ひとりじゃないけど、孤独だった(ただの覚え書き)
※現在息子は8カ月。このテキストは2カ月のあたりに謎の「書き残さなければ」という強迫観念に駆られ残しておいた殴り書き。今は子どもと過ごす時間も楽しいと思えるけれど、たった数ヶ月前なのに当時はここまで悩んでいたんだなあと。
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前代未聞の体験、育児
すっごい孤独だった。兎にも角にも孤独、これしか出てこない。ここまでとは思っていなかった。この孤独感は里帰り出産かとかそうじゃないかとか関係ない気がする。なんだろう、周りが敵に見えるっていうか、この子のことをわかるのは自分しかいない、みたいな思考に陥るんですよね。
そのくせ私のところに産まれてきて、私のおっぱいしか吸えない、私とずっと一緒に過ごすしかないこの子は、幸せになれるんだろうかという不安がぶくぶく広がっていく。人間ひとりの命を背負っているというプレッシャーに押しつぶされてどうにかなってしまいそうになる。
授乳(+ミルクの足し方)が軌道にのって、赤ちゃんが笑ってくれて、外出できるようになるほんの最近までそんな気持ちで毎日過ごしていた。気がふれるには一週間あれば十分すぎる期間だと心から思った。
そしてさらに驚いたのは、出産を経験した多くの周りの人もけっこうこんな風になっていたということ。話せば「私もそうだった、つらいよね」と言ってくれるということ。そんなつらい思いしていたのに知らずにいてごめんね、と周りの出産経験者の人みんなに謝りたい気持ちでいっぱいだ。
独身時代の私が敏感だったように、やっぱり結婚や出産の話題ってデリケートだから、言いたくても言えなかったんだろうな。また会社やコミュニティや世の中全体もそういう声は挙げにくい雰囲気だし、掬いあげようとする余裕もないのが現実なんだろうな。変えなきゃね、変わらなきゃね。
里帰るか帰らないか
里帰り出産するかどうかってみんな悩むところだと思うんですけどね。私は単純に、1か月も2か月も夫と離れて生活したくなかったし、出産したてで右往左往するときに一緒に右往左往してほしいと思ったから、里帰りはしない選択をした。赤ちゃんもほにゃほにゃで目を離したらすぐにどうにかなっちゃいそうで、どうしていいかわからなくて、体も心もぼろぼろで、という時期を夫が一緒に過ごしてくれたことは、結果的にこれからの私たちにとって大きな武器になったと思う。
でも夫は育休を取得したわけではなかったし、冒頭でも触れた通りかなりメンタルは落ちていたので、他県から母や義母が手伝いに来てくれなければやれなかったと思う。
環境が整っていて純粋に母体の回復を考えた場合は里帰り出産を選択するほうがいいんだろうな。きっと私も里帰りしてればここまでメンタルが落ちることもなかったと思うし、毎日窓の外を見て夫の帰りを心待ちにするゾンビのようにならなくて済んだと思う。どっちもメリットデメリットあるんで、決してどっちかにすべきという話ではないですよ、悪しからず。
助産師さんとのかかわりについて(出産~1カ月健診)
そもそも教科書通りが大好き、応用が利かず、決められた正解がないと不安になってしまう私が子育てに向いているはずがなかった(AIに支配される世の中になったら真っ先に仕事やら何やら失うタイプ)。
理論に基づいた『正解』を教えて欲しいのに、「体重も増えているし大丈夫!お母さん頑張ってるよ!このままでいいから自信もって!」じゃないんですよ!!もう産院の助産師さんには不信感しか湧かなかった。もちろんたくさん育児本も読んだけど、なかなか抱えるモヤモヤは解決出来なかった。
友人のつてで開業助産師さんのところへ通い、ようやく授乳のさせ方やミルクの足し方について具体的に教えて貰えて、本当に光が差した、生きる気力を与えられたように感じた。
産院の助産師さんへの不信感が強かったので、市の保健師さんや助産師さんを頼る気持ちにはなれなかったけど、産後訪問に来てくれた保健師さんがすごくいいひとで親身になってくれ、もっと活用したり頼ったりすればよかったんだなと思った。その後は市の子育て相談会等にも出向いて色々聞きたいことを聞くこともできた。
でも大事なのって出産直後はどんな質問をしたらいいか分からないんだってこと。ほにゃほにゃの赤ちゃんを連れての外出なんて恐怖でしか無いから気軽に子育て相談になんて行けないんだってこと。
産院の助産師さんたちは基本的に無事に産まれたらオッケーで、その後のことはあまり真剣に考えてくれない気がした(もちろん私が産んだ産院の助産師さんがたまたまそうなんじゃないかと私が感じただけ)。地域をフィールドにしている人の方が今後どうしていったらいいかを一緒に考えてくれる人が多いのかもしれないね。
私は医療関係の仕事をしているけど、このあたりの経験を通して自分の患者さんへの関わり方についてもの凄く考えさせられた。それについてはいつかまた書けたら書きたい。
母乳について
出産前は母乳育児には全然こだわりはなくって、出れば飲ませるし、出なければミルクでいいな~って楽観的に考えていた。でもいざ自分から母乳が思うように出ていない、赤ちゃんが上手に吸えないっていう状況になったときに、こんなにも悲しくて惨めて焦った気持ちになるなんて予想していなかった。
混合育児(ミルクと母乳を、両方飲ませること)だと他の家族も授乳ができるとか、メリットは理解できていても、完全母乳のひとのほうが女として、母として優れているように見えて羨ましく感じた。そんな自分の感情の動きにもちゃんと気づいていたのに、悲しくてしょうがなかった。そして実のところ母乳が出すぎて苦労している人もいるんだよね。そんなことすら知らなかったし、想像力を使ったこともなかったよ。
「母乳飲んでるかわかんなくて面倒くさくてそっこー完全ミルクにしたよ!」ていう従姉の発言には大変励まされたりもしたんだけど…深層心理でいうと「わたしより下がいた」って安心しちゃったんだと思う。上や下なんてないこと頭では絶対にわかってるのに、昔からすぐ人と自分を優劣で考えちゃうっていうか、そんな自分が本当に大嫌い。みんな少なからずあるよね、自分より部屋の汚い人を見て安心するとか、テストで皆が勉強してないか確認するとかさ、そんな単純の話の延長よ…小せぇ…なんて小さな人間なのでしょうね…。(オチナシ)
「よい」母親に…?
子どもは親を選べないとかはじめから選んで生まれてくるとかいろいろなこと言われているけれど。この子の母親は現状で私しかいないのだと思うと申し訳ないという気持ちでいっぱいになる。私しか選べなかったから精いっぱい頑張るよ、という気持ちが他のお母さんと比べたり自信を失くしたりすることにつながるんだろうな。
妊婦の頃、インスタで育児アカウントとかいろいろフォローして「うおおぉこんなこともあるのか」とか、「これがいいんだな、ふむふむ」みたいな日々を過ごしていたんだけれど、結局あんまり意味なかった。壁にぶち当たったときにハッシュタグでもつけて検索すればよかっただけの話だったなと思う。
アプリの記事を読むよりも、自分の価値観を形成してきた友人たちに相談した方がずっと納得できる答えが返ってきた。(考えたら当たり前だけどね…出産後検索魔になるママはたくさんいると思う。気持ち分かるよ分かるよ、時には有用な情報もあるけどあくまで薄目で読みましょうね)
自分のこと
小さい頃、とにかく自信が無くて情緒不安定だった。幼稚園の発表会の当日、なぜか恐怖感に襲われて朝から泣きはらして、ぶくっと膨れた瞼(いや泣かなくても腫れてるとか言わないで)で写真に写っている当時の自分の心情をよく覚えている。
今思えばただの自意識過剰だったんですよね。自意識過剰からくる自信の無さ、他人と比べる自分、他にもたくさんある嫌な部分を年齢を重ねながら努力で補ったり克服してきたと思っている。勉強を頑張る、部活を頑張る、仕事を頑張るとか…(もちろん、頑張ることを許された環境に生まれたことは大前提としてある)。
だけど子育てを突然スタートさせられた私は、今まで一生懸命つぎはぎしながら作ってきた鎧を一気に剥がされ、裸ん坊にされたような気分に陥った。武器も知恵も何もないただの私。そんな悲しみに打ちひしがれる毎日。別に私は何も失ってないし、私は私以上でも以下でもないのに。そしてこんなにアイデンティティが脅かされる重大なことが私のなかで起こってんのに「産後のホルモンバランス異常」で片づけられちゃうから出産で本当にすごいことだと思う。逆に。
夫婦のこと
子どもを産むと夫と「交代で頑張る」「一緒に頑張る」のが当たり前になる。「一緒にゆっくり」はできない。どちらかが世話をしている間に料理をする、先にごはんを食べてしまう、用事を済ませるなどなど。夫が大好きな私は、そんな状況が一番悲しかったかもしれない。
向かい合ってたわいもない話をしながら一緒にお酒を飲んでいたのに。同じ景色を見にどこへだって出かけたのに。向かい合ったり同じ方向を見ながら一緒に過ごしてきた夫と、いきなり「戦友」にさせられたことが悲しくてつらかった。望んで子どもを授かったのでこんな気持ちになっちゃいけないんだろうな…なんて思うけど、時にはいいよね。はやく「あの頃は大変だったね」って言いながら夫とお茶をすすりたいなあ。
出産準備、出産直後のこと
結婚する直前に振られるんじゃないかとか、結婚式前に病気になって式が挙げられないんじゃないかとか、いつも「順調に進む」イメージができない性格なので。赤ちゃんは本当に無事に産まれてくるんだろうか、という疑念が産むその瞬間までずーーっと続いていた。
その気持ちが根底にあったため、必要な物品を積極的に準備することに気が進まなくて、本当に必要最低限のものしか準備していなかった。入院中から出産後1か月くらいまで、夫にあれ買ってきてこれ買ってきてとお願いする毎日。ネットで買えるものは自分で注文したけど、実物を見ないと買いにくいものもある。夫に機動力があまりない場合は絶対買いすぎかというくらい入念に必要そうなものを準備しておいたほうがいいと思う。うちの夫は機動力はあるものの、仕事で疲れて帰ってくる途中に買い物を頼むことが申し訳なさ過ぎたし自分にとってもストレスだった。人に頼ることにある程度のストレスを感じる人は事前にいろいろ買っておいたほうがいいかもです。
赤ちゃんのこと(おまけ)
調べればどっかに書いてあったかもしれないけど、赤ちゃんは「お腹がすいた」、「眠い」、「おむつが濡れている」、「抱っこしてほしい」のほかに、げっぷがでないときやうんちを出したいときにめっちゃぐずる(子もいる)ってことを、もっと育児書とかでデカデカと書いて教えて欲しいと思った。これを知ってるのと知らないのでは雲泥の差だと思う。げっぷやうんちが出たあとの我が子の気持ちよさそうな顔といったらもう。かわいいぞ。笑
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あまりにも生産性は無く取り留めの無かった話で申し訳ないのですけど、ひとりでも共感してくださる方がいるといいな。いまひとりで苦しんでる人がいたら、迷惑かもとか考えずに夫とか家族とか友人に話を聞いてもらうことがいいと思う。意外にも「わたしもそうだった」って返ってくるし、話すだけでも頭の整理になるかもしれないし、心はほんのり救われたりするのではないかと思ったり…しています。
長々と読んでくださった方ありがとうございました。
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