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ササキリ~数は多いが目立たないキリギリスの仲間

 10月下旬にもなると、草むらで見つかる昆虫も少なくなります。あれだけいたコバネイナゴも少なくなって、成虫で越冬するクビキリギスが目立つようになります。
 そんな中、草むらに入ると、小型でよく跳ぶ昆虫がいます。小さいので子どもたちでは採るのがむずかしい昆虫です。ササキリの仲間であることが多いです。ササキリの仲間(Conocephalus属)は、ササキリ、ホシササキリ、オナガササキリ、ウスイロササキリなどがいます。「ササ」は笹、「キリ」はキリギリスの意味です。触角が長く、左右に扁平、縦に薄い形をした中で、体長2センチ程度の小さな仲間です。翅をこすって音を出します。
 ササキリの仲間は小型だけでなく鳴き声も地味なので、あまり知られていないようです。もっと知られてもいいかなと思っています。

ササキリは森や林に住む

 ササキリの仲間は同属でよく似ています。図鑑を見ながら区別をしていくことになりますが、慣れてくると違いが分かってきます。
 まず、ササキリですが、この種だけ住む場所が林や森の中です。ほかの種に比べて暗いところに住む印象です。体色も全体的に暗い色で、背中側から前翅に黒い帯があります。後ろ脚の腿節(たいせつと読みます。腿はももの意味)の先端が黒色です。写真では後ろ脚のクの字になったところです。秋に成虫になりますが、6月ごろには幼虫が見られます。頭部と胸部背面が赤く、腹部が黒いのでけっこう目立ちます。成虫と姿かたちが違うので同じ種とは思えません。

森や林にすむササキリ


〇〇ササキリは草原に住む

 ササキリ以外は草原に住みます。ホシササキリは乾燥した草丈のあまり高くない草原に普通にいます。草原に入ると、何匹も少し遠くへ跳びます。緑色のタイプ以外に、褐色のタイプもいます。区別点は、前翅に黒っぽい点が並んでいることです。

ホシササキリは前翅に黒っぽい点が並ぶ。こちらは草原に住む。


 オナガササキリはやや草たけの高い草原に住みます。メスの場合、産卵管が長く、翅よりもはるかに長いことで区別ができます。オスは、前翅に黒っぽい点がないこと、おしりにある尾肢の先端が長く伸びます。

オナガササキリは産卵管が長い。
ササキリ類は草原にすむ小さなキリギリスの仲間 

 ウスイロササキリは草原や水田に住みます。後ろ翅が前翅より6分の一くらい長く突出します。産卵管が翅の端をこえることはありません。オスは尾肢は太く短いです。

ササキリの仲間の分類に挑戦

 以前紹介した『ポケット図鑑 日本の昆虫1400①』『ポケット図鑑 日本の昆虫1900①』を見ながら、実物と照らし合わせると区別ができるようになります。

 ササキリの仲間、住む場所も微妙にちがっているようで興味はつきません。地味な昆虫の仲間ですが、出会うチャンスもあるので、分類にチャレンジしてください。
 noteでビオトープに関する記事を書いていますが、一番簡単なビオトープは草原のビオトープです。少しの面積の草原があれば、ササキリの仲間に出会うことができます。


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