考察の内容を決める準備としてやるべき8つのこと(前半4項目)
私が学生時代に論文を書いていて一番困ったのは、
考察に何を書いていいかわからなかったこと。
巷の論文の書き方の本などは読み漁りましたが、
考察に何を書くのかについて教えてくれる本は見つけられませんでした。
(今も見つけられていません)
今も販売されていて、Amazonでも高評価がついている「論文の書き方」とタイトルにある本でも
考察は「専門分野や課題によって、本論*の展開は異なる」
のように書かれていて、ノウハウ化されていないのです。
(*紹介者注:ここでの「本論」は考察のこと)
だから、考察を書けないのはあなたのせいではないので、
自分を責める必要はありません。
教わってないから知らないだけなので。
そこで、今回はセミナーなどでお話して評判が良かった考察の内容の決め方マニュアルについて書いてみます。
もっと詳しく知りたい方は、
こちら↓の記事の一番下のリンクから
動画講座もご覧ください。
考察を組み立てるための大きな2ステップ
考察の中身を決めるためには
大きく分けて2つのステップがあります。
1.考察で書くべき内容を抽出する
2.ステップ1で出した要素を整理し、
文章にしやすくする
この記事では、1つめの
「考察で書くべき内容を抽出する」
をお伝えします。
基本的には、文系・理系を問わず
必要な項目を解説していますが、
研究分野によっては多少のアレンジが必要かもしれません。
どういった要素が必要になるのか、
今の自分の研究で足りていない部分を
客観的に見たりするのにも使えると思います。
●考察の要素を抽出する4項目
考察で書くべき要素を漏れなく抽出することで、
あなたの研究の良い部分を
最大限引き出すことができます。
卒業研究や修士研究では、
いくつかの締め切りが設定されていると思います。
その締め切りに合わせるために、
完璧なデータが揃ってない状態でも、
どうしても論文化しなければいけないのが普通だと思います。
そして、考察を書くためには
「言語化」する必要があります。
ここで解説する4項目を埋めていけば、
いま手元にあるデータや結果で
ベストな考察を書くことができるようになっています。
しかも、結果的にこれが最短最速です。
急いでいるときこそ、順番にやってくださいね。
急がば回れです。
項目1「結果のすべてを箇条書きにする」
大事なポイントは、
全ての結果を正確に書き出すことです。
① すべての結果を書き出す理由
は、結果の漏れを出さないようにするためです。
最大限、良い考察にするためには、
著者であるあなたが
自分の研究結果を良く知っておく必要があります。
今はそれほど重要でないと思っていたり、
考察の根拠に使うつもりがなくても、
後から重要性に気づくこともあります。
② 正確に書き出すのもかなり重要です。
考察はあなたの結果をもとに結論を導くわけなので、ここで間違うと
スタートからつまずくことになり、
正しい結論が導けなくなります。
グラフとか表を見て、
そこからわかることを言葉にしてみる。
そうすることによって初めて
読み取りがちゃんとできてるかどうかもわかるわけです。
ここは慎重に、時間を掛けてでもしっかりとやりましょう。
項目2「中心となる結果1つと、それを選んだ理由」
なぜ結果を1つだけ選ぶのかについて
説明をまずしていきたいと思います。
人間の性質から言って、
複数のことを同時に考えることは、
普通の人はできません。
だから、まず1つに絞って
そこから考え始めようということです。
考察を考えていくにあたって、
このテーマとかこの研究に関して、
どの結果が一番大事なのか、
中心となる結果は何なのかというのを、
見極めることも大事な能力です。
その理由は、
まずは一つのことを深く考える
っていうことがすごく大事だからです。
これは論文作成に限らず、社会人になっても大事です。
例えば、結果が3つあったとしたら、
意識が分散して、
「なんとなくこういうことを書けばいいかな」、
「関係あること書いとくか」
ぐらいで終わってしまうんですね。
1つのことを深く考えられなければ、
それ以上のことももちろん深く考えることはできません。
ですから、
「まずは1つのことを深く考えないといけないな」
っていうのをあなたの意識の中に、
入れていただきたいと思います。
そして、選んだ理由もしっかり考えてくださいね。
項目3「考えられる要因」
選んだ1つの結果が得られた要因を書き出してください。
ポイントは、
考えられる全ての要因を書き出すこと。
もしかしたらあなたは、
「1つでもいいんじゃないか」
って思ったかもしれません。
でも、必ず複数書いてください。
これが一番のポイントです。
理由を説明しますと、
まず研究で要因を調べる方法が、
基本はこれなんです。
消去法で絞る。
これが基本なんです。
1つの要因がぱっと思いつくかもしれませんが、
それでは他の要因が必ずもれます。
ですから、まずは考えられる要因は、
全てを書き出すということが大事です。
イメージしやすいようにわかりやすい例を挙げると、
殺人事件とかで容疑者を特定する方法を思い出してみてください。
複数の容疑者を捜査線上に上げて、
その中から例えば
「アリバイがあるから、この人は違う」
のように容疑者候補から消していきますよね?
それと非常に似てると思ってください。
いきなりこの人が容疑者だっていうふうには普通しないですよね?
いきなり1人に絞ると本当の犯人を見落とす可能性が高くなるからです。
だから、複数の容疑者を列挙して、
そこから犯人の条件に合う人に絞っていくって
いうのが基本ですよね。
ただし、殺人事件の場合は(複数犯でなければ)
裁判するにあたって1人に絞らないといけないんですが、
研究では1つに絞る必要はありません。
そういう意味でも、できるだけたくさんの要因を書き出して、
その中から、この要因はなさそうというものから消していくのが基本のやり方です。
ですから、
1つだけに絞れないこともあります。
それでOKです。
たくさんの要因を考えて書いた考察は、
結構いろんなこと考えてるなとか、
いろんな側面から物事を考える人だなっていうふうに見てもらえます。
だから説得力が増すわけですね。
よくあるのが、
それっぽい1つの要因だけをぱっと思いついて、
それで思考停止しちゃうパターンです。
私はこのような要因を
「要因もどき」
と呼んでいます。
検証も何もされていない要因のことです。
慣れてないと難しいと思いますが、
そういう場合は、
「これは常識だろう」とか、
「これは前提だろう」、
「前提として正しいよね」
って思ってるようなことを疑ってみてください。
項目4「要因に対する根拠」
3つ目の項目では、
「考えられる要因」を全て書き出しました。
今度は、この要因に対する根拠を書き出します。
要因には根拠が必要です。
項目2でも説明したとおり、
1つのことを深く考えるために、
その要因に根拠があるかを検討する、
根拠が正しいかを検討するプロセスが必要です。
ここでの検討に耐えた要因だけが、
「要因もどき」から本当の「要因」になれるわけです。
そして、この過程を踏むことで、
複数の要因が残っていたとしても、
どれが最も重要なのか、
あるいは、可能性が高いのか、
が見えてきます。
だから、考えられる要因を1つに絞らなくても良いんです。
この過程を説明するのが考察ですし、
これを説明すれば読者も納得しやすいわけです。
まとめ
この記事では、考察の内容を決めるための2つのステップのうち、
1つめ「考察に書く要素を抽出する4項目」を解説しました。
ぜひ、あなたの研究に当てはめてみたり、
実際に手を動かして書き出してみてください。
今はまだ十分に書き出せなくても大丈夫です。
最初から完璧にできる必要はありません。
自分の弱いところをあぶり出せれば、
そこを改善、強化していけばいいだけですので。
空欄になっている部分やスカスカなところを書き出せるように調べたり、
データや結果を見直してみてくださいね。
今回紹介した4項目は私がオリジナルで作ったものです。
あなたの研究にもお役に立てたら嬉しいです。
考察を書くためのステップ2は
今回抽出した要素を整理して、考察を書きやすくする4項目です。
あなたがもし、
「今回の記事は参考になった」
あるいは、
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ステップ2の4項目も書いてみようと思います。
もっと詳しく知りたい方は、
こちら↓の記事の一番下のリンクから
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