スタートアップは人類の救世主か?
スタートアップの経営をする際に考えていることの一つです。
(3本目の記事です)
なぜ、そのスタートアップ(BioPhenolics)は世の中に必要なのか。
「人類の英知の輝き」的な要素はありつつもどうせ技術は現生人類が実施出来るレベルは似たり寄ったりなので差別化はしにくい。IT系だとSAASとかCRMなどは自分のレベルだと業界が違うということもあり区別が出来ない。
合成バイオ業界も似たようなものだと思います。
という前振りがあり、当社がないと「人類は滅亡するっっっ!」というゴールからバックキャストして、当社の存在意義について考えています。
当社が有ることにより人類は滅亡を免れることが出来るシチュエーションを考える。これにより当社の存在意義を考えることが出来る。
これは「シナリオから事業を考える」、「SFから事業を考える」の派生形と考えてよいでしょう。実際に幾つかのアイデアが浮かび、その流れを書き出すことにより、スタートアップを目指す誰かの参考になれば良いだろうと思い記事を執筆しているところです。
ここからの思考パターンはカルト宗教の結成に通じるものがあり、注意が必要です。
目に見えない、誰も異論が無い、わかりやすい「人類の敵」が存在しており、このために現生人類は滅びの道を歩んでいる、、、のかもしれない。天国へ至る道は狭く、苦難の道を歩まなくてはならない。
「人類の敵」は幻魔とか、遊星爆弾とか、恐星大王といった超銀河的なものではなく、あくまで人類が克服できる範囲のものである。マジ宗教の場合、私たちの役割は「光の救世主」がいずれ来たらんものを道を掃き清め、迎える役割なのである、、、とかになるのであるが、本ケースではそうではない。
漠然とした将来に対する不安、、、
2024年時点では、地球温暖化、戦争、インフレ、少子化、移民、、、、といった内容がテレビで大衆の不安を煽っていると思います。20世紀後半だと、東西冷戦→核戦争→核の冬、、、という不安がありました。
当社のソリューションは人類社会がポストアポカリプスにならないように軟着陸させる、希望になるべきものである。
当社のソリューションは大衆の希望である。大衆とは文字通り、大多数の民衆を意味している。一部のエリート(金持ち)が理想論を語ってウットリしているのとは次元が異なり、日々の生活のために一生懸命な人々である。これを理想が低い衆愚とぶった切ってはいけない。なぜなら人類の99%はこの大衆であるからだ。
少数派向けロジックであれば、真理に目覚めた光の使者が衆愚を導いて、世界を救済するのだ、、、 そう、(ごく少数の)光の戦士が幻魔の侵略を阻むのだ、、、、という設定が現世で底辺を徘徊する人々のハートをヒットするとカルト集団の構成員をゲットできるのである。引きこもりニート/社畜のオレは本当は光の戦士だったんだ、、、 これは同世界転生であり、ロジックが逆転することにより当人の魂が救済されるのである。世界は救済されないが。
さて、人類の大多数を構成する大衆を救うにはどうあるべきか。
「ワタシには見える、、、人類の未来がっっっ!」
未来予測のうち、確実なものの一つは人口動態である。
国連予測から2080年には地球人口は103億人でピークアウトするとされている。2024年現在の80億人から23億人増えることになる。
World Population Prospects - Population Division - United Nations
https://population.un.org/wpp/Download/Standard/MostUsed/
約100億人のうち、99億人は一般大衆であり、彼ら/彼女らの生活に浸透するようなソリューションであるべきである。年齢、男女、地域、習慣、宗教にかかわらず、全人類が受け入れ可能なソリューションであるべきものである。
このソリューションは可能であれば物質的欲求ではなく、精神的なものであるべきであるが、それは結局プラスアルファの金を出せる富裕層向けのソリューションになってしまう。やはり世俗であるから、物質的なものが良い(宗教にかかわらずスマホ/携帯は便利なので普及している)。
衣食足りて礼節を知るとの言葉通り、生活レベルが一定水準に上がるまでは物質中心にならざるを得ない。そして日々の生活で一生懸命な人々は物質主義であろう。同情するなら金をくれ、である。
ここで「人類社会安定化装置としてのバイオものづくり」という概念が想起された。これは別記事を書きたい。
ある程度の生活レベルに達すれば、精神的な充足も必要であるが、これが宗教的なものになるであろうか。
「何となく良いことをした」という道徳心/神の御心に沿った製品は何だろうか。
バイオマス由来でCO2が減り、しかも生活が便利であれば、この欲求に沿った製品であろう。これが「脱炭素製品」が世に普及するロジックである。
ところがこのフェーズは実はまだ生活に余裕のある大衆である。
イノベーター :2.5億人 先進国の上層
アーリーアダプター :13.5億人 先進国中間層+中進国の上層
アーリーマジョリティ:34億人 グローバルサウスの中間層(ある程度の生活レベルとはここ以上を想定)
レイトマジョリティ :34億人 グローバルサウスの下層
ラガード :16億人 貧困層
浸透率100%を目指すためには、グローバルサウスの下層、貧困層にすら普及する必要がある。SDGsの誰一人取り残さない、という概念もここでは導入される。
浸透率100%を目指すためには、いくつかポイントが有るように思う。時間軸は2080年である。
世界人口が103億人に達する2080年は今から56年後である。
人類の平均寿命71歳として、2024年時点で15歳以上の人間はすべて入れ替わると仮定する。
80*15/71=17億人 この人数が2024年時点の15歳未満の人口とする。
2080年に生存している人類103億人のうち、86億人は明日以降産まれるのである。
これから人類社会に参加する人々に最初からソリューションが提供されている状態。これが浸透率100%を目指す上で達成するべきポイントである。今の子供は産まれたときからスマホがありますよね。ワタシは黒電話でした。
ここで「全然気がつかないうちにいつのまにか脱炭素させられていた!なんてこった!」という概念が想起された。取材等では、バイオ化学品は意識が高い人向けの製品と認知されており、それに対する説明としていたものが明瞭になった瞬間である。
脱炭素製品は値段が高くても、バイオプレミアム、カーボンクレジット、グリーン税制があるから普及する。
というのは、普及の初期段階では正しくても浸透率100%を目指すためには、正しくない。
当社のソリューションであるバイオ化学品は石油化学品と経済的に戦って勝利を収めるべきである。その結果として、人類社会の隅々まで脱炭素製品が浸透していくのである。今現在でさえ、貧困層であってもプラスチックや化学繊維は使っています。バナナの葉っぱで服を作っている人は(おそらく)居ません。
産まれたときから「バイオ化学品」が身の回りにある世界を実現する。これが目指すゴールなのではないか。この状況ではもはや「バイオ」という頭文字は必要ではなく「化学品」と書くだけである。逆に「石油化学品」というものは教科書の中で産業史の一ページに記載されるのみである。
さて、ここまでの妄想から導き出されるBioPhenolicsの存在意義は以下の通りである。
・人類社会の隅々までバイオ化学品を浸透させ、人々が気がつかないうちに脱炭素を実現している。
この状態を具現化させるためにBioPhenolicsは存在しているのである。
当社のMVVともマッチしている。
【ミッション】
社会実装可能なバイオ-化学工学技術を開発し、社会貢献する。
【ビジョン】
バイオ由来の多様な芳香族化成品を大量かつ安定的に供給し、現代社会の基盤を支える。
【バリュー】
早くやって早く失敗して早くリカバリーする
社会実装に必要な技術開発を幅広く行う
大量生産へのチャレンジ
異文化コミュニケーション
普及には石油化学品に勝る経済合理性をバイオ化学品に持たせる必要がある。そのため、BioPhenolicsでは、ラボ技術に加えて工業化技術を一気通貫で開発を進めているのである。
この項終わり
参考文献:
「幻魔大戦」平井和正
「完全教祖マニュアル」架神恭介 , 辰巳一世