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簡単で誰でもできるビオトープ 草地ビオトープのつくり方~『生きものをわが家に招く ホームビオトープ入門』より その3
「草地ビオトープの作り方」の第3回目。少し長くなったので3回に分けました。
養父先生の『生きものをわが家に招く ホームビオトープ入門』(農文協)には、ビオトープづくりの少しでも経験のある方なら、うなずくことが多いので初めての方には、参考になることが満載です。特に今回紹介する「草刈りの仕方」はそうだと思います。
今まで、
第1回 新しく造成した場所・・・土マットを外から持ち込む
第2回 すでのある草地 ・・・・草刈りの頻度、方法を工夫する
と紹介してきました。
ビオトープは多種多様な生物が生息する場所です。草刈りも生きものの生息を配慮する必要があります。
生きものの生息を配慮した草刈り法
最初の草刈りは晩秋に
植物や生きものが1年間の生長が終了し、生育したい植物に影響を与えない晩秋から冬季に、草刈りを実施します。
事前調査し育成したい野草に目印を付ける
野生草花や希少種、野鳥の営巣を発見したら、その周囲にポールを立てたりテープで覆うようにします。野生草花の幼個体を見分けるのはむずかしいので図鑑(浅野著『芽生えとたね』全国農村教育協会)などを参考にします。(最近は浅井著『身近な雑草の芽生えハンドブック』文一総合出版なども出ています)
草刈り機と手ガマを併用し育成したい野草を刈り残す
育成したい草花の周囲は手ガマで刈り取った方が確実。草刈り機を使う場合はまず講習を受け、実施の場合は危険のないようにします。
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生きものを守るために区画を設け2~3回に分けて草刈り
草払い機によるススキ草地の草刈りの場合、バッタやカエルなどの逃げ場を確保することが大切。市街地の草地でも避難地は同様に重要です。
4~6月は草むらの野鳥の営巣に注意
ヒバリやホオジロなどの野鳥が営巣している場合があります。実施前に巣がない確認する必要があります。
刈りくずは集めて草地外へ持ち出す
タンポポ類やツリガネニンジン、スミレなどの野生草花の大半は、太陽光に当たらないと発芽しにくい好光性種子なので、地面に刈りくずがあると発芽がしにくくなります。また、刈りくずは、次第に堆肥化して土壌が肥沃になり、吸肥力が強いセイタカアワダチソウやオオブタクサ、クズなどが繁茂してしまいます。刈りくずは集めて外に持ち出すことが必要です。
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刈りくずを少量積み置きしてエコスタックに
刈りくずは集めて搬出するのが原則ですが、草地に一部を積み上げておくと、そこにカナヘビやトカゲ、コオロギ、ヤスデ、ミミズ、オカダンゴムシなどがすみついてきます。
野草を刈り残して育成
放置されたクズやセイタカアワダチソウが繁茂した法面緑地でも、その中にツリガネニンジンやワレモコウ、ノコンギク、コウゾリナなど野生草花が残っている場合は、全面を刈り払わす、野生草花を刈り残して育成します。
ビオトープというと、かつて、池が必要とか、草刈りをしないでそっとしておくとか、思っている人がけっこういたようです。もちろん、池などの水域がある方が生物の種類は増えますが、草地を残し、草取りの工夫するだけで、バッタやキリギリス、それをエサにするカマキリなどが住みつきます。
3回にわたり、草地ビオトープの作り方について、『生きものをわが家に招く ホームビオトープ入門』(養父志乃夫著 農文協発行)をもとに紹介してきました。実際には、その土地、環境に合ったビオトープができると思います。試行錯誤の繰り返しになります。
記録を残すこと、
めげないこと、
やり直しがきくこと
要は、手を加えながら日々の変化を楽しむことが大事です。