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益子の住処 #19 大谷石のテラスをつくる

憂鬱が梅雨が来たと思ったら、まさかの梅雨明け!我が家の植物達は水を得た魚のように成長していますが、水不足も心配な今日この頃です。
さて、今回は家の西側につくった大谷石のテラスについて書こうと思います。またしても長文になりそうな予感しかしないですが、最後まで読んでくださると嬉しいです!

現在(2022年6月)の大谷石テラスの様子

大谷石のテラス計画

我が家では家の東側が道路に面しており、南側にウッドデッキを設けているのですが、やっぱり少しばかり通行人の視線が気になります。一方、西側は道路からの視線を完全に遮ることができることに加え、視界には雑木林や池が映り、我ながら気持ちのいい風景が広がります。前回の記事で書いた石積みの上に位置しているので、少し高さもあって見晴らしも良いです。
そして、午後以降は日当たりも悪くはなく、夕方には正面の杉林の隙間から夕日が綺麗に見えます。

庭の西側にある杉林から差し込む夕日

というわけで、この西側の位置に居心地の良い空間をつくろうと計画したのが今回の大谷石テラスです。
この地域でよく見る光景なのですが、震災で大谷石の塀や蔵が崩れてしまい、不要になった大谷石を処分できずにパレットに積んで放置してあるのを見かけます。私もたまたま、知人からそのような大谷石を譲って頂けたので、大谷石を敷き詰めてテラスにすることにしました。

大谷石のテラスの計画平面図

そして、南側の庭からテラスに続くアクセスや、テラスから池のある庭に石積みの脇を通って降りる階段、ハーブを育てるための菜園も全て大谷石でつくることにしました。

大谷石を並べてテラスに

大谷石の大きさはモノによって違うのですが、90センチ×30センチが主流かと思います。それを単純に敷き詰めてしまうと、石と石の隙間が重なってしまい、それよりも隙間が交互になる方がデザイン性が良いと思います。

(上)隙間が重なってしまう配置
(下)隙間が交互になる配置

ですので、まずはいくつかの大谷石を半分に割るところから始めます。以前の記事で大谷石の割り方については詳述していますが、グラインダーで切れ目を入れて平タガネでトントン叩く方法が素人でも簡単に割れる方法だと思います。

必要なパーツが揃ったら、すぐにでも大谷石を敷き詰めていきたいところですが、とても重要なのが整地をすることです。ここを怠ると、後々石が沈んでしまったり排水が悪くなるので、しっかりとやりました。
まずは、出来上がりのレベル(高さ)から大谷石の厚さ5センチ程を引いたレベルになるように土を固めます。我が家では丸太を使って「タコ」と呼ばれる道具を作り、こちらを使いました。

桜の丸太を使って自作したタコ

土が固まったら、その上に砕石と砂(もしくは砕石のみでもいいかもしれません)を敷きます。こうすることで、大谷石にかかる荷重がしっかりと分散されて、傾きや沈み込みを防いでくれます。また、砂を入れておくことで、石の水平を出す時に調整しやすくなります。

断面図

砕石や砂は、もともとの土に比べると粒が大きいので、大雨が降った時にも水が速く浸透し、溜まりにくいと思います。

整地した土の上に砕石を敷いたところ

こうして石を敷く準備が整いました。後は配置通りに石を並べます。まず、石を置く場所の水平度を水準器を使ってチェックします(だいたいでOK
)。そして、石を配置しますが、石ってとても重いのです!おそらく大谷石はまだ軽い方の部類だと思いますが、それでも一つ70kg位はあると思います。私の場合、男性と二人でも持ち上げられるのはほんの一瞬でした。
ですので、何らかの方法で大谷石を近くまで寄せて、後は二人で一瞬で持ち上げて並べる、というやり方が現実的かと思います。私の場合、竹を使って運ぶ方法を試して見ました。ご参考までに紹介しておきます。
どうか、腰をやってしまったり、指を隣の石に挟んでしまうことのないよう充分に注意しながら挑戦してみてください。

石を置いたらその都度水準器を使って水平度を確認します。水平でない場合は、少しだけ持ち上げて砂利(または砂)を追加したり、グリグリ押しこんだりして調整します。私の失敗談として、ゴムハンマーで石を叩いて調整しようとしたところ、石が割れてしまいました。大谷石は結構柔らかいので、あまり手荒に扱わない方が良さそうです。
こんな作業を繰り返して並べた大谷石がこちらの写真です。なかなか上手に並べられてるでしょ(笑)?

大谷石を敷き終えたところ。この後、周囲の土を埋め戻しました。

最後に、石と石の間にはどうしても1cm位の隙間ができます。そのままにしてもいいのかもしれませんが、長い年月で土が詰まって通水性が悪くなることも考えられるので、あらかじめ砂を詰めておく方がいいかもしれません。が、我が家ではまだやっていません(笑)。早くやらないとですね。既に落ち葉が詰まって取れなくなっています!

余った大谷石をつかって

大谷石の階段

余った大谷石を使って、テラス以外にも様々な物をつくったので紹介しておきます。
まずは、大谷石の階段です。大谷石の幅は30cmほどあり、階段として使うのにピッタリな大きさです。これを傾斜のあるところに設置して階段をつくります。基本的にはテラスと同じ手順です。階段の脇には、石積みで余った石を積んで、土砂が階段に流れ込んでこないようにしました。

傾斜に合わせて、大谷石の階段をつくった

大谷石の延段

テラスに続く、大谷石の延段(当時)

次に、南側の庭から西側のテラスへのアクセスとして、大谷石の延段を設置しました。ここでのポイントも、石と石の境目が左右で重ならないようにすることです。そのルールだけ守れば、なかなかカッコいい延段になるような気がします(日本庭園をよくご存知の方には怒られる発言かもしれませんが…)。
私が貰った大谷石の中には、既にパックリ割れているものも多く含まれていたので、中途半端な大きさの石をここぞとばかりに使いました。また、石の表面の処理がちぐはぐで、ゴツゴツしているものもあれば、滑らかなものもあるのですが、そこは気にしていません。

大谷石のハーブ菜園

日差しを求めて、前のめりなハーブ達。
ローズマリー、パクチー、フィンネル、ミント、ディル、、タイム、セージが育つ。

テラスの背後には、ハーブ菜園をつくりました。大谷石を割って菜園の両端に置き、その中に土を入れるだけという単純なものです。
テラスの周辺に植物を植えたいと思っていたのですが、この場所は軒下で雨水が少ししかしみ込まないため、植物にとっては厳しい環境です。そこで、乾燥に強いとされる西洋ハーブを育てようと考えました。
我が家の庭の特徴として、蚊がひどく多いのですが、ハーブには蚊が寄り付かないといいます。テラスを少しでも居心地の良い場所にするためにもハーブは良いチョイスだったと思います。もちろん、料理に使えるのでその点でもとても役に立っています。
今では、ハーブの花が咲く頃になると、蜂や蝶などが頻繁に訪れてくれています。

大谷石のピザ窯を置く

コンパクトなピザ窯。バラして持ち運びもできる。

最後に、これは自作したものではありませんが、ホームセンターで大谷石のピザ窯を見つけ、コンパクト感がとても気に入ったので購入し、テラスの脇に設置しました。
ピザ生地の上に、畑からとれた野菜をのせて、ハーブ菜園で摘んだハーブを添えて、薪で温めた窯でピザを焼く。これって最高の贅沢ですよね!

畑で育てたトマトをソースにしたピザ

大谷石のテラスをつくってみて

同じ石でも、石積みで扱った石と比べると、大谷石はとても扱いやすかったというのが感想です。大体の大きさに成形されているし、石を割って思い通りの形にするのもそこまで難しくありません。
一方で、一般家庭で難しいのは大谷石の運搬です。これは重機やトラックを持っている業者さんにお願いするしかないかもしれません。

地域によって、大谷石と同じような石が余っているというところもあるかと思います。大谷石は、日本列島の大半がまだ海中にあった新生代第三紀中新世の前半に、火山が噴火して噴出した火山灰や砂礫が海水中に沈殿して、それが凝固してできたものとされているそうです(Wikipediaより引用)。太古の昔に自然の力でつくられた貴重な石を無駄にすることなく、現代の暮らしに合うように、形を変えて使い続けていくことが大切なのではないでしょうか。

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