最近出版された使える昆虫図鑑 『千葉の昆虫図鑑』(大島健夫著メイツ出版)
先週、フィールドで使える図鑑として、『日本の昆虫1400』を推薦しました。すでに多くの人が実際に使っているようで、観察会で持っている人をよく見ます。2013年初版なので出てから10年もたっています。
今回紹介するのは、昨年2023年に出版された図鑑です。書店で手に取ってみて、中身が充実しているので即購入しました。
その図鑑は、メイツユニバーサルコンテンツ(旧社名メイツ出版)発行の『千葉の昆虫図鑑』です。著者は大島健夫さん。定価本体2,000円(税別)。フィールドで使える昆虫図鑑ですが、『日本の昆虫1400』とは、異なる特長があります。
私が使ってみて、お勧めする点は次の3つです。
1 特徴の分かりやすい生態写真が満載!
2 写真のコメント(解説)がいい!
3 地域限定!でも他の地域でも活用可能!
1 特徴の分かりやすい生態写真が満載!
掲載種は809種。1ページに基本4種、一部重要な種類には、1ページ1,2種にして、数枚の写真をのせ、説明も増やしています。図鑑は、図ここでは写真が命です。特徴がよくわかる生態写真が満載です。ほとんどが著者の大島さんのものです。房総半島の里山でネイチャーガイドとして活躍され、この図鑑のほかに何冊か同じ出版社から本を出されて方のようです。フィールドワーカーとしての実績はかなりのものと思います。例えば、写真のような模様が違うナミテントウの写真など初心者にはありがたいです。
2 写真のコメント(解説)がいい!
生態写真の確かに良いのですが、個人としては写真のコメントに共感します。「確かにそうだよね」と読んで楽しくなってきます。
たとえば、165ページのキマダラカメムシには、「2021年から2022年に爆発的に増えた印象」とあります。確かにこの1,2年、サクラなどの幹で見つかることが多いようです。72ページのチャドクガに対する注意、私も被害にあったことがあるので、ここにある応急処置は大事なことです。
3 地域限定!でも他の地域でも活用可能!
『千葉の昆虫図鑑』という書名が「地域限定」のようですが、千葉県でしか使えないわけではありません。埼玉、東京、茨城をはじめ、本州の比較的暖かい太平洋側では使用可能ではないでしょうか。この出版社から『千葉のいきもの図鑑』が出ています。昆虫以外にもいろいろな生物が載っているので初心者には良いでしょうが、昆虫は種類数が多いので、ある程度載っていないとフィールドでは使いにくいと思います。809種を掲載しているのは、この大きさの図鑑では健闘してます。