこと
③ 今、私自身も関わっている「30by30」自然共生サイトに関する連載記事であること

記事内容の紹介

”横浜市内の京浜工業地帯にある企業の敷地や街の公園で、企業と市民、行政、専門家が連携し、トンボの調査を2003年から続けている”

 いつからかとは書いていませんが、トンボの調査を始めたきっかけは、横浜市が工場地帯の緑地を増やしたいと企業に呼び掛けたことからです。 
 最初は5か所が、参加企業、団体が増えて今では18か所になっています。

 毎年8月に3回、網でトンボを捕まえて種類と数を調べます。調べたトンボの翅にマーキングをして放し、どこまで飛ぶか調べています。このトンボ調査に、ジュニア調査員として小学生から高校生も採集に参加しています。

 トンボの調査から、2023年、ウチワヤンマが都心から越えて30キロ離れた東京都足立区まで飛んだことが確認されたそうです。注目される結果が出たことが活動継続のモチベーションになると、関係者は言っています。

自然共生サイトに認定される

 企業と市民、行政、専門家の連携を支えているのが「トンボがドコまで飛ぶかフォーラム」のようです。ホームページを見ると、充実した内容が見てとれます。
 このフォーラムが呼びかけて、4企業の事業所を含む6者の敷地のビオトープや緑地計1.7ヘクタールが、2024年に国の自然共生サイトに認定されました。
 企業4事業所 
  JFEエンジニアリング横浜本社
  JVCケンウッド
  東芝エネルギーシステム横浜本社
  マツダR&Dセンター横浜
 国土交通省横浜港湾空港技術調査事務所
 横浜市立横浜サイエンスフロンティア高校・付属中学校

企業事業所の取り組み

 JFEエンジニアリング横浜本社「JFEトンボみち」ビオトープ・・・一般の人も出入りができます。OBの柴田さんが中心に地元の小学生や社員有志も参加して、月1回の調査や、草花の栽培、清掃などを行っています。

マツダR&Dセンター横浜のビオトープ・・・元々自動車の撮影に使われていた水場に、近隣の川に生えていた植物を植えたものです。チャイロチビゲンゴロウなど複数の種の水生昆虫が確認されています。

 4企業の担当者は、「地域の人の憩いの場としてあってほしい」「生物多様性を意識するようになってから、なるべく手を入れないようにしている」「生物多様性という言葉は社内ではまだなじみが薄いが、国の認定が活動を知ってもらうきっかけになった」「小さな緑地でも生物多様性に貢献できていると実感できた」などと話しています。

以上記事内容の紹介です。

横浜市は、以前からビオトープに積極的

 ”横浜市では、1970年代末からホタル、トンボ、クワガタムシなど、いわゆるふるさとの生物が豊かに生息する自然の再生の取り組んできた。1980年代の中期以降は、その自然再生を「エコアップ」の概念とともに推進しつつある。“

島村雅英・井出佳季子・森清和 横浜市におけるトンボ市民活動ーどこでも楽しくエコアップー『ビオトープの管理・活用』朝倉書店2002

 このほかにも「エコアップ」、ビオトープの整備だけでなく、自然と共生した都市の再生(エコシティ)への発展をすすめる「環境エコアッププラン」1993年についても述べられています。
 小学校にはビオトープが作られていて、『学校ビオトープ入門』農文協(1999)には、横浜市立大道小学校、同下永谷小学校、同平沼小学校の事例が載っています。この中の大道小学校がNHK特集で紹介されました。大道小学校の尾上先生とはビオトープ関係の研究会などで交流しました。
 今回の朝日新聞の記事も、横浜市の活動が継続されていると思うと、うれしくなりました。小学生や高校生がトンボ調査に参加し、横浜市立中高校のビオトープも共生サイトに認定されていることも素晴らしいことです。 

市川市、市内の高校、小学生、市民と自然共生サイトの登録を目指して活動中

 千葉県市川市内の緑地(国分川調整池緑地の一部)を自然共生サイト登録認定を目指して、市川市、近隣高校の生物系部活動、小学生と市民が協働で昆虫調査を始めています。私は専門家の一人として協力しています。
 この記事を読んで横浜市の活動は大変参考になりました。関係者で共有したいと思います。

自然共生サイト登録を目指して市川市内での昆虫調査をする高校生 2024年夏

マメハンミョウの記事はここでの調査に関連して書いたものです。





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